Face of the Surface

悟飯粒

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彼らは新人類編

怒っちゃやーよ

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 まるで活火山の様に俺の身体から止めどなく噴き出る炎が拡散し、周辺の温度を跳ね上げていく。相手は6人に対してこちらは4人。人数差があるとはいえこちらには勇者の最高戦力であるイリナがおり、力を封じられているとはいえ魔王もいる。普通に考えれば戦う必要などないが敵は戦いを挑んできた。勝算があるのだろう。最も可能性が高いのは敵の援軍がすぐに来ることか………しかし相手する者の階級が高くなればなるほど、人数差で階級差を埋めるのは難しくなる。たとえどれほどの人数をかき集めてこようと足手纏いとなり、イリナによって瞬く間に全滅させられてしまう。
 だから、もしかしたら………可能性としては低いのだけれど…………

 黄色と白色の閃光が夜空を駆け巡り衝突するたびに火花を散らす!俺の階級だからまだ目で追えているが、他の奴らはあの超高速戦を目で追えているわけがない。勇者最強であり勇者最速のイリナの本気の戦いを………嘘だろ。

 「イリナ気をつけろ!こいつらマジで俺らを倒すつもりだぞ!」

 空中でイリナが吹き飛ばされた!くそっ!やっぱりだ!こいつら俺らを倒せると思ってるんだ!だってこいつらイリナの高速戦を目で追えてたんだから!

ズオッ!

 俺の炎を貫き5人が飛び込んできた!死ぬ気でやらねーとヤバいぞこれ!



 「私達は新人類。勇者と魔族、2つの魔力の性質を持つ選ばれし人間だ。超人的な身体能力と圧倒的な魔力………これからの時代を背負って立つべきニューフェイスなんですよ。」

 私とリヒトの戦いは更に加速していた。雷と光はその輝きを増し夜空にその軌跡を描き続ける!

ベゴォオンン!!!

 ガードの上からぶん殴り地上まで吹き飛んだリヒトを貫く為に急降下するがかわされ、地面が陥没し砂埃が舞い上がる!しかしすぐに行動した私の圧倒的な加速により砂埃が吹き飛ぶよりも前にリヒトの背後に到達!これは完全にかわせない!私は思いっきり拳を振り抜いた!

 「そうだというのに勇者領は私達を危険分子扱いして隔離する。進化のできない組織に先はない。だから私達が潰すのです。」

 ………かわされた?いつのまに私の背後に来てたんだ。見えなかったんだけど………私は急いでリヒトから離れてすぐさま攻撃に移る!

 「まぁ旧人類の考えもわからなくはないですけどね。私達を制御しきれる自信がないのでしょう。………それだけ私達は勇者の先を進んでいる。」

バチンッ!

 私の方が先に殴ったはずなのに先に到達したのはリヒトの攻撃だった。顔面を叩き私の身体は仰け反る!おかしい!私の方が速いはずなのにどんなカラクリで先に攻撃が届いてるんだ!

 「簡単な話ですよ。私は時を止められる。たとえあなたがどれだけ速く動けようと、止まった時間の中を動けるわけじゃあない。」

 時間を止められる………私の頬に大きな汗が浮いた。そして次の瞬間、その汗は弾け飛び夜空に散った。私の身体にめり込んだ5発のパンチ。一度に浴びたその衝撃に耐えきれなかった私の身体は丸まり、敵を確認しようと頭を上げた瞬間、リヒトの回し蹴りが綺麗に炸裂し、視界が真っ暗になった。

 「次の時代を照らすのは貴方じゃない。一切の無駄のない純粋な光………この私だ。」



 ユピテルは自分の無力さに歯痒い思いをしていた。並の敵なら勇猛果敢に戦いにいくのだが、相手は勇者の身体能力と魔族の魔力を持つ新人類。彼らはユピテルの一番苦手とする[至近距離から魔力を放つ戦い方]を主軸にしている。加勢に行っても複数人に取り囲まれて魔力を放たれて終わりなのは目に見えている。実際、敵は飯田狩虎とイリナにしか攻撃しておらず、ユピテルとウンモは眼中になかった。
 その頼みの綱のイリナと狩虎も苦戦中。イリナに関してはいい一撃を貰ってしまい失神してしまっている。この中で1番階級の高い狩虎ですら…………

 「やっべ死ぬ。」

 全身を炎で包み敵の魔力を消滅させてなんとか生き長らえているが、敵の接近を4度許してしまい左腕と左耳を切られている。倒されるのは時間の問題だろう。
 しかしこの状況を打開する手立てはある。それは飯田狩虎の魔力の解放だ。今現在、狩虎は第二制御術式まで解放しているが、ユピテルが許可すれば第一制御術式まで解放することができる。そうすれば魔力は最高幹部クラスとなりこの状況を一気にひっくり返せるのだ。しかし…………

 「おいお前!しゃっしゃとあのバカの力を解放してやれ!し、死んじまうじょ我ら!」

 緊張のあまり滑舌の緩くなったウンモがユピテルの身体を揺らす。しかしユピテルは口を固く結んだまま。

 「………私は魔族を認めない。」
 「こ、こんな時に何言ってんだ!死んじゃったら元も子もないじゃろ!」
 「これが勇者領の悪習さ。新しいものを認めることができず、進化することができない。」

 イリナを倒したリヒトがユピテルの前に降り立った。身体から放たれる白色の発光は夜空を明るく照らし出す。

 「そんな下らない矜持のせいで貴方は死ぬんだ。間違った正義は人を不幸に陥れる。」
 「ははははははははっっ!!!」

 夜空をつんざくような笑い声!その聞き覚えのある声の方を見ると、狩虎が血だらけで笑っていた。そして相手にしていたはずの5人は倒され地面に横たわっている。

 「………バカなありえない。今の貴方の力で彼らを倒せるわけが………」
 「測り間違えたんじゃねーの?正義だ矜持だゴチャゴチャ言ってるやつは頭でっかちだからな。」

 切られた身体を焼きながら、狩虎はリヒトに近づいていく。肉が焼け焦げた臭いが辺りに充満していく。

 「あーえーっと、あれだ。カラスクルセイドがどんな正義の元に出来た組織だろうと、俺からすればどーでもいいんだよ。お前らが頑張らなくても世界は回るし、人はノホホンと生きていく。それに俺は後腐れなくイリナに殺されたいだけだからな、正義のぶつかりあいなんてしったこっちゃない。」

 何が起こっているのか把握できてないユピテルは、押すだけで狩虎を殺せるボタンを懐から取り出した。あの一瞬で5人の敵を倒すことなど間違いなく不可能なのだ、自分の知らない秘密を隠しているのは明白。狩虎が裏切る素振りを見せた瞬間にすぐさま殺せる様に、いや、もしかしたらもう既に裏切りを………ボタンに親指がかかる。

 「だが[覚悟]は好きだ。勝つ為に自分の思う悪に身を堕とさず、信念を貫いたユピテルさんの覚悟………気に入った。しょうがねーから俺が助けてやる。」
 「…………冗談だろう。」
 「気分屋なんだ俺は。まっ、気が変わったらさっきのは冗談になるけどさ。」

 魔剣を取り出し重心を下げる狩虎。身体から溢れ出す炎が魔剣と合わさり赤紫色の炎を放ち狩虎とリヒトを覆った。

 「…………色々と言いたいことがあるのですが、ひとまず一つだけ言わせて頂きますと…………」

パァアン!!!

 強烈な踏み込みによって地面が吹き飛び、リヒトが一瞬で距離を詰めた!

 「カラスクルセイドではなくてカースクルセイドだ!」
 「知ってる。」

 そして振り下ろされる鉄槌は虚しく空を切った。

 「怒らせたかっただけだ。ごめんなさーい。」

 リヒトを包み込んでいた赤紫色の炎のドームを更に水でできたドームが囲み、それを更に岩石で出来たドームが囲んだ。炎のエネルギーで光を歪め、水により衝撃を吸収し、硬い岩盤で攻撃を受け止める。これは………

 「助けるとは言ったがリヒトさんを倒すとは言ってませんからねー。俺達は逃げさせて頂きます!それじゃ!」

 俺はイリナを担いで走って逃げ出した。
 ミレニアルズか………大変そうだな。そんなことを思いながら。
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