機械の世界と白い鳥

堕天使あわび

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一の島

失踪

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 フレイヤの家に留まり始めて、3日目。今日でユナとフレイヤの用事も終わるはずだ。
そんなことをぼんやり考えながら、クオレは窓の外を眺めていた。外では、小鳥がぴい、ぴい、と鳴いている。すると、後ろから元気な声がした。
「クオレ、おはよう!何してるの?」
「ん、シクルか。おはよう。…今日は天気がいいから、空を眺めてたんだ。」
「そっか!空って綺麗だよね!嫌なこと、全部忘れられちゃうくらい!」
「…そうだな。」
「ユナはどこにいるの?」
「さあな。多分フレイヤと出かけたんだろ。」
「そっかぁ…。」
その時、玄関のドアがノックされる音がした。
「あ、ユナが帰ってきたのかな?」
「そうかもな。」
「僕、ドアを開けてくるね!」
「分かった。」
「ユナ、お帰りなさ——」




一方——
「ユナ、そろそろ帰るぞ。」
「うん。分かった。」
「…にしても、たった2日でだいぶ上達したな。」
「そうかな?そうなら、フレイヤのおかげだよ。ありがとう。」
「!…どういたしまして…。」
「…。フレイヤって意外と照れ屋さんだよね。可愛い!」
「は、はぁ!?…別に、私は可愛くないだろ…。」
「可愛いよ!自信持って!」
「…。…ありがとな…。」
「うん!」
そんな話をしながら歩いていくと、家についた。フレイヤは、勢いよくドアを開けた。
「二人とも!!ただい…ま…?」
「?フレイヤ、どうしたの?…!!」
家の中は、明かりが壊されて真っ暗な上、窓ガラスは割れ、物が散乱していた。
「…なんで…。…おい!クオレ!!シクル!!ラシェ!!どこだ!?」
しかし、返事は返ってこない。
「…っ…。」
すると、微かに部屋の奥から物音がした。二人が急いで駆け寄るとそこには、見覚えのない狼のようなモンスターが、傷だらけで倒れていた。
「こいつが、この家を襲ったのか…?」
「…多分違うよ。だってこんなに傷だらけで弱ってるんだから、何かできる状態じゃないよ。」
「…そうか…。…じゃあ、誰が…。」
「…とりあえず、この子の傷を手当てしないと。」
「は…?モンスターを助けるのか?」
「モンスターでも人間でも関係ないよ。」
「関係ある。」
「この子、死んじゃうよ…?」
「…別にいいだろ。」
「良くないよ!!」
「!」
「なんでそんなにモンスターを嫌うの!?モンスターでも、人間でも、そんなのどうでもいいよ!!」
「…どうでも良くない。…少なくとも、私にとっては。」
「!…。…何か事情があるの?」
「…。」
「…分かった。…大丈夫、フレイヤは手伝わなくてもいいよ。私が手当てしておくから。フレイヤは自分の部屋で休んでて。」
「…別に、休まなくても平気だ。」
「…でも、すごく顔色悪いよ?休んできて。」
「…分かった…。」
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