機械の世界と白い鳥

堕天使あわび

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一の島

森の中での出来事

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 「…荷物、重くないか?」
『平気だよ』
「…そうか。」
二人は、そのまま木の枝や石を退けながら進んでいった。その時、近くの茂みがガサッと音を立てた。
「!」
クオレはユナの手を引き、慌てて近くに寄せた。すると、その茂みの近くの木の後ろから誰かが出てきた。緑の髪を一つに束ねていて、耳にはピアスがついている。服は赤いジャージだろうか。手にはココアの缶を握っている。
「…誰だ。」
「そんな警戒するなよ。俺はそんな怪しい奴じゃない。クワードルの隊員の、エイクだ。」
「…。…何でこんなところにいるんだ?」
「フレイヤに、お前らについてけって言われたんだ。」
「…そうか…。」
「まあ警戒するのも分かる。ここらはモンスターや盗賊が出るって有名だからな。」
「…。」
「…にしても、ずいぶんと仲がいいみたいだな?」
クオレにくっついていたユナはハッとしてクオレから離れた。
「…やっぱ、仲間って良いよな。仲良い奴が一人でもいると、仕事が楽しくなる。」
「…。…そうだな。」
その時、エイクの目つきが一瞬鋭くなり、何か呟いた。
「?何か言ったか?」
「いや?そいつじゃないのか?」
「違うな。ユナは話せないんだ。」
「そうなのか…。…っていうか、先に進まないのか?」
「!そうだな。」
「…それとも、出口まで送るか?」
「は?」
すると、エイクは指をパチンと鳴らした。次の瞬間、クオレ達は森を抜けたところに立っていた。
「!」
「これで歩く手間が省けただろ。」
「…ああ。ありがとな。」
「ああ。…俺はこの大陸からは出られないから、こっからは二人だ。」
「分かった。」
「あれがフレイヤの船だ。オート操縦だから安心しろ。」
「ああ。わざわざありがとな。」
「じゃあな。」
「じゃあ、いってくる。」
『いってきます』
そうして二人は、船に乗って出発した。
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