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Chapter① 出会い 〜シュンside〜

一夜限りの(5)

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復路で走りながら考えていたことは、俺に恋人がいることをタカシに言うべきか否か。
おそらくショックを受けるだろうなとは想像がついている。
もしかすると、セフレの関係も壊れてしまうかもしれない。まぁ、壊れた場合は新たなセフレを探すまでのこと。

よって、そこまで俺はタカシの反応を考えてはいなかった。




自宅に着くと、タカシは起きていた。
既にシャワーを済ませたようで、帰る支度もほぼ終わっているように見えた。

「まだ寝ててもよかったのに」
「いや、俺も土曜の朝はジムに行ったり昨日までの仕事をしたりとしたいからさ」
「朝食食べていく?」
「そうしたら、せっかくだし戴こうかな」




俺はシャワーを手早く済ませて、朝食の準備を進める。
朝食の準備をしながら、今までしたことのないお互いの交友関係などを話す。
そして、朝食を食べているときに、タカシが俺に話を切り出した。
「LINE交換ってしてくれないの?」と。

ここまで来ると、もっとタカシのことを知りたいと思うようになっていた。そのため、俺はようやく重い腰を上げ、LINEのQRコードを見せた。
タカシが嬉しそうに俺のQRコードを読み込み友達追加の操作をしている最中、俺は一言注意事項を伝えた。

それは俺自身、LINEの返信が遅いということ。

国際線に乗務する恋人からのLINEを優先していたかったから、友達からのLINEの返信は遅いと過去、友人から言われたことがあった。そのため、タカシの期待を裏切らないようにそう伝える。

タカシは「それは乗務中だからでしょ?仕方ないよ」と理解を示してくれたが、そうじゃない。俺の返信が遅い理由は別にある。

俺は特にタカシの反応を想像することなく、本当の理由である「いや、相方がいるから頻繁にはLINEできないよ」と答えた。



すると、タカシは「えっ!?」という今までで一番大きな驚いた反応をする。

俺は、心の中で、もっとソフトに伝えた方が良かったかもと思ったが、後の祭り状態であった。

その日、タカシは少し寂しい顔で俺の家から出て行った。
これでタカシからLINEが来なければ、それっきりの関係だったということになる。俺はその関係を予想していた。

しかし、俺の予想に反して、タカシは帰りの電車内でLINEの返事を作成したようで、案外早く俺のスマホは鳴った。

スマホの通知画面を見て俺はふふっと笑う。それはタカシが俺とまた会いたいと言ってきているからだ。


「タカシ、俺のこと好きじゃん」


俺には恋人がいる。ただ、セフレであるタカシとの関係もセフレを超えてだんだんと恋人へランクアップしようとしている。



俺はどっちを取るか。今の恋人か、それともタカシか。



俺はこの状況を俺は楽しもうと思っていたが、案外長続きしなかった。
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