機械の世界と白い鳥

堕天使あわび

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一の島

fouille

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 とある朝。大体5時ほど。ユナはフレイヤに、庭に呼び出されていた。
「ほら。この中から選べ。」
そう言われて差し出されたのは、沢山の武器が詰まった…宝箱?だった。
「すごいだろ?私が色々集めてたんだ。自分に合った武器が分からなかったから。まあ、結局は剣に落ち着いたけどな。」
「すごい…。…この中から自由に選んでいいの?」
「当たり前だろ?どうせ使わないしな。」
「ありがとう!」
「どういたしまして。」
「…うーん、どれがいいのかな…?」
すると、いきなり頭上から声がした。
「なに悩んでんの?ユナ。」
「うわっ!!…なんだ、ラシェか…。びっくりさせないでよ~。」
ユナの頭上に、ラシェが翼を広げて飛んでいた。
「ごめんごめん。で、何悩んでんの?」
「武器、何使おうかなって…。」
「ふーん…。…でもユナは、斧とかハンマーは使えないだろ?」
「確かに…。」
「じゃあ、ナイフとか、そういう扱いやすいのがいいと思うけど?」
「そっか…。教えてくれてありがとう!」
「どーいたしまして。…お礼に、これもらってもいい?」
「え?どれ?」
「これこれ。この…透明の球体みたいなやつ。エルツレヌ、略してエルツっていう鉱石なんだけど。」
「エルツ…?」
「なあフレイヤ、もらっていい?」
「別にいいが…私はそんなの入れた記憶はないぞ?」
「そりゃそうだよ。こ・れ・は武器からできるんだ。」
「…どういうことだ?」
「まあ、簡単に説明すると、その武器にこもった思いが、長い年月をかけて結晶化するんだよ。」
「…そんなものがあるんだな…。」
「で、透明なほど元になった思いが強くて、力も強い。だから、これはかなり強力なやつだよ。」
「へえ…。」
「…そんで、もらっていい?」
「…別にいいぞ。」
「ありがと~。」
そう言うが早いか、パクッとエルツを咥え、飲み込んでしまった。
「!」
「えっ?」
「あ、言ってなかった?おいらの好物、というか本来の主食はこれなんだ。これに含まれた魔力で生きてるのさ。」
「…お前、一体なんの種族なんだ?」
「おいらはただの突然変異の白いカラスだよ。」
「…。」
「とりあえず、ユナの武器決めたら?」
「!…ああ。そうだな。」
「…どれがいいかなあ…。…あ!これがいい!!」
「え?これか?」
「うん!」
ユナが指を差したのは、二つの黒いサイコロとトランプのセットだった。
「…うん、ユナにピッタリだと思うよ。だって、ユナが大きな声出すほど気に入ってるんだからさ。それに、それは強い魔法の力を秘めてるし。」
「…そうだな。ほら、使っていいぞ。」
「ありがとう!」
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