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第10話 旅支度とふたりの王女と時々、説教
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高級ソファーに立派な木目調室内。いつ来てもこの場所は緊張する。それはたとえ体が“女”になろうと関係なく、緊張するものは緊張する。ただでさえ、両隣には魔族国ドラクシオンの王女ふたりが、挟むようにして座っているのだから...。
途中、第3王女。イレイナスのためにと洋服店に立ち寄っては、店名でツッコまれてゲラゲラと笑われ、王族らしい立派な衣装を見繕ったあと貴族院管理の皇国ギルドに立ち寄っていた。
「あぁ、なんだ。女になったのは知ってたが......」
「そのふたりは、聞いてないんだが...」
「で、ですよねー」
応接間のような部屋に通され、向かい合うソファーに腰を下ろしたラントの向かいには、貴族院との橋渡しをするギルド長が待ち構えていた。そして、ラントの両隣に女性を従えていることすら、まったく知らなかった。
ラントを目的に襲撃し、大事にならずに済ませたことで、その話すらギルドには届くことはなかった。そのため、ギルド長をするヴォルフの耳にも届くはずもなく、結果的に頭を抱えることになっていた。
『本当なら、オレが騎士団の詰め所に行けば良いんだけど......』
『というか、この2人がいなければ、普通に行けたんだけどなぁ...』
本来ならば、ラントが直接引き継げば良いものだが、さすがに魔族国の王女ふたりを詰め所に連れて行く事ははばかられる。そのため、ギルドへと立ち寄っていたものの、そうなると今度は別の問題がでる。
「面倒くさい...これだから、退屈なのよ」
「そうですね。姉様......ねぇ、ラント。もっとこう、スッとできないもの?」
「聞いてる? ラント。あんた強いんだから、とっとと済ませればいいじゃない」
「そうです! その腕っぷしで...」
「......あのなぁ、ここは魔族国じゃなくて、皇国なんだから...」
「力で解決しようとするなよ...」
両隣から挟み込むように好き勝手に話すイレイナスとグリエリ。そんなふたりの様子に呆れながらも、ただ抑えることしかできない。
『......早く書類を持ってきてくれ』
『委任状を書けば済む話じゃないのか?』
力こそ正義。と言わんばかりの階級制が築かれているのが魔族国だったが、ここは皇国。そんな武力優先なら、いよいよややこしいことになる。
『オレ、女になってヤケになった』
『なんて、言われたくないぞ?』
そんなことを考えているうち、ヴォルフギルド長が渋い顔をしながらも口を開く。若干、血の気が引いているようにも見えるその姿は、普段の威厳はどこへやらすっかりとなりを潜めていた。
「ま、待ってくれ。ラント......」
「聞き間違いじゃなければだが...」
「もしかして、そっちは第3王女のイレイナス様で...」
「そっちが、第4王女のグリエリ様か?」
「......えっ? はい、そうですよ?」
「......はぁぁぁぁぁぁ」
ラントのまったく気にしていない返事に驚きながらも、大きくため息をつく。ガックリと落ちた肩が、その動揺をを表していた。恰幅《かっぷく》の良いその体が、ガックリと力なく項垂《うなだ》れて頭を抱える。
『どうなんだ? 国賓待遇のふたりを従えてるって......』
『しかも、ここ。どこか分かってるのか? 皇国内だぞ?』
『いくら調停を結んだからと言ってだ...』
『王女2人を連れ回すのはどうかと思うぞ? ラント......』
かつての大戦でどちらも復興に向かったとはいえ、未だ緊張が続く。火種が転がれば、また始まりかねない。そんな中での2人の存在が皇国にいるのだから、心労甚だしい...
考えを巡らせる間も、ラントと両隣に座る王女ふたりが好き勝手に話が広がっていた。
「だから、オレにも理由があって、ここに...」
「なら、その理由を言いなさいよ? はっきりしないわね...?」
「だからな? ここは皇国で魔族国じゃ...」
「今は関係ないでしょ? 戦う気なんて早々ないんだし...」
「分かってるけど......」
さらには、付添いで来ているセリアまでもが混ざり、更にややこしくなる...
「グリエリもイレイナスも、勝手が過ぎます」
「ラントにも考えがあって、ここに来てるわけですし...」
「それに、好き勝手されても困るわ」
「だけど...セリア......」
「そうだ。じれったい......」
「まったく......おふたりは......」
ソファーの後ろで呆れるように肩を下げる。
その様子をこの部屋で一番感じ取れるものはそれ以上の呆れ具合だ...
『それは、こっちのセリフだ...』
『おふたりは遊びのつもりだろうが...』
『こっちの身にもなってくれ。王女なんだから......』
『ん?』
そこで疑問がよぎる......
「まて、セリア? 今、ふたりの名前を...」
「えっ? グリエリとイレイナスですか?」
「それだ。どうして、ふたりに“様付け”をしないんだ。王女だろう?」
「あぁ、それですか...それなら、おふたりから...」
さも普通に呼ぶセリアとラントに冷や汗が出る。見た目こそ貴族のご令嬢のように着飾ってこそいるものの、そのふたりは国を上げて饗《もてな》さなければいけないほどの存在だ。
特に、ギルド長ともなれば、貴族院との距離も近く、顔色伺いも大変だ。それが目の前で王女ふたりを堂々と“呼び捨て”にしているのだから......
「いいわよ。いちいち様付けされても困るわ。ねぇ、グリエリ?」
「はい。かしこまられても、嬉しくないですし...」
「そ、そんなものですか?」
「そうよ。まぁ...小馬鹿にするやつは、ただじゃ置かないけどな?」
「えぇ......」
「ひっ...」
体の前で手を組みながら間接を鳴らす仕草は、威嚇をするには十分だった。さりとて、無駄骨を折っているような状況をどうにかしたいふたりは、今にも暴れそうなほどの勢いだ。
「ところでさぁ、ここで一番偉いのは、あんただろ?」
「......いつまで待てばいいんだ? 書類ひとつ用意できねぇのか?」
「そうです。早く用意しなさい...」
「じゃないと、ねぇ。姉様?」
「えぇ......」
でんっ!と間にある机に片足を乗せて凄むふたり、その威圧感たるやそれなりの腕をもつギルド長ですら臆してしまうほど。
「お、おふたりとも......」
「ここは抑えてください...」
ギルド長との距離を縮めながら凄み続けるグリエリとイレイナス。そんな2人の襟元を掴むと、グイッと引き寄せてしまう。
「やめんか!」
グイッと寄せられてしまったふたりは、その気迫とは裏腹にかわいい声が漏れる...
「あうっ!」
「ぎゃんっ!」
「すみません......ふたりが」
「あ、あぁ......」
ソファーに押し倒されてしまい、拍子抜けしたふたりだったものの、どこかほんのりと頬が染まっていた。
「ふ、ふんっ! しかたない。ラントに従ってやる...」
『やべぇ、めっちゃドキドキしたぁぁぁ!!』
「もぅ、ラントさんったら、強引♪」
『最高......ラントお姉さまぁぁ♪』
ほぼ同時にそんな言葉が漏れた上、魔族の姉妹同士ということもあり意思の疎通が働いたのか、イレイナスの目がグリエリへと向く...
「......グリエリ? おまえ、まさか......?」
「な、何のことでしょうか、姉様...?」
「アタシのラントを取る気か?」
「そ、そんなことは、滅相も...ん? アタシの?」
「......あ」
「姉様も、なんだかんだで好きなんじゃ?」
「......う、うるせぇ!」
それからおしりに火がついたギルド長は、そそくさと部屋を後にすると、引き継ぎ相手でもあるエリスに聖騎士団を任せることになった。一度動けば、その伝達も早く、その日の内には彼女の元にたどり着くことになった。
◇◇
数枚の用意された書類にサインをすれば、この場ですることは全て終わりを迎え、後はお腹に刻まれた刻印の正体と解呪方法を探すことになるのだが、案の定。一朝一夕にはいかなかった......
「これはこれは、グリエリ様にイレイナス様ではありませんか!」
「昨日、ラント殿...いえ、ラント様と拳を交えられたとのことで...」
「いらしていただけるのなら、丁重《ていちょう》にお迎えしましたのに...」
装飾たっぷりの服と贅を尽くしたようなその身なりは、歩くだけで運動になりそうなほどにではあったものの、痩せるどころかむしろその肥《こえ》たでっぷりとしたお腹が、全てを物語っていた。
その独特な胡散臭《うさんくさ》さと、それでいて胸元に輝くのは貴族院の紋章がひときわ煌めいて、その存在はギルド長よりも存在感を感じさせる。それでいていっそうくぼんだ目元は、掴みどころのなさを見せる。
「あん? 誰だあんた...」
「どうせ、取るに足らないひとでしょ?」
いかにもな見た目をしていても、まったく気にすることのないふたりは、服についたホコリでも払うようにあしらう。
「......っっ!」
さすがに足蹴にされては、腹が立つというものだったが、ぐっと堪える。
そこに、割って入るラント...
「まぁまぁ...」
「身なりからするに、貴族院の方で商人でもされているのですか?」
社交辞令とばかりに、体よく振る舞う。
好戦的なふたりを抑えるのに、気苦労が絶えない。そのうえ、これほど着飾っているとはいえ、おいそれと敵を作っては身も蓋もない
「これはこれは。私《わたくし》としたことが...名乗り遅れましたな」
「私《わたくし》、ザラノフ家のイヴァンと申します...」
「お察しのとおり、商人であり、貴族をしております」
「以後、お見知りおきを......」
「こちらこそ...」
恭《うやうや》しく頭《こうべ》を垂れる様子に、こちらも合わせる。もちろん社交辞令だったが、隣のふたりは頭を下げるどころかふんぞり返っている。
『......まったく、ふたりは......』
ふたりの様子に呆れながらも、軽く握手を交えたあとで腰を下ろす。更に話は続き、まくしたてるように話しはじめる。
「ラント様は、これから旅に出られるとか...」
「はい。それが何か......?」
「その際に、ぜひ我が商会の武器を......!」
武器に関してはガルドが作ってくれた双刀《そうとう》。黒曜《こくよう》と白夜《びゃくや》があったがどちらも聖剣レベルの代物で、旅に持ち歩くのには大げさでもある。
さりとて、途中でガルドの店に立ち寄っても良かったものの、ここで商人がひょっこりと顔を出してくれたのは、何かの縁を感じる。
「うーん。それなら......」
「えぇ! 用意しますよ!」
手頃なものをひと振りでもと思い、考えを巡らせたものの...
「はぁ? ラントに武器だ? いらねぇ」
「えぇ、そうです! ラントさんには必要ないです!」
「そうよ! ラントは普通に強いんだから...」
「そう言われましても...ね?」
ラントと商人の間に割って入るふたり。語気が強くなるほどに、その威圧具合が増していく。ふたりを見ては、ラントを見るその強《したたか》かな瞳が、みるみる内に怯えたものへと変わっていく。
それでも、さすが商人。怖がることなく、一歩前へと踏み出す。
「短剣から、長剣。どのようなものでも用意しますよ~」
「たとえば、レイピアなどでも......」
饒舌に語る商人に呆れ、腹が立ったようで...
“ダンッ!!”
目の前にある机を叩くイレイナス...
「ひっ!!」
「いらねぇって言ってんだろ? 耳が聞けねぇのか!」
「し、しかし...」
「そうです。とっとと帰れ...」
商人を両隣から挟みながら威圧するグリエリとイレイナス。王女ふたりに威圧されては手立てがなく、しっぽを巻いて脱兎のように部屋を飛び出してしまった...。
「ひぃぃぃぃぃっ!!」
「失礼しましたぁぁぁぁ!!」
ダダダダと板材の床を響かせながら走る光景に、ふたりの王女はゲラゲラと腹を抱えて笑う。
「あはははは!! 何だよあれ...」
「ほんとうですね。姉様」
「豚もけしかけると、走るんだな!」
「ずいぶん早いですね~あはは」
部屋の扉からひょっこりと顔をのぞかせながら笑うその様子は、おおよそ王女のそれとはまったく違い、普通の女の子にも見える。
「はぁぁ。お前たちは...」
ちょうどその時、応接室にあった通信端末が起動する。それは、国交樹立記念に双方を繋ぐものとして設けられたものだったが、起動するのはこの日が初めてだった。
薄っすらと空間に映像が映し出されると、どうやらこれまでの様子を見ていたのか、ラントの言葉に相槌《あいずち》を打つ。
『ラント様ですね? 叱っても良いですよ?』
「えっ? その声は...」
風のせせらぎを感じさせるほどの、静かな声でラントの耳に届く声に呼ばれ、振り返った先に映るのは、小さく映し出された映像だった。
澄んだ声、穏やかに揺れ動く黒髪と緋色にきらめく瞳は、吸い込まれそうなほどに美しく、それでいて映像越しでも感じる“静謐《せいひつ》さ”があった。ただ、よほど腹に据えかねているのか、いらだちが伝わってくるほどだった。
「も、もしかして...セレフィナ様?」
『あら、ご存知でしたのね? 嬉しいですわ!』
「えぇ、有名ですからね...」
『まぁ、うれしいです』
「で、いいんですか? 妹君をふたり...」
『はいっ! やっちゃってください!』
清々しいばかりの満面の笑みを見せながら、長女でもあるセレフィナからの申し出に、ふたりを止めないわけにはいかなかった。
『ほら、いわんこっちゃない......』
廊下に顔を出しながら、未だに楽しげにゲラゲラと笑い続けているイレイナスとグリエリの後ろに、そっと近づくラント。
「いい加減に、しろっ...」
そうして、ふたりの脳天に綺麗なげんこつが落ちたのだった。
“ぽこっ! ぱこっ!!”
「あうっ!」
「ひゃうっ!!」
「いたっ! ラント、何すんだよ!」
「痛いですよ~。良いでしょ? 少しくらい笑っても......」
頭を抑えながらも振り返るイレイナスとグリエリの目に留まったのは、見覚えのある顔だった。
『少しくらい? あれで......?』
『外交の橋渡しになるかと思って、放置してたけど......』
『まだ、早かったかしら? グリエリ、イレイナス』
「お、おっ......」
「お姉さまぁぁぁ!!」
先程まで活気で溢れ、ゲラゲラと満面の笑みで微笑んでいたふたりの顔から、一気に血の気が引き、映像の前にひれ伏してしまう。あまりに勢い良くひれ伏したため、床からは煙が上がるほどだった。
「すみません、すみません。すみません!! セレフィナ姉様!」
「すみませんでした! セレフィナ姉様!!」
『もぅ、あなたたちは......』
『セリア様も、相手をさせてしまって、すみませんでした』
「い、いいえ...ほんと、喧嘩っ早くて...」
『はい、そうなんですよ~困った妹です...』
映像の向こう側で会釈をすれば映像も傾き、その様子をしっかりと伝える。映像越しだったものの、改めて第1王女のセレフィナと会うことになった。その威厳とオーラは、映像ですら肌をひりつかせるほどだった。
それでも、決して悪意はなく、そのほとんどは妹たちに向けられている。
『ほんとうに、分かっていますか! あなた達は王女なのですよ!』
『その身分をしりながら、おいそれと国境越えはおろか...』
『ラント様にまで喧嘩をふっかけて...』
『それでも飽き足らず、商人を追い払うなんて......』
正座をして平謝りするグリエリとイレイナスに、説教を続ける。
「あ、ちなみに追い払ったのは、貴族の商人でして...」
『なっ! なんですってぇぇぇ!!』
『あなた達!! しばらく、国に帰らなくていいわ!!』
『ラント様のもとでおとなしくしていなさい!!』
「ね、姉様ぁぁ。それはあんまり...グリフィンも返してしまいましたし...」
「そうです、帰るだけではなく、移動するのにも...」
『......おだまり!!』
「ひぃっ!! すみませんでしたぁぁ!!」
「すみませんでしたぁぁ!!」
ギルド長を怯えさせたり、貴族院に属する貴族商人を追い払うなど、外交としては最悪の結果に、怒らないはずもなく。映像越しの説教は数時間に及ぶほどだった。
◇◇
すっかりセレフィナに絞られてしまったふたりは、げっそりとするほどに疲れてしまうほどだった。
『本来ならば、私《わたくし》がそちらに伺って説教をするべきですが...』
『ラント様の顔もあるわけですし...』
「心遣いに感謝します。セレフィナ様...」
恭《うやうや》しく片膝をついて、映像に向かって頭《こうべ》を垂れる。その姿はまさに聖騎士の仕草で、体に染み付いたものだった。その様子を映像越しで眺めながら......
『......どうしてあなたが魔族側ではないのかしら......』
「ん? セレフィナ様?」
『何でもないわ。気にしないで...そうそう。どうせなら...』
「はい? 何がご依頼でも...?」
片膝を付きながらも見上げるラント。
『......ふたりの妹。嫁《とつ》がせるわ』
「ぶっ!! セレフィナ姉?!」
「ぶふっ! 姉様?!」
満面の笑みと共に紡がれたその声に、本人たちも吹き出してしまった。慌てるように映像に詰め寄るようにして近づく...
「セレフィナ姉! それは聞いてないですよ!」
『今決めたもの...』
「わ、私もですか? 姉様...」
『グリエリ。あなたはもう、決まっているでしょ? ラント様のこと......♡』
「あぁぁぁ。言わないでください! 姉様!!」
『うふふふ♡』
3人のやりとりに呆れながらも、クスクスと笑ってしまう。
『まったく、セレフィナ様も冗談がすぎる』
『まぁ、和んだから良いけど...』
そんなことを思いながらもふたりを眺めていると、チラチラとこちらを振り向くふたりは、どこか頬が染まっていた。
『あぁ、ついでに...』
「ま、まだ何かあるんですか? セレフィナ姉」
『むしろ。こっちが本命よ?』
『あなた達。ちゃんと外交をしてきなさい。ラント様と一緒に...』
映像越しに言い渡される命令の中に、自分の名前が聞こえた様子に首をかしげる。
『ん? オレ?』
「セレフィナ様? オレの名前...」
『そうです。ラント様、ふたりをお預けするので...」
「外交とはなんたるかを学ばせて上げてください!』
「え、えぇぇぇっ?!」
改めて第1王女セレフィナから直々に、ラントがグリエリとイレイナスに手ほどきをする事になってしまう。
「ちゃ、ちゃんと教えなさいよね? 力でなら任せなさい!」
「ラント様。お願いします...姉様ほどではないですが、力ならお貸しします!」
両隣から迫るようにして、甘えてみせるふたり。今のラントは男。ではなく女だったこともあり、迫られてもなにも感じなかった......
確かにかわいいふたりと、第1王女の頼みだから断ることはしないものの、グイグイとふたりに挟まれながら押されても、まったく興奮も何もなかった。
『......お、オレ。男に戻れるのか?』
『と言うか。オレ、男じゃなくなってないか?』
『戻ったとしても、不安なんだが......』
その間も、グリエリとイレイナスはどちらが先だと取り合いを始め、それを微笑ましく眺めるセレフィナ。そして、呆れるセリアという微笑ましくも賑やかなことになったのだった。
途中、第3王女。イレイナスのためにと洋服店に立ち寄っては、店名でツッコまれてゲラゲラと笑われ、王族らしい立派な衣装を見繕ったあと貴族院管理の皇国ギルドに立ち寄っていた。
「あぁ、なんだ。女になったのは知ってたが......」
「そのふたりは、聞いてないんだが...」
「で、ですよねー」
応接間のような部屋に通され、向かい合うソファーに腰を下ろしたラントの向かいには、貴族院との橋渡しをするギルド長が待ち構えていた。そして、ラントの両隣に女性を従えていることすら、まったく知らなかった。
ラントを目的に襲撃し、大事にならずに済ませたことで、その話すらギルドには届くことはなかった。そのため、ギルド長をするヴォルフの耳にも届くはずもなく、結果的に頭を抱えることになっていた。
『本当なら、オレが騎士団の詰め所に行けば良いんだけど......』
『というか、この2人がいなければ、普通に行けたんだけどなぁ...』
本来ならば、ラントが直接引き継げば良いものだが、さすがに魔族国の王女ふたりを詰め所に連れて行く事ははばかられる。そのため、ギルドへと立ち寄っていたものの、そうなると今度は別の問題がでる。
「面倒くさい...これだから、退屈なのよ」
「そうですね。姉様......ねぇ、ラント。もっとこう、スッとできないもの?」
「聞いてる? ラント。あんた強いんだから、とっとと済ませればいいじゃない」
「そうです! その腕っぷしで...」
「......あのなぁ、ここは魔族国じゃなくて、皇国なんだから...」
「力で解決しようとするなよ...」
両隣から挟み込むように好き勝手に話すイレイナスとグリエリ。そんなふたりの様子に呆れながらも、ただ抑えることしかできない。
『......早く書類を持ってきてくれ』
『委任状を書けば済む話じゃないのか?』
力こそ正義。と言わんばかりの階級制が築かれているのが魔族国だったが、ここは皇国。そんな武力優先なら、いよいよややこしいことになる。
『オレ、女になってヤケになった』
『なんて、言われたくないぞ?』
そんなことを考えているうち、ヴォルフギルド長が渋い顔をしながらも口を開く。若干、血の気が引いているようにも見えるその姿は、普段の威厳はどこへやらすっかりとなりを潜めていた。
「ま、待ってくれ。ラント......」
「聞き間違いじゃなければだが...」
「もしかして、そっちは第3王女のイレイナス様で...」
「そっちが、第4王女のグリエリ様か?」
「......えっ? はい、そうですよ?」
「......はぁぁぁぁぁぁ」
ラントのまったく気にしていない返事に驚きながらも、大きくため息をつく。ガックリと落ちた肩が、その動揺をを表していた。恰幅《かっぷく》の良いその体が、ガックリと力なく項垂《うなだ》れて頭を抱える。
『どうなんだ? 国賓待遇のふたりを従えてるって......』
『しかも、ここ。どこか分かってるのか? 皇国内だぞ?』
『いくら調停を結んだからと言ってだ...』
『王女2人を連れ回すのはどうかと思うぞ? ラント......』
かつての大戦でどちらも復興に向かったとはいえ、未だ緊張が続く。火種が転がれば、また始まりかねない。そんな中での2人の存在が皇国にいるのだから、心労甚だしい...
考えを巡らせる間も、ラントと両隣に座る王女ふたりが好き勝手に話が広がっていた。
「だから、オレにも理由があって、ここに...」
「なら、その理由を言いなさいよ? はっきりしないわね...?」
「だからな? ここは皇国で魔族国じゃ...」
「今は関係ないでしょ? 戦う気なんて早々ないんだし...」
「分かってるけど......」
さらには、付添いで来ているセリアまでもが混ざり、更にややこしくなる...
「グリエリもイレイナスも、勝手が過ぎます」
「ラントにも考えがあって、ここに来てるわけですし...」
「それに、好き勝手されても困るわ」
「だけど...セリア......」
「そうだ。じれったい......」
「まったく......おふたりは......」
ソファーの後ろで呆れるように肩を下げる。
その様子をこの部屋で一番感じ取れるものはそれ以上の呆れ具合だ...
『それは、こっちのセリフだ...』
『おふたりは遊びのつもりだろうが...』
『こっちの身にもなってくれ。王女なんだから......』
『ん?』
そこで疑問がよぎる......
「まて、セリア? 今、ふたりの名前を...」
「えっ? グリエリとイレイナスですか?」
「それだ。どうして、ふたりに“様付け”をしないんだ。王女だろう?」
「あぁ、それですか...それなら、おふたりから...」
さも普通に呼ぶセリアとラントに冷や汗が出る。見た目こそ貴族のご令嬢のように着飾ってこそいるものの、そのふたりは国を上げて饗《もてな》さなければいけないほどの存在だ。
特に、ギルド長ともなれば、貴族院との距離も近く、顔色伺いも大変だ。それが目の前で王女ふたりを堂々と“呼び捨て”にしているのだから......
「いいわよ。いちいち様付けされても困るわ。ねぇ、グリエリ?」
「はい。かしこまられても、嬉しくないですし...」
「そ、そんなものですか?」
「そうよ。まぁ...小馬鹿にするやつは、ただじゃ置かないけどな?」
「えぇ......」
「ひっ...」
体の前で手を組みながら間接を鳴らす仕草は、威嚇をするには十分だった。さりとて、無駄骨を折っているような状況をどうにかしたいふたりは、今にも暴れそうなほどの勢いだ。
「ところでさぁ、ここで一番偉いのは、あんただろ?」
「......いつまで待てばいいんだ? 書類ひとつ用意できねぇのか?」
「そうです。早く用意しなさい...」
「じゃないと、ねぇ。姉様?」
「えぇ......」
でんっ!と間にある机に片足を乗せて凄むふたり、その威圧感たるやそれなりの腕をもつギルド長ですら臆してしまうほど。
「お、おふたりとも......」
「ここは抑えてください...」
ギルド長との距離を縮めながら凄み続けるグリエリとイレイナス。そんな2人の襟元を掴むと、グイッと引き寄せてしまう。
「やめんか!」
グイッと寄せられてしまったふたりは、その気迫とは裏腹にかわいい声が漏れる...
「あうっ!」
「ぎゃんっ!」
「すみません......ふたりが」
「あ、あぁ......」
ソファーに押し倒されてしまい、拍子抜けしたふたりだったものの、どこかほんのりと頬が染まっていた。
「ふ、ふんっ! しかたない。ラントに従ってやる...」
『やべぇ、めっちゃドキドキしたぁぁぁ!!』
「もぅ、ラントさんったら、強引♪」
『最高......ラントお姉さまぁぁ♪』
ほぼ同時にそんな言葉が漏れた上、魔族の姉妹同士ということもあり意思の疎通が働いたのか、イレイナスの目がグリエリへと向く...
「......グリエリ? おまえ、まさか......?」
「な、何のことでしょうか、姉様...?」
「アタシのラントを取る気か?」
「そ、そんなことは、滅相も...ん? アタシの?」
「......あ」
「姉様も、なんだかんだで好きなんじゃ?」
「......う、うるせぇ!」
それからおしりに火がついたギルド長は、そそくさと部屋を後にすると、引き継ぎ相手でもあるエリスに聖騎士団を任せることになった。一度動けば、その伝達も早く、その日の内には彼女の元にたどり着くことになった。
◇◇
数枚の用意された書類にサインをすれば、この場ですることは全て終わりを迎え、後はお腹に刻まれた刻印の正体と解呪方法を探すことになるのだが、案の定。一朝一夕にはいかなかった......
「これはこれは、グリエリ様にイレイナス様ではありませんか!」
「昨日、ラント殿...いえ、ラント様と拳を交えられたとのことで...」
「いらしていただけるのなら、丁重《ていちょう》にお迎えしましたのに...」
装飾たっぷりの服と贅を尽くしたようなその身なりは、歩くだけで運動になりそうなほどにではあったものの、痩せるどころかむしろその肥《こえ》たでっぷりとしたお腹が、全てを物語っていた。
その独特な胡散臭《うさんくさ》さと、それでいて胸元に輝くのは貴族院の紋章がひときわ煌めいて、その存在はギルド長よりも存在感を感じさせる。それでいていっそうくぼんだ目元は、掴みどころのなさを見せる。
「あん? 誰だあんた...」
「どうせ、取るに足らないひとでしょ?」
いかにもな見た目をしていても、まったく気にすることのないふたりは、服についたホコリでも払うようにあしらう。
「......っっ!」
さすがに足蹴にされては、腹が立つというものだったが、ぐっと堪える。
そこに、割って入るラント...
「まぁまぁ...」
「身なりからするに、貴族院の方で商人でもされているのですか?」
社交辞令とばかりに、体よく振る舞う。
好戦的なふたりを抑えるのに、気苦労が絶えない。そのうえ、これほど着飾っているとはいえ、おいそれと敵を作っては身も蓋もない
「これはこれは。私《わたくし》としたことが...名乗り遅れましたな」
「私《わたくし》、ザラノフ家のイヴァンと申します...」
「お察しのとおり、商人であり、貴族をしております」
「以後、お見知りおきを......」
「こちらこそ...」
恭《うやうや》しく頭《こうべ》を垂れる様子に、こちらも合わせる。もちろん社交辞令だったが、隣のふたりは頭を下げるどころかふんぞり返っている。
『......まったく、ふたりは......』
ふたりの様子に呆れながらも、軽く握手を交えたあとで腰を下ろす。更に話は続き、まくしたてるように話しはじめる。
「ラント様は、これから旅に出られるとか...」
「はい。それが何か......?」
「その際に、ぜひ我が商会の武器を......!」
武器に関してはガルドが作ってくれた双刀《そうとう》。黒曜《こくよう》と白夜《びゃくや》があったがどちらも聖剣レベルの代物で、旅に持ち歩くのには大げさでもある。
さりとて、途中でガルドの店に立ち寄っても良かったものの、ここで商人がひょっこりと顔を出してくれたのは、何かの縁を感じる。
「うーん。それなら......」
「えぇ! 用意しますよ!」
手頃なものをひと振りでもと思い、考えを巡らせたものの...
「はぁ? ラントに武器だ? いらねぇ」
「えぇ、そうです! ラントさんには必要ないです!」
「そうよ! ラントは普通に強いんだから...」
「そう言われましても...ね?」
ラントと商人の間に割って入るふたり。語気が強くなるほどに、その威圧具合が増していく。ふたりを見ては、ラントを見るその強《したたか》かな瞳が、みるみる内に怯えたものへと変わっていく。
それでも、さすが商人。怖がることなく、一歩前へと踏み出す。
「短剣から、長剣。どのようなものでも用意しますよ~」
「たとえば、レイピアなどでも......」
饒舌に語る商人に呆れ、腹が立ったようで...
“ダンッ!!”
目の前にある机を叩くイレイナス...
「ひっ!!」
「いらねぇって言ってんだろ? 耳が聞けねぇのか!」
「し、しかし...」
「そうです。とっとと帰れ...」
商人を両隣から挟みながら威圧するグリエリとイレイナス。王女ふたりに威圧されては手立てがなく、しっぽを巻いて脱兎のように部屋を飛び出してしまった...。
「ひぃぃぃぃぃっ!!」
「失礼しましたぁぁぁぁ!!」
ダダダダと板材の床を響かせながら走る光景に、ふたりの王女はゲラゲラと腹を抱えて笑う。
「あはははは!! 何だよあれ...」
「ほんとうですね。姉様」
「豚もけしかけると、走るんだな!」
「ずいぶん早いですね~あはは」
部屋の扉からひょっこりと顔をのぞかせながら笑うその様子は、おおよそ王女のそれとはまったく違い、普通の女の子にも見える。
「はぁぁ。お前たちは...」
ちょうどその時、応接室にあった通信端末が起動する。それは、国交樹立記念に双方を繋ぐものとして設けられたものだったが、起動するのはこの日が初めてだった。
薄っすらと空間に映像が映し出されると、どうやらこれまでの様子を見ていたのか、ラントの言葉に相槌《あいずち》を打つ。
『ラント様ですね? 叱っても良いですよ?』
「えっ? その声は...」
風のせせらぎを感じさせるほどの、静かな声でラントの耳に届く声に呼ばれ、振り返った先に映るのは、小さく映し出された映像だった。
澄んだ声、穏やかに揺れ動く黒髪と緋色にきらめく瞳は、吸い込まれそうなほどに美しく、それでいて映像越しでも感じる“静謐《せいひつ》さ”があった。ただ、よほど腹に据えかねているのか、いらだちが伝わってくるほどだった。
「も、もしかして...セレフィナ様?」
『あら、ご存知でしたのね? 嬉しいですわ!』
「えぇ、有名ですからね...」
『まぁ、うれしいです』
「で、いいんですか? 妹君をふたり...」
『はいっ! やっちゃってください!』
清々しいばかりの満面の笑みを見せながら、長女でもあるセレフィナからの申し出に、ふたりを止めないわけにはいかなかった。
『ほら、いわんこっちゃない......』
廊下に顔を出しながら、未だに楽しげにゲラゲラと笑い続けているイレイナスとグリエリの後ろに、そっと近づくラント。
「いい加減に、しろっ...」
そうして、ふたりの脳天に綺麗なげんこつが落ちたのだった。
“ぽこっ! ぱこっ!!”
「あうっ!」
「ひゃうっ!!」
「いたっ! ラント、何すんだよ!」
「痛いですよ~。良いでしょ? 少しくらい笑っても......」
頭を抑えながらも振り返るイレイナスとグリエリの目に留まったのは、見覚えのある顔だった。
『少しくらい? あれで......?』
『外交の橋渡しになるかと思って、放置してたけど......』
『まだ、早かったかしら? グリエリ、イレイナス』
「お、おっ......」
「お姉さまぁぁぁ!!」
先程まで活気で溢れ、ゲラゲラと満面の笑みで微笑んでいたふたりの顔から、一気に血の気が引き、映像の前にひれ伏してしまう。あまりに勢い良くひれ伏したため、床からは煙が上がるほどだった。
「すみません、すみません。すみません!! セレフィナ姉様!」
「すみませんでした! セレフィナ姉様!!」
『もぅ、あなたたちは......』
『セリア様も、相手をさせてしまって、すみませんでした』
「い、いいえ...ほんと、喧嘩っ早くて...」
『はい、そうなんですよ~困った妹です...』
映像の向こう側で会釈をすれば映像も傾き、その様子をしっかりと伝える。映像越しだったものの、改めて第1王女のセレフィナと会うことになった。その威厳とオーラは、映像ですら肌をひりつかせるほどだった。
それでも、決して悪意はなく、そのほとんどは妹たちに向けられている。
『ほんとうに、分かっていますか! あなた達は王女なのですよ!』
『その身分をしりながら、おいそれと国境越えはおろか...』
『ラント様にまで喧嘩をふっかけて...』
『それでも飽き足らず、商人を追い払うなんて......』
正座をして平謝りするグリエリとイレイナスに、説教を続ける。
「あ、ちなみに追い払ったのは、貴族の商人でして...」
『なっ! なんですってぇぇぇ!!』
『あなた達!! しばらく、国に帰らなくていいわ!!』
『ラント様のもとでおとなしくしていなさい!!』
「ね、姉様ぁぁ。それはあんまり...グリフィンも返してしまいましたし...」
「そうです、帰るだけではなく、移動するのにも...」
『......おだまり!!』
「ひぃっ!! すみませんでしたぁぁ!!」
「すみませんでしたぁぁ!!」
ギルド長を怯えさせたり、貴族院に属する貴族商人を追い払うなど、外交としては最悪の結果に、怒らないはずもなく。映像越しの説教は数時間に及ぶほどだった。
◇◇
すっかりセレフィナに絞られてしまったふたりは、げっそりとするほどに疲れてしまうほどだった。
『本来ならば、私《わたくし》がそちらに伺って説教をするべきですが...』
『ラント様の顔もあるわけですし...』
「心遣いに感謝します。セレフィナ様...」
恭《うやうや》しく片膝をついて、映像に向かって頭《こうべ》を垂れる。その姿はまさに聖騎士の仕草で、体に染み付いたものだった。その様子を映像越しで眺めながら......
『......どうしてあなたが魔族側ではないのかしら......』
「ん? セレフィナ様?」
『何でもないわ。気にしないで...そうそう。どうせなら...』
「はい? 何がご依頼でも...?」
片膝を付きながらも見上げるラント。
『......ふたりの妹。嫁《とつ》がせるわ』
「ぶっ!! セレフィナ姉?!」
「ぶふっ! 姉様?!」
満面の笑みと共に紡がれたその声に、本人たちも吹き出してしまった。慌てるように映像に詰め寄るようにして近づく...
「セレフィナ姉! それは聞いてないですよ!」
『今決めたもの...』
「わ、私もですか? 姉様...」
『グリエリ。あなたはもう、決まっているでしょ? ラント様のこと......♡』
「あぁぁぁ。言わないでください! 姉様!!」
『うふふふ♡』
3人のやりとりに呆れながらも、クスクスと笑ってしまう。
『まったく、セレフィナ様も冗談がすぎる』
『まぁ、和んだから良いけど...』
そんなことを思いながらもふたりを眺めていると、チラチラとこちらを振り向くふたりは、どこか頬が染まっていた。
『あぁ、ついでに...』
「ま、まだ何かあるんですか? セレフィナ姉」
『むしろ。こっちが本命よ?』
『あなた達。ちゃんと外交をしてきなさい。ラント様と一緒に...』
映像越しに言い渡される命令の中に、自分の名前が聞こえた様子に首をかしげる。
『ん? オレ?』
「セレフィナ様? オレの名前...」
『そうです。ラント様、ふたりをお預けするので...」
「外交とはなんたるかを学ばせて上げてください!』
「え、えぇぇぇっ?!」
改めて第1王女セレフィナから直々に、ラントがグリエリとイレイナスに手ほどきをする事になってしまう。
「ちゃ、ちゃんと教えなさいよね? 力でなら任せなさい!」
「ラント様。お願いします...姉様ほどではないですが、力ならお貸しします!」
両隣から迫るようにして、甘えてみせるふたり。今のラントは男。ではなく女だったこともあり、迫られてもなにも感じなかった......
確かにかわいいふたりと、第1王女の頼みだから断ることはしないものの、グイグイとふたりに挟まれながら押されても、まったく興奮も何もなかった。
『......お、オレ。男に戻れるのか?』
『と言うか。オレ、男じゃなくなってないか?』
『戻ったとしても、不安なんだが......』
その間も、グリエリとイレイナスはどちらが先だと取り合いを始め、それを微笑ましく眺めるセレフィナ。そして、呆れるセリアという微笑ましくも賑やかなことになったのだった。
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