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A~D 生徒総会閉会の時間です
しおりを挟む大人なエフ殿下は、ニッコリと、
「では、王にお伝えしよう。
ディー。お前の破棄の手続きも私がしてあげるから、真実の愛に邁進しておくれ
「ちょおっと、待ったアー‼︎」
無礼にも殿下の言葉に重なる大声。
何とかメロンを外したアーディアである。
さっきより速い。メロンは好きだったのであろう。
「エフ様っ!
貴方は私と……♡
私に出会うために学園を訪れたのよ!
私たちは、運命のつがいなのっ
そんな自分の時間を金で換算するような女より、可愛いアーディアよ!
人のお古じゃ、エフ様には不釣り合いだわっ!
お古より、この清純なアーディアだわっ!」
叫び声はドスが効いていたが、
エフ殿下を見据えるアーディアは、
コロッといつものぶりっ子に変身している。
言ってる内容は、かなり中の人だが。
エフは、大人な余裕で微笑んで受けていたが、目は笑ってはいなかった。
「これはこれは。ディーのご婚約者。
弟には申し訳ないが、お古は君ではないかな?
しかも相当古い」
「…え?」
機を見たD嬢は、そこで、またまたAを呼んだ。
「A嬢」
Aは三度すっと立ち、黒革の手帖を胸元にかざした。
パブロフの犬状態のエーは、顔面蒼白心拍数急上昇である。
が、
標的はエーではない。
Aは壇上を見据えた。
「アーディア嬢。
貴女がエー達を脅迫しても、無駄です。
婚約者の過ちは全て承知。
どんな醜聞が流れても、それ以上の殿方とのスクープを入手しておりますので、貴女が動けば即、私の手帖が新聞社に」
「……何ですって」
脅迫には脅迫です。
ぴしりとA嬢は断じた。
そして
「付け足しますと、わたくし、これでもエーを大変お慕いしております。何を申されても動じません。」
(え、A……)
エーは、能面のようなA嬢がほんの少し火照っているのを見て、心から、心の底から、安堵した。
「……アーディア?兄と出会うために、って」
もはや第二王子はオーラが消えて搾りかすになっている。イケメンの搾りかすである。
それでも恋人の言葉には、反応したのだ。
「あ……」
しまった、つい本音が、という表情を彼は見逃さなかった。
「君は……私ひとりを愛しているのではないのか?」
「あ、あんただって、破棄をひっくり返そうとしたじゃない!
あの女の誘惑に負けて!」
あんた呼ばわりに、王子の導火線に火がついた。
「お古って!お古って何だ?」
「……あんただって美味しい思いしたでしょ?」
「私は最後までは、……っ!
でていけっ、このスベタ!」
壇上の痴話喧嘩は余りにも醜い。
エフは蔑みの眼差しを向けた後、蕩けるような笑みでD嬢の肩を抱いた。
「さ。D嬢。王宮へ。……議長?」
エフの流し目に、議長のAまでの直線上に居た女子は死んだ。
「い、以上でっ、
生徒総会をへい、閉会しますっ!
……うわあっ!」
ハンマーを叩くなり、エーは吊り下げられた猫と化した。
背の高いA嬢が襟首をつまんで、のしのしと、エフとDを追って、出口に突撃したからだ。
「参りますわよ!
エフ殿下に、陛下へのおとりなしをして頂くのです!」
「え、A」
「わたくしたちの障壁は、わたくしが取り除きますっ!」
ちなみに、そのA嬢はかなり火照っていた事と、
Aが泣き笑いしつつも嬉しそうだったことを付記しておく。
「A様っ、告白が恥ずかしかったのねー。
かっわいい!」
B嬢はピョンピョン跳ねて、壇上の搾りかす達の近くへ行く。
「んね!美味しかった?
あ、フルーツのお代は男爵家に付けとくねー♪」
わったしも、ビイに会ってこよっと!
ルンルンの黒髪は、ツインテールをブンブンさせて退場した。
ひゅっ!
ムチが宙を切って美女の手に戻る。
「アーディア?」
「ひっ!」
C嬢がぴし、と、折り曲げたむちをしならせて微笑む。
「感謝いたしますわ。
お陰で、私もシーも、新たな睦みごとに開眼いたしました。
うふ♡
やはりマンネリには刺激ですわね……
殿下。ご多幸を祈っております。
では。」
女剣士は颯爽と去っていった。
波乱の生徒総会。
搾りかすは、さらに塩をなすり付けられ、干からびた漬物のように壇上で動けなくなっていた。
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