9 / 84
第一章 《最下層追放編》
第九話 魔除けのブレスレット
しおりを挟む
「お待たせ」
服と荷物を手に戻った僕は、クレアに服を渡した。
「サイズ、合うといいんだけど」
「ちょっと小さめな方が、エランくんの好みだったりする?」
「なんで?」
「だって、スカートとか短い方が、露出部分多くな――」
「あーはいはい。好みじゃないからさっさと着てくれ」
急に誘惑し出したクレアを適当にあしらい、着用を促す。
「んもう、少しは恥ずかしがったりしてよ。つまんないじゃん」
ぶぅーと膨れるクレア。
「あのね。君は一体僕に何を求めてるのさ」
「可憐な女の子の誘惑に照れる純粋むっつり系お兄ちゃん!」
「アホか」
呆れて一蹴する。
なんなんだ、この子は。
「大体さ、お前は既に露出度MAXでしょうが」
「あ、そっか!」
気付かなかった、とでも言うような反応をしつつ、クレアはジャンパースカートを着た。
「どう?」
フリルの付いた裾を握り、一回転してみせる。
薄黄色のゆったりとした生地が彼女を覆い、まるで春を感じさせる妖精のよう。
胸元の青いリボンはチャームポイントであり、かつ主張も強すぎず。落ち着いた雰囲気を内包するスカートだからこそ、かえって彼女の魅力を引き立たせる。
「う、うん。似合ってる。めっちゃ……」
「違うよ。そっちじゃない」
クレアは、ふて腐れたように頬を膨らませる。
「じゃあ何?」
「私の生着替えを見たご感想はいかが――」
「さーて、次進むぞぉー」
またわけのわからないことを言い始めたクレアを華麗にスルーして、ドームの奥にある新たな洞窟の入り口を目指す。
「あ、ちょっと待ってよぉ! ごめんてぇ!」
クレアの慌てたような足音が、パタパタと後ろから付いてきた。
――。
ぐぅ~。
洞窟の中を歩いている途中で、お腹が鳴った。
「腹減ったなぁ」
そういえば、橋から落ちるよりも大分前から、ご飯を食べていなかったっけ。
「さっきのバトルで、食べ物とかドロップしてないかな?」
望みは低いと知りつつ、ステータスを確認する。
◆◆◆◆◆◆
エラン
Lv 85 → 92
HP 2080 → 2400
MP 412 → 465
STR 380 → 405
DEF 291 → 310
DEX 120 → 132
AGI 145 → 155
LUK 99 → 104
スキル(通常)《衝撃拳》 《サーチ》 《飛行》 《ズーム》 《ドロップ増加+20%》 《ダメージ増加+30%》 《速度超過》 《標的誘導》
スキル(魔法)《火炎弾》 《氷三叉槍》 《冷却波》 《蒼放電》 《灯火炎》New!
ユニークスキル 《交換》
アイテム 《ナイフ》×1 《HP回復ポーション》×33→35 《MP回復ポーション》×26 《状態異常無効化の巻物》×20 《魔鉱石・赤》×22 《魔鉱石・黄》×41→45 《魔鉱石・青》×65→75 《スライムの核》×1 New! 《魔除けのブレスレット》×2 New!
個人ランクA
所属 《緑青の剣》(追放)
◆◆◆◆◆◆
――まあ、Sランクとはいえスライム一匹だし、レベルの上がり幅はこんなものか。
レベル自体、高くなればなるほど上がりにくくなるし。
「新しくゲットしたスライムの核って……食べれるのかな」
ざっと詳細を確認する。
スライムの核
スライムの中核を成す部位。そのままでは臭くて食べられないが、加熱することで食べられるようになる。
「あ、食べられるんだ」
リュックから、薄緑色の球をとりだした。
ぶよぶよした拳大の大きさのそれこそ、スライムの核だ。
「え、なんかマズそうじゃない?」
「皆まで言うな、僕もそう思ってる……ぶっちゃけ、あんまり気が進まない」
加熱すれば食べられるみたいだから、味に関しては一か八かに賭けるしかない。幸い、《灯火炎》のスキルも手に入れた。
「あ、そうだ。そういえば、これもゲットしてたっけ」
リュックから、新たにゲットした二つのアイテムを取り出した。
それは、ブレスレットだ。
一つはオレンジ色、もう一つは黄色の宝石を丸くカットして繋いだ、高価そうなものだった。
「これ、二つも要らないし、一個はクレアにあげるよ」
「ほんと!?」
「うん。どっちがいい?」
「じゃあ……黄色で!」
嬉しそうに表情を綻ばせながら、クレアは黄色い宝石で作られたブレスレットを右手の手首に付けた。
僕は、残ったオレンジ色の方を左手に付ける。
「モンスターを倒すと、こんなオシャレアイテムも貰えたりするんだね」
「ただのオシャレ用じゃ無さそうだけどね。《魔除けのブレスレット》っていう説明があったし、たぶんモンスターを寄せ付けない効果とかあるんじゃない? ……正直少し胡散臭いけど」
「そうなんだ」
じゃらりと、クレアは物珍しそうに宝石の玉を指で弄る。
「それより、この辺で少し休んでいかない? お腹空いたから、食事して行きたいんだけど」
「え~、そのマズそうなのホントに食べるの?」
「まあ……これしかないし」
本当はビフテキとか食べたいけど、ここはダンジョンの最下層だ。食べ物が手に入っただけ、有り難い。
「クレアも食べる?」
「ううん、遠慮しとく。マズそうだし、あとお腹空かないし」
「そう」
ならば仕方ない。
僕だけで、味見……いや、毒味をすることにしよう。
そう思いつつ、近くに転がっていた岩に腰掛けた。
服と荷物を手に戻った僕は、クレアに服を渡した。
「サイズ、合うといいんだけど」
「ちょっと小さめな方が、エランくんの好みだったりする?」
「なんで?」
「だって、スカートとか短い方が、露出部分多くな――」
「あーはいはい。好みじゃないからさっさと着てくれ」
急に誘惑し出したクレアを適当にあしらい、着用を促す。
「んもう、少しは恥ずかしがったりしてよ。つまんないじゃん」
ぶぅーと膨れるクレア。
「あのね。君は一体僕に何を求めてるのさ」
「可憐な女の子の誘惑に照れる純粋むっつり系お兄ちゃん!」
「アホか」
呆れて一蹴する。
なんなんだ、この子は。
「大体さ、お前は既に露出度MAXでしょうが」
「あ、そっか!」
気付かなかった、とでも言うような反応をしつつ、クレアはジャンパースカートを着た。
「どう?」
フリルの付いた裾を握り、一回転してみせる。
薄黄色のゆったりとした生地が彼女を覆い、まるで春を感じさせる妖精のよう。
胸元の青いリボンはチャームポイントであり、かつ主張も強すぎず。落ち着いた雰囲気を内包するスカートだからこそ、かえって彼女の魅力を引き立たせる。
「う、うん。似合ってる。めっちゃ……」
「違うよ。そっちじゃない」
クレアは、ふて腐れたように頬を膨らませる。
「じゃあ何?」
「私の生着替えを見たご感想はいかが――」
「さーて、次進むぞぉー」
またわけのわからないことを言い始めたクレアを華麗にスルーして、ドームの奥にある新たな洞窟の入り口を目指す。
「あ、ちょっと待ってよぉ! ごめんてぇ!」
クレアの慌てたような足音が、パタパタと後ろから付いてきた。
――。
ぐぅ~。
洞窟の中を歩いている途中で、お腹が鳴った。
「腹減ったなぁ」
そういえば、橋から落ちるよりも大分前から、ご飯を食べていなかったっけ。
「さっきのバトルで、食べ物とかドロップしてないかな?」
望みは低いと知りつつ、ステータスを確認する。
◆◆◆◆◆◆
エラン
Lv 85 → 92
HP 2080 → 2400
MP 412 → 465
STR 380 → 405
DEF 291 → 310
DEX 120 → 132
AGI 145 → 155
LUK 99 → 104
スキル(通常)《衝撃拳》 《サーチ》 《飛行》 《ズーム》 《ドロップ増加+20%》 《ダメージ増加+30%》 《速度超過》 《標的誘導》
スキル(魔法)《火炎弾》 《氷三叉槍》 《冷却波》 《蒼放電》 《灯火炎》New!
ユニークスキル 《交換》
アイテム 《ナイフ》×1 《HP回復ポーション》×33→35 《MP回復ポーション》×26 《状態異常無効化の巻物》×20 《魔鉱石・赤》×22 《魔鉱石・黄》×41→45 《魔鉱石・青》×65→75 《スライムの核》×1 New! 《魔除けのブレスレット》×2 New!
個人ランクA
所属 《緑青の剣》(追放)
◆◆◆◆◆◆
――まあ、Sランクとはいえスライム一匹だし、レベルの上がり幅はこんなものか。
レベル自体、高くなればなるほど上がりにくくなるし。
「新しくゲットしたスライムの核って……食べれるのかな」
ざっと詳細を確認する。
スライムの核
スライムの中核を成す部位。そのままでは臭くて食べられないが、加熱することで食べられるようになる。
「あ、食べられるんだ」
リュックから、薄緑色の球をとりだした。
ぶよぶよした拳大の大きさのそれこそ、スライムの核だ。
「え、なんかマズそうじゃない?」
「皆まで言うな、僕もそう思ってる……ぶっちゃけ、あんまり気が進まない」
加熱すれば食べられるみたいだから、味に関しては一か八かに賭けるしかない。幸い、《灯火炎》のスキルも手に入れた。
「あ、そうだ。そういえば、これもゲットしてたっけ」
リュックから、新たにゲットした二つのアイテムを取り出した。
それは、ブレスレットだ。
一つはオレンジ色、もう一つは黄色の宝石を丸くカットして繋いだ、高価そうなものだった。
「これ、二つも要らないし、一個はクレアにあげるよ」
「ほんと!?」
「うん。どっちがいい?」
「じゃあ……黄色で!」
嬉しそうに表情を綻ばせながら、クレアは黄色い宝石で作られたブレスレットを右手の手首に付けた。
僕は、残ったオレンジ色の方を左手に付ける。
「モンスターを倒すと、こんなオシャレアイテムも貰えたりするんだね」
「ただのオシャレ用じゃ無さそうだけどね。《魔除けのブレスレット》っていう説明があったし、たぶんモンスターを寄せ付けない効果とかあるんじゃない? ……正直少し胡散臭いけど」
「そうなんだ」
じゃらりと、クレアは物珍しそうに宝石の玉を指で弄る。
「それより、この辺で少し休んでいかない? お腹空いたから、食事して行きたいんだけど」
「え~、そのマズそうなのホントに食べるの?」
「まあ……これしかないし」
本当はビフテキとか食べたいけど、ここはダンジョンの最下層だ。食べ物が手に入っただけ、有り難い。
「クレアも食べる?」
「ううん、遠慮しとく。マズそうだし、あとお腹空かないし」
「そう」
ならば仕方ない。
僕だけで、味見……いや、毒味をすることにしよう。
そう思いつつ、近くに転がっていた岩に腰掛けた。
32
あなたにおすすめの小説
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる