無能と罵られて伯爵家を追放された先は、危険度SSの魔獣の森でした~ハズレスキル《コピー》が覚醒したので危険地帯を開拓します~

果 一@【弓使い】2巻刊行決定!!

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第32話 残虐非道の裏事情

《ルーク視点》

「……っ! なん、だ。俺は気を失って……?」
「よかった、目が覚めたみたいだね」

 カーミルさんの回復魔法で回復した目の前の男に、僕は声をかける。
 ちなみにこの男、カーミルさんが治療している間にアカネたちから聞いたのだが、《残虐》のギャンとか呼ばれて帝国では有名な、札付きの大悪党らしい。
 誘拐や略奪、果てはおそらく殺人といった多くの罪に手を染めている、と聞いた。
 
 今回も、僕たちの宿を奪うつもりで乗り込んできたらしい。まあ、結果的にキレてぼこぼこにして、思ったよりやりすぎたので急いで回復魔法をかけた。これで、肉体的にはなんの問題もないはずだ。たぶん。

「……っ、あ、あんたはっ!」

 頭を押さえながら起き上がったギャンは、僕を見るなり限界まで目を見開く。
 それから即座に戦闘態勢を――

「す、すいやせんでした!」

 ――とると思ったのだが、思いっきり床に頭を押し付けるかたちで土下座してきた。勢いあまって額が床にめり込んでるし……誰が修理するの、それ。
 それよりも、だ。まさか全面降伏されるとは。はっきり言って意外だ。

「てっきり、目覚めるなり襲ってくるもんだと警戒してたんだけど」
「ッ! め、滅相もございやせんですぜ! あ、あなた様に逆らおうなんて、そんな恐ろし――恐れ多いことをするくらいなら、“キラー・ボア”100匹を相手に一人で戦う方がマシというもの!」

 ねえ、今恐ろしいって言いかけた? しかも僕って、あの突進イノシシ百匹より恐ろしい存在なの? どんだけだよ。
 あと、アカネさんや? どさくさに紛れてなにを「わかる」と言わんばかりに頷いているんだい?
 
 いろいろ解せないことも多いが、まあそこは水に流そう。自分がチートスキルに目覚めてしまったことは、流石に自覚しているのだし。

「えっと、この宿を襲った理由を教えてもらってもいいかな」
「っ! そ、それはっすね――」

 身振り手振りを交えて話し出すギャン。
説明を要約すると、危険度SSのこの場所には保安部隊や騎士団が滅多に立ち入らず、常に追われる彼らは数か月の間、ここを活動拠点にしていたのだが。ここ最近魔獣の活動が活発になってきて、日夜魔獣に襲われるようになり、ついにはベースキャンプも壊されてしまったらしい。
 それで、安全な場所を探して魔獣の森を彷徨っていたら、この宿を見つけたんだとか。

 ちなみに、侵入者や不審者にはコンとココンが迎撃に向ってくれるのだが、今回は折り悪く狩りに出かけたようで、あっさりと侵入されてしまったようだった。
 まあ、これに関してはコンとココンは悪くないし、責めないでおこう。優しい子ギツネたちだから、あとで自分を責めそうだけど。

「――そういうわけで、追い詰められて安全な場所を見つけるしかなかったってわけでさぁ」
「……なるほどね」

 僕は、ひとしきり説明を聞き終えると小さくため息をつく。
 魔獣の活性化、か。そういえばアカネもそんな話をしていたし、この魔獣の森にはなにか異変が起きているのかもしれない。
 それはともかく、この人たちをどうするかだが――

「こんな俺たちに治療をしてくれたのは、感謝してますぜ。けど、もう俺たちは逆らう気なんてねぇ。俺は盗賊で、こうして負けたんだ。保安部隊でも、騎士団でも、突き出してくれて構いやせん」

 そう言って、なにか覚悟を決めた表情をしているギャン。
 そんな神妙な顔されても困るのだが。大体――

「一つ、聞きたいことがあるんだけど」
「は、はい! なんなりと!」
「君たち、なんで盗賊なんてやってるの?」 
「そ、それは――」

 逡巡するように目を逸らしたあと、「信じられることではないと思いやすが」と前置きした上で話し出した。

「元々、俺は名の知れたAランク冒険者っした。ところが、とある討伐任務に失敗して、近くの村を討伐対象が襲いやして。それで、村に被害を出した大罪人として追われることになりやした」
「なるほど。それが、《残虐》のギャンの始まりってわけか」
「へい、おっしゃる通りで。そこから、逃亡生活を続けながら仲間を増やし、捕まえに来た保安部隊を返り討ちにして安全な隠れ場所を捜す間に、悪名が轟いて。気づけば、《残虐》なんて二つ名で呼ばれてやした」

 盗みを働いたのも、犯罪者に商品を売ってくれる人なんていなかったからっすね、と苦笑交じりにつぶやくギャン。
 そういう経緯があったのか。なんというか――盗賊は盗賊で大変だったんだな。
 そんな風に思っていると。

「一応忠告しておくけど、簡単に絆されてはだめよ?」

 そう、アカネが割って入って来た。

「あなたがお灸をすえて、もう逆らう気はないとはいえ、彼らは悪党。二つ名通り、残虐非道を貫いてきている。あなたに取り入るための方便かもしれないわ」
「それは……」

 わかっている。
 きっとアカネも、意地悪でそう言っているわけではない。ただ、魔族のリリを二つ返事で受け入れてしまうような流されやすい僕に、忠告してくれているのだ。僕の身を、心配するがゆえに。
 それを全部、理解した上で――

「君たちの言うことは、信じるよ」

 そう、結論を述べた。

「っ、な、なぜっすか。自分で言うのもなんですが、到底信じてもらえるようなことじゃ……」
「これはアカネにも言ったけど、僕は本当に腹の中が黒い人間のことは、目を見ればわかる。そういう環境にいたから。それに――」

 もう一つ。僕は、そう決めた決定的な理由を告げた。

「そもそも君たち、
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