機械の世界と白い鳥

堕天使あわび

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一の島

道中

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 「うおっ…!」
「大丈夫?」
「ああ。」
クオレは飛びかかってきたモンスターをかわし、剣を突き刺して倒した。倒されたモンスターは、サラサラと砂になった。
「…これで全部か?」
『そうみたい』
「もういないよ!」
「そうか…。」
クオレは安心したようにふぅ、と息を吐いた。なぜこんなことになっているのかというと、それは20分ほど前。

「…じゃあ、行くか。」
『うん』
「うん!」
「…ん、…ちょっと待て。」
クオレは立ち止まって二人を止めた。
「何やってるの?」
「…囲まれてる。」
「え?」
シクルが慌てて周りを見ると、砂に擬態したワニのようなモンスターが周りを取り囲んでいた。
「!」
「…倒すしか突破法はなさそうだな。」
「…そうだね。」
「…。…行くぞ。」
「うん。」
モンスターが、3人に一斉に襲いかかった。

~そうして今~
「ユナ、怪我してないか?」
『平気だよ』
「…そうか。よかった。シクルも平気か?」
「うん!」
「二人とも怪我してないみたいだな。」
『うん』
「うん!大丈夫!クオレは?」
「俺も平気だ。」
「…なんか顔色悪いけど、大丈夫?」
「!…大丈夫だ。」
「本当に?」
「…。」
「…。…もう!嘘つくの下手なくせに無理なんかしないでよ!」
「…悪い。」
「…。そんな一人で抱えなくていいんだよ?」
「…悪い…。」
「…。…あーもう!!とりあえず、手当てするから腕出して!!」
「…何で腕だってわかるんだ?」
「さっきから押さえてるじゃん!」
「!…お前は、なんでもお見通しなんだな。」
「そうだよ!」
「…何で怒ってるんだ?」
すると、少しの間のあと、シクルの目からぶわっと涙が溢れた。
「‼︎」
「心配だからに決まってるじゃん!!この…クオレのバカバカバカ!!」
シクルはクオレのお腹をポカポカと叩いた。それでも痛くないのは、シクルのクオレに対する心配だろうか。
「…悪い。…いいから泣きやめ。大丈夫だから。」
「うぅ…ひくっ…。」
シクルはゴシゴシと涙を拭くと、肩にかけていたバッグから包帯と薬を取り出した。
「もう無理しないでね!!」
「…ああ。分かった。」
クオレの腕を見ると、モンスターに噛まれた傷があった。そこにシクルがそっと包帯を巻き、最後にぽんっと触った。
「?」
「早く治るように、おまじない!」
「…そうか。ありがとな。」
「…。…本当は回復魔法で治してあげたいけど、僕、回復魔法だけ使えないんだ。なんか仕組みが複雑でさ…。上手くいかないんだ。」
「…。…仕組みなんかより大事なものがあるんじゃないのか?」
「え?そんなのあるわけないよ!」
「…。」
「ほら、行こ!ユナも待ってくれてるよ!」
「…分かった。」
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