最弱ジョブ【弓使い】の俺、うっかり迷惑Sランクパーティーをボコしてしまう

果 一@【弓使い】2巻刊行決定!!

文字の大きさ
119 / 136
第五章 『ダンジョン・ウォーターパーク』の光と影編

第118話 同行の誘いⅢ

《三人称視点》

 ――また、その日の夜。
 ここは、とある青年の私室だ。
 壁際には本棚がずらりと並び、ミステリーを始め、ラブコメやライトノベル、果ては漫画など、乱読派を思わせる様々なジャンルの本で埋められている読書家の部屋と言った感じ。

 そんな部屋の片隅。
 風呂上がりで火照った顔を扇ぎつつ、1人の青年がベッドに座って本を読んで呼んでいた。

 青年の名は、白爪直人。本名、白川直人。
 現在Sランク冒険者で、プロの冒険者としても活動している青年である。

 と、読書に耽っていた彼の傍らに置かれていたスマホが、不意に振動する。
 本にしおりを挟んで視線をずらした直人の目に飛び込んできたのは、「矢羽翔」の文字。
 最近、知り合いになったプロの冒険者だった。

「はい、もしもし」
『もしもし。夜分にごめんな』

 電話にでた直人の耳に、申し訳なさそうにする翔の声が飛び込んでくる。

「構いませんよ。どうされました?」
『いや、実はさ。昨日寺島さんに呼び出されて――』

 直人は、終始真剣に翔の話を聞いていた。
 こういうとき、本を片手間に読まずにちゃんと対応をするのも、直人の誠実なところなのだが――本人にはあまり自覚がない。

「なるほど、僕を誘ってくださるわけですね?」
『うん。君には日頃お世話になってるし、是非とも誘いたいなって。それに、プロ冒険者である俺が誘われたのは、宣伝の目的だから。他にもプロ冒険者がいるのは、宣伝効果倍増になるのかなって思って……遊びの誘いなのに、利益の話をしてなんだか申し訳ないけど』
「構いませんよ。そもそもが、お仕事で誘いを受けたのでしょうし」

 直人は屈託なく笑って応じる。
 
「でも、矢羽くんの前では、僕なんて霞んでしまうでしょうけども」
『そんな……謙遜しすぎだし、俺を買いかぶりすぎだって』
「いいえ、そんなことはありませんよ」

 電話越しで見えるはずもないが、首を横に振って直人は否定する。

「正直、僕も浮かれていました。そこそこ強いつもりでいましたから。他の冒険者のピンチを救ったことも、何度かありましたし……でも、僕より年下で、しかも最弱ジョブと唄われる“弓使いアーチャー”で、Sランクパーティーを壊滅させるような実力者がいると知って、本当に驚きました」
『ああ~……そういえば、そんなこともあったな』

 電話越しに、翔の苦笑いを含んだ声色が聞こえる。
 直人は自嘲気味に笑みを浮かべて、言葉を続けた。

「矢羽くんはご存じですか? 今、数ある役職《ジョブ》の比率が、どうなっているかを。今、“弓使いアーチャーの人数が凄いことになってるんですよ」
『さあ……あんまり興味なくて、見てないから。一年前見たときは、確か不人気職の“弓使いアーチャー”は、全体の0,03%くらいだったと思うけど』
「そうですね。一年前までは確かにそうでした。でも、今や“弓使いアーチャー”の比率は全冒険者の31%。今までは、33%の“魔術師マジシャン”がトップでしたが、27%まで低迷して、今や“弓使いアーチャー”がトップの人気を誇ってるんです」
『……マジで?』
「マジです」

 言いながら、直人は思う。

(この人、本当に自己評価が低いんですね……謙遜は美徳ですが、彼ほどの影響力なら、もう少し有頂天になってもいいものを)

 しかし、同時にその飾らない感じが、直人には心地良かった。
 それが、自分の実力を必要以上に誇示しないという点が、彼自身の気概とよく似ているからだということに、残念ながらこの自己評価低いマン二号は気付いていない。

『ま、まあとにかく……』

 ごほんと咳払いをして、翔が強引に話を戻す。

『直人達にも、是非来て欲しいんだけど、大丈夫かな?』
「僕は大歓迎です。むしろ、誘ってくれて感謝しかないという感じですし」
『そっか。よかった。あともう一人の方は――』
「連絡がまだでしたら、僕の方から誘っておきますよ」
『そう? じゃあ、お願いしてもいいかな』
「はい。それでは、また。お休みなさい」
『お休み』

 電話を切った直人は、今度はPINEの連絡先をスクロールしてとある人物の欄をタップする。
 それから、すぐに受話器型のマークを押して、電話をかけた。
感想 21

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。