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第二章 女の体
男たちの虜?(閑話)
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シェルヴィに仕留められた男たちは、アネキと慕うアリアナの元に戻っていた。うやうやしく頭を下げながらも、なかなか頭を上げることができなかった。
皇国繁華街の最奥にある店。店が集まる街灯溢れる場所を抜けた先にある重厚な屋敷。皇国を訪れる貴族たちが利用する随一の娼館であり、繁華街一の高級娼館。セーブル・マーレの店内を抜け、特別な扉を開けた場所に男たちが集まっていた。
「で、その女はどんな子だったの?」
「それは、えらい強くて......」
「そうです。俺ら三人でも太刀打ちできないほどで......」
「ほんとっすよ」
「ふーん」
広々とした場所に小高い玉座に腰を下ろし、子分たちを見下ろすその姿は、エスカテリアを陰ながら牛耳る女王と言った風格を持ち合わせていた。
『子分たちを、倒す女?』
「ふふふ......興味が湧くわね......」
「......あ、アネキ...」
考えを巡らすうちに、ある答えがよぎっていくアリアナ。
襟元で切りそろえられた整った黒髪と、澄んだ青い瞳。長く垂れ下がるおくれ毛は、胸元まで届くほどに長かった。くるぶしを隠してしまうほどに長いスカートに左右非対称のハイサイドスリットが入り、しなやかで美しい腰まで見えてしまう。
コツコツとヒールの音を響かせるようにして、壇上から降りてくると男たちを躾けるために、眼の前に立つと指で振り返るように指示を出す。
「あ、アネキ......」
そのあまりの威圧感に押されるようにして、キールやザックから声が漏れる。
「あんたも踏んであげようかしら?」
手下を従える女王よろしく、蔑むような眼差しをふたりに投げかける。
「......あ、アネキ! 俺の不手際です。コイツラに責任はないです!」
「アニキ......」
「ふーん。わかったわ。椅子になりなさい」
「は、はい!」
「アニキ......」
アリアナの体が、勢いを付けて男の背中に座る。
小ぶりのおしりが男の背中に絶妙に食い込み、痛さを与える。さりとてアリアなが良いと言うまで続くため、男にとってはしっかりとしたしつけになっていた。
--それから、数時間。
一応の躾《しつけ》を終えたアリアナは、後でもう一度呼ぶと伝えたあと、手下たちを追いやる。思慮を巡らせる時には、いつもひとりで閉じこもっていた。
一方で、アリアナの躾《しつけ》を受けたブランの背中にはうっすらとおしりの形が残るほどだった。しかし、与えられている部屋に戻るまでの間。三人の間では仕切りにシェルヴィの話が盛り上がっていた。
「あ、アニキ。大丈夫っすか?」
「あ、あぁ......」
いたわるようにして、寄り添うキールとザック。それぞれが、同じ育ちだということもあり、仲良しだった。
「にしても、あの女。強かったすねぇ。エロかったし......」
「たまんねぇ、夜の街に来てるってのに、白パンツは......」
饒舌に語るザックの言葉に、キールが乗っかる。
「はぁ? お前、見たんか‼」
「あぁ、一瞬な!」
「おまえ、ずりぃぞ!」
「う、うっせぇ、見えたもんは仕方ねぇだろ」
母屋と離れに分かれていたセーブル・マーレの離れに向かう道すがら、三人は仕切りに盛り上がる。
「あれ、おそらく上下セットですぜ?」
「まじか! 夜の街で上下白とか、やべぇな!」
「それにあの美貌。たまんねぇ......」
キールとザックの脳裏では、シェルヴィのしなやかな体から服がひん剥かれ、柔肌に白布だけの妄想が繰り広げられる。『グヘヘ』と怪しい声すら聞こえてきそうなところに、ブランの一言が冴え渡る。
「うっせぇ。お前ら......静かにしろ!」
そのひとことで、キールとザックのふたりが、一気におとなしくなる。
「はい」
「すみません」
「まったく......」
痛みとともに躾《しつけ》を感じ取りながらも、その実。脳裏に残っているのはシェルヴィの拘束だった。
「で、アニキ......」
「なんだよ」
「あの女。シェルヴィ? に絞められた時、どうだったっすか?」
「ど、どうってなんだよ? 何もねぇよ......」
「ほんとっすか? だって、後ろから抱きつかれてたじゃねぇっすか......」
「そうっすよ。気持ちよかったんでしょ?」
ニヤニヤと周囲から子分たちが詰め寄られ、苛ついたブラン。
「いい加減にしろ!」
「あぁ、良かったよ! 柔らかかった! これでいいか!」
キールとザックに責め立てられるように、正直に口にしたブラン。そこに相打ちを打つようにしてふたりが返す。
「羨ましいっす! アニキ!」
「アニキ!」
「うるせぇ! お前ら、いい加減にしろ!!」
子分の相手をしながらも、ブランの脳裏では勝手にアリアナのしつけとシェルヴィの絞め技が天秤にかけられ、シェルヴィの方に軍配が上がりそうになっていたのだった。
皇国繁華街の最奥にある店。店が集まる街灯溢れる場所を抜けた先にある重厚な屋敷。皇国を訪れる貴族たちが利用する随一の娼館であり、繁華街一の高級娼館。セーブル・マーレの店内を抜け、特別な扉を開けた場所に男たちが集まっていた。
「で、その女はどんな子だったの?」
「それは、えらい強くて......」
「そうです。俺ら三人でも太刀打ちできないほどで......」
「ほんとっすよ」
「ふーん」
広々とした場所に小高い玉座に腰を下ろし、子分たちを見下ろすその姿は、エスカテリアを陰ながら牛耳る女王と言った風格を持ち合わせていた。
『子分たちを、倒す女?』
「ふふふ......興味が湧くわね......」
「......あ、アネキ...」
考えを巡らすうちに、ある答えがよぎっていくアリアナ。
襟元で切りそろえられた整った黒髪と、澄んだ青い瞳。長く垂れ下がるおくれ毛は、胸元まで届くほどに長かった。くるぶしを隠してしまうほどに長いスカートに左右非対称のハイサイドスリットが入り、しなやかで美しい腰まで見えてしまう。
コツコツとヒールの音を響かせるようにして、壇上から降りてくると男たちを躾けるために、眼の前に立つと指で振り返るように指示を出す。
「あ、アネキ......」
そのあまりの威圧感に押されるようにして、キールやザックから声が漏れる。
「あんたも踏んであげようかしら?」
手下を従える女王よろしく、蔑むような眼差しをふたりに投げかける。
「......あ、アネキ! 俺の不手際です。コイツラに責任はないです!」
「アニキ......」
「ふーん。わかったわ。椅子になりなさい」
「は、はい!」
「アニキ......」
アリアナの体が、勢いを付けて男の背中に座る。
小ぶりのおしりが男の背中に絶妙に食い込み、痛さを与える。さりとてアリアなが良いと言うまで続くため、男にとってはしっかりとしたしつけになっていた。
--それから、数時間。
一応の躾《しつけ》を終えたアリアナは、後でもう一度呼ぶと伝えたあと、手下たちを追いやる。思慮を巡らせる時には、いつもひとりで閉じこもっていた。
一方で、アリアナの躾《しつけ》を受けたブランの背中にはうっすらとおしりの形が残るほどだった。しかし、与えられている部屋に戻るまでの間。三人の間では仕切りにシェルヴィの話が盛り上がっていた。
「あ、アニキ。大丈夫っすか?」
「あ、あぁ......」
いたわるようにして、寄り添うキールとザック。それぞれが、同じ育ちだということもあり、仲良しだった。
「にしても、あの女。強かったすねぇ。エロかったし......」
「たまんねぇ、夜の街に来てるってのに、白パンツは......」
饒舌に語るザックの言葉に、キールが乗っかる。
「はぁ? お前、見たんか‼」
「あぁ、一瞬な!」
「おまえ、ずりぃぞ!」
「う、うっせぇ、見えたもんは仕方ねぇだろ」
母屋と離れに分かれていたセーブル・マーレの離れに向かう道すがら、三人は仕切りに盛り上がる。
「あれ、おそらく上下セットですぜ?」
「まじか! 夜の街で上下白とか、やべぇな!」
「それにあの美貌。たまんねぇ......」
キールとザックの脳裏では、シェルヴィのしなやかな体から服がひん剥かれ、柔肌に白布だけの妄想が繰り広げられる。『グヘヘ』と怪しい声すら聞こえてきそうなところに、ブランの一言が冴え渡る。
「うっせぇ。お前ら......静かにしろ!」
そのひとことで、キールとザックのふたりが、一気におとなしくなる。
「はい」
「すみません」
「まったく......」
痛みとともに躾《しつけ》を感じ取りながらも、その実。脳裏に残っているのはシェルヴィの拘束だった。
「で、アニキ......」
「なんだよ」
「あの女。シェルヴィ? に絞められた時、どうだったっすか?」
「ど、どうってなんだよ? 何もねぇよ......」
「ほんとっすか? だって、後ろから抱きつかれてたじゃねぇっすか......」
「そうっすよ。気持ちよかったんでしょ?」
ニヤニヤと周囲から子分たちが詰め寄られ、苛ついたブラン。
「いい加減にしろ!」
「あぁ、良かったよ! 柔らかかった! これでいいか!」
キールとザックに責め立てられるように、正直に口にしたブラン。そこに相打ちを打つようにしてふたりが返す。
「羨ましいっす! アニキ!」
「アニキ!」
「うるせぇ! お前ら、いい加減にしろ!!」
子分の相手をしながらも、ブランの脳裏では勝手にアリアナのしつけとシェルヴィの絞め技が天秤にかけられ、シェルヴィの方に軍配が上がりそうになっていたのだった。
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