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Chapter① 出会い 〜シュンside〜
男との再会(4)
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いよいよ搭乗時刻となり機内へ乗客を迎え始める。俺は機体の最後部に立ち、乗客の誘導や荷物の格納を手伝う。伊丹行きの最終便ということでビジネスマンが多いが満席ではない。
そのため、機体後方よりも前方の方が早く降機できることから乗客が集中しがちで、後方に座る乗客はまばらだった。
「ご搭乗ありがとうございます」
後方に歩いてくる乗客ひとりずつに挨拶をしていると、見覚えのある顔がこちらに近づいてきた。
あ、電車で会った発展場の男だ。俺は気づいてしまった。まさか同じ機内で客室乗務員と乗客の関係になるとは、嫌な予感が的中してしまった。
俺が気づいた後、男も俺に気づいたようで「あっ」と声を出す。ただし、俺は動揺することなく、「ご搭乗ありがとうございます」と言い放ち会釈をする。内心、なんで表れるんだよ、セフレのくせにと思ってしまい、笑顔をするのを忘れてしまった。プロとして失態だ。自分のこころの中に“笑顔、笑顔“と言い聞かせる。
そして、全ての乗客が搭乗を終え、チーフパーサーが「ドアモードをアームドに変更して相互確認をしてください」とアナウンスが入る。俺はドアレバーを操作し、同僚と反対側のドアの前の乗務員専用シートに座る。
この時間帯は空港混雑は無く、昼間便と比べても素早く滑走路に到達し、そのまま離陸滑走を開始した。この瞬間が一番緊張する。窓の外に見える滑走路灯がどんどん早く過ぎ去ってゆき、機体はあっという間に東京の夜の空に舞い上がった。
そのため、機体後方よりも前方の方が早く降機できることから乗客が集中しがちで、後方に座る乗客はまばらだった。
「ご搭乗ありがとうございます」
後方に歩いてくる乗客ひとりずつに挨拶をしていると、見覚えのある顔がこちらに近づいてきた。
あ、電車で会った発展場の男だ。俺は気づいてしまった。まさか同じ機内で客室乗務員と乗客の関係になるとは、嫌な予感が的中してしまった。
俺が気づいた後、男も俺に気づいたようで「あっ」と声を出す。ただし、俺は動揺することなく、「ご搭乗ありがとうございます」と言い放ち会釈をする。内心、なんで表れるんだよ、セフレのくせにと思ってしまい、笑顔をするのを忘れてしまった。プロとして失態だ。自分のこころの中に“笑顔、笑顔“と言い聞かせる。
そして、全ての乗客が搭乗を終え、チーフパーサーが「ドアモードをアームドに変更して相互確認をしてください」とアナウンスが入る。俺はドアレバーを操作し、同僚と反対側のドアの前の乗務員専用シートに座る。
この時間帯は空港混雑は無く、昼間便と比べても素早く滑走路に到達し、そのまま離陸滑走を開始した。この瞬間が一番緊張する。窓の外に見える滑走路灯がどんどん早く過ぎ去ってゆき、機体はあっという間に東京の夜の空に舞い上がった。
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