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第二章
第十三話
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「いやぁッ⁉」
ガバッ、とベッドの上で上体を起こしたセレナ。
「セレナさん!」
「へ? あ、あれ? ここは……? 私、確か……」
記憶をたどる。
「いやぁッ⁉」
「セレナさん、落ち着いてください!」
恐怖がフラッシュバックし、暴れるセレナをサポーターのナナが必死に取り押さえる。
「セレナさん、ここはギルドです。迷宮じゃありません! あなたの目の前にいるのも、オークではありません!」
「は、はぁ、はぁ。ギル、ド?」
「はい、そうです。ギルドです」
「私、生きてるの?」
セレナは自分の手を見て、周囲を見渡す。
「貴方は、冒険者のレインさんという方に救出されたんです。2階層で、オークに追い詰められていたところを」
「そ、そうだったんだ……」
まだ呼吸が荒いセレナだが、少しは落ち着いてきたらしい。オークという単語を聞いても、先ほどのように暴れ出すことはなかった。
「じゃあ、さっきのも……」
「さっきの?」
ナナがセレナの言葉に首を傾げる。
「はい。この夢の途中で、何かとても安心する何かに覆われているような、そんな不思議な感覚があって。それも、すぐに消えちゃいましたけど……」
セレナの中には、確かに温もりがあった。正確には微かに感じていたのだが、確かにあった。
久しく感じておらず、安心する大好きな温かさ。今回の事が起きる前にも欲した温もり。両親の腕の中にいるような安心感。
「あの、レインさん、と言いましたよね?」
「へ? ああ、はい。そうです。その男性と、臨時でパーティを組まれていた、リアさんという女性の冒険者の二名です。明日、もう大丈夫なようならお礼に伺いましょう」
「はい、そうですね……」
レイン。
その名前を聞くと、なぜだか先ほどと同じような温もり、安心感を覚える。
「実は、私も今日は怒られてしまったんですよ」
「え、何でですか? ご迷惑をおかけしたのは、私の方なのに」
「いえ、冒険者とサポーターは相棒です。セレナさんが今回のような無茶をした理由。もっと私がセレナさんに寄り添ってあげられていれば、防げたかもしれない。言われて気付くようじゃ、私サポーター失格ですね」
ナナの困ったような笑みが、セレナの胸を抉る。
自分の浅はかな考え、それと焦燥感に駆られていたとはいえ、一歩間違えば死んでいたような愚行。それだけでなく、こうして周りを巻き込んで、ナナさんには要らぬ心配までかけてしまった。
全ては、自分に責任があるというのに。
「ナナさん。私こそ、人を頼ろうとせず、勝手に一人で決めて今回の愚行を犯しました。結果が、これです。私こそ、すいませんでした。ナナさんをもっと信頼して、もっと私から向き合えていれば。だから、サポータ失格なんて言わないでください。ナナさんは今、こうして私の為に傍にいてくれる。今の私には、それだけで十分です」
「セレナさん……」
セレナの言葉を聞いて、ナナの目元には薄っすらと涙が浮かぶ。
「だから、その。こんなバカな私ですけど、ナナさんは、これからも私のサポーターでいてくれますか?」
「もちろんです!」
ナナは、その言葉に頷くと、セレナの手を握る。
「セレナさんのことは、私が全力でサポートします。もう、遠慮なんてしません。まだ一週間程度の関係ですが、今回のことで実感しました。私は、セレナさんにいなくなってほしくない。時には喧嘩をすることもあるかもしれません。ですけど、いなくなられるよりはマシです。だから、セレナさん。覚悟しててくださいね? 私はもう、遠慮なんてしませんから」
「お、お手柔らかにお願いします……」
ナナから感じる圧に、セレナは少し怖気づくが、差し出された手はしっかりと握り返した。
こうして一組の相棒は、深い絆を手に入れた。
新たな決意と共に。
「ふふッ」
セレナの口元には笑みが浮かぶ。
あんなことがあったというのに、今日は。
いつもよりも、とても安らかに眠れたのだった。
ガバッ、とベッドの上で上体を起こしたセレナ。
「セレナさん!」
「へ? あ、あれ? ここは……? 私、確か……」
記憶をたどる。
「いやぁッ⁉」
「セレナさん、落ち着いてください!」
恐怖がフラッシュバックし、暴れるセレナをサポーターのナナが必死に取り押さえる。
「セレナさん、ここはギルドです。迷宮じゃありません! あなたの目の前にいるのも、オークではありません!」
「は、はぁ、はぁ。ギル、ド?」
「はい、そうです。ギルドです」
「私、生きてるの?」
セレナは自分の手を見て、周囲を見渡す。
「貴方は、冒険者のレインさんという方に救出されたんです。2階層で、オークに追い詰められていたところを」
「そ、そうだったんだ……」
まだ呼吸が荒いセレナだが、少しは落ち着いてきたらしい。オークという単語を聞いても、先ほどのように暴れ出すことはなかった。
「じゃあ、さっきのも……」
「さっきの?」
ナナがセレナの言葉に首を傾げる。
「はい。この夢の途中で、何かとても安心する何かに覆われているような、そんな不思議な感覚があって。それも、すぐに消えちゃいましたけど……」
セレナの中には、確かに温もりがあった。正確には微かに感じていたのだが、確かにあった。
久しく感じておらず、安心する大好きな温かさ。今回の事が起きる前にも欲した温もり。両親の腕の中にいるような安心感。
「あの、レインさん、と言いましたよね?」
「へ? ああ、はい。そうです。その男性と、臨時でパーティを組まれていた、リアさんという女性の冒険者の二名です。明日、もう大丈夫なようならお礼に伺いましょう」
「はい、そうですね……」
レイン。
その名前を聞くと、なぜだか先ほどと同じような温もり、安心感を覚える。
「実は、私も今日は怒られてしまったんですよ」
「え、何でですか? ご迷惑をおかけしたのは、私の方なのに」
「いえ、冒険者とサポーターは相棒です。セレナさんが今回のような無茶をした理由。もっと私がセレナさんに寄り添ってあげられていれば、防げたかもしれない。言われて気付くようじゃ、私サポーター失格ですね」
ナナの困ったような笑みが、セレナの胸を抉る。
自分の浅はかな考え、それと焦燥感に駆られていたとはいえ、一歩間違えば死んでいたような愚行。それだけでなく、こうして周りを巻き込んで、ナナさんには要らぬ心配までかけてしまった。
全ては、自分に責任があるというのに。
「ナナさん。私こそ、人を頼ろうとせず、勝手に一人で決めて今回の愚行を犯しました。結果が、これです。私こそ、すいませんでした。ナナさんをもっと信頼して、もっと私から向き合えていれば。だから、サポータ失格なんて言わないでください。ナナさんは今、こうして私の為に傍にいてくれる。今の私には、それだけで十分です」
「セレナさん……」
セレナの言葉を聞いて、ナナの目元には薄っすらと涙が浮かぶ。
「だから、その。こんなバカな私ですけど、ナナさんは、これからも私のサポーターでいてくれますか?」
「もちろんです!」
ナナは、その言葉に頷くと、セレナの手を握る。
「セレナさんのことは、私が全力でサポートします。もう、遠慮なんてしません。まだ一週間程度の関係ですが、今回のことで実感しました。私は、セレナさんにいなくなってほしくない。時には喧嘩をすることもあるかもしれません。ですけど、いなくなられるよりはマシです。だから、セレナさん。覚悟しててくださいね? 私はもう、遠慮なんてしませんから」
「お、お手柔らかにお願いします……」
ナナから感じる圧に、セレナは少し怖気づくが、差し出された手はしっかりと握り返した。
こうして一組の相棒は、深い絆を手に入れた。
新たな決意と共に。
「ふふッ」
セレナの口元には笑みが浮かぶ。
あんなことがあったというのに、今日は。
いつもよりも、とても安らかに眠れたのだった。
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