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2話 眷属ってなんだろう。
「で、眷属って何すればいいんだ?」
「で、って言われても」
「ぬ」
「そういうことじゃなくてね」
僕が彼女の眷属になった翌日、僕と彼女はまたしても居酒屋「夕ぐれ」に来ていた。
昨日の吸血以降少しだけ気まずい空気を僕は感じていたのだが、深夜に[連日になるけど、諸々確認したいこともあるしよろしく]と連絡が来ていたため、僕ら史上初の土曜日に飲むことになったわけだ。
僕の心配は杞憂で、会うと全然気まずい空気はなく、いつも通りの気の抜けた会話をダラダラとしていた。
「僕話ほとんど聞いてなかったからわからないんだけど、眷属ってなに?」
「なんでそんな大事な話を聞いてないのかなぁ...やっぱり呼び出して正解だったよ」
「血を吸わせる、ってことだけは覚えてる」
僕は昨日噛まれた首筋をわざとらしくさすった。
「また同じ話しなくちゃいけないのか」
「頼むよ母さん」
「誰が母さんだ」
僕はこいつの眷属になったわけだし、実質こいつは僕の母みたいなもんじゃないのか?親吸血鬼的な
「まず第一に、眷属には段階があるんだ」
「段階?人間→眷属の0→100じゃないのか?」
「違うね。君はまだ眷属になって1日だし、99%はまだ人間だ」
「まだ人間って言われてもなぁ。別に眷属って人外ってわけじゃないんだろ?」
「君って本当に話を聞かない人なんだな」
「ええ?」
「たしかに、眷属化ってのは吸血鬼になるって意味じゃない。けど、それは決して人外にならないことを意味してるわけじゃない」
「具体的にはどう人間卒業、化物入学しちゃうわけ?」
卒業ってか中退か?もっというなら編入かもな、しらんけど
「まず寿命がめちゃくちゃ伸びる、そんで老いが止まる」
「まじで?いいじゃん」
「いいじゃん...ってな、別に良くないぞ」
本当に何が良くないのかわからない、考えてみた結果、わからないことがわかった。僕は眉をひそめながら聞いた。
「もしかしてだけど、お前って僕より全然歳上?」
「...そうだけど?」
「何歳なの?」
「デリカシー死んでるのか?」
なぜかキレられていたが、何も発言しないでいると彼女が言葉を続けた。
「私は生まれてから...」
「生まれてから?」
「...やっぱ言いたくない」
「なんだよそれ。別に言いたくないなら良いけどさ」
「まあ、とにかく寿命が伸びるし老いも止まる。これが意味するのは変化のない生活がダラダラと続くってことだ」
「...なるほどな」
「アホな君でも気がついたみたいだね」
「僕はアホじゃない、ちょっとお茶目なだけだ」
バチっとウインクをしようとしたが、全然できなかった。
「長く生きるって辛いことだよ」
その言葉はどこか重かった。彼女は俯いていたが、悲しい顔をしているのは間違いないだろう。
「でもこれからは僕がいる」
「...そうだね。君がいればこのどうしようもない退屈も紛れるだろう。本当にありがとう。それと、ごめんね」
「謝る理由がないのに謝るもんじゃないぞ」
「理由はある。私の寂しさを埋めるために、君を巻き込んでしまった」
「巻き込まれたなんて思ってないさ。結局選んだのは僕自身だ。僕は僕が選んだ道を否定することはない」
「そう言ってもらえると助かる。けど、本当にこの先の命は長いよ」
「お前と飲めればそれでいいさ」
僕は勝手に彼女のグラスに自分のグラスを当てた。そのまま飲み干さんばかりの勢いで一気に流し込んだ。
「話は脱線しまくったけど、0→100じゃないってのはどういうことだ?」
「そういえばそんな話だったね。別にそれは複雑じゃない、単に吸血を繰り返していくうちに、少しずつ[眷属]という化物になっていく。いきなり化物になっちゃったら力の制限とかできないだろうしね」
「それはそうだな、納得だ。それで、眷属になると起きる変化って他にもなんかあるのか?」
「もちろんあるよ。身体能力が向上したり、鏡にぼやけて映るようになったり。あとはこれが一番の問題なんだけど、日光が苦手になる」
「日光が苦手に...ね。というかお前ってどれくらい日光ダメなんだ?やっぱ当たったら死んじゃう?」
「流石に当たっただけで死にはしないよ。ただ無茶苦茶痛いし、最高に体調が悪くなる。だからあながち死ぬというのも間違いじゃない。日光の下に何時間も放置されたら死んじゃうかもね」
「なるほど、アレルギーみたいなもんか」
「そうだね、アレルギー...か、いい表現かもしれない」
「それで、眷属はどれくらい日光がダメになるんだ?」
「そうだな、完全に眷属化してしまったら、私ほどではないだろうけど痛いし体調も崩れるだろうね。しばらくしたら君も日光を浴びたら怠くなったりすると思うよ」
「対策はできないのか?日傘とかさ」
「日傘は結構効果あるよ。けど、そこまでして昼間に出かけることもないし、私はほとんど使ってないかな」
「じゃあ昼間はなにしてるんだ?」
「引きこもって寝てるか、引きこもってゲームをするか、引きこもって内職をしてる」
「引きこもってばっかだな。それが最善なんだろうけど」
「そう。別に無理して外出することもないしね。だから君も在宅系の仕事を見つけといた方がいいよ」
「それもそうだな...眷属化が進行しきる前には転職も考えなくちゃならんな。どれくらいの期間になるか見当はつくのか?」
「こればっかりは人によるからね...早ければ1年も経たずして、遅いと10年、いや100年近くかかるかもしれない」
マジか。それなら、もし僕が早急に眷属化したことも考えて行動しなきゃいけないな。
「...眷属化についてまとめると、何というか、言い方は悪いけど劣化版吸血鬼みたいになる」
「僕吸血鬼に転職したい」
「残念だけど、吸血鬼は吸血鬼からしか生まれない。ちなみに血を吸われて吸血鬼になるってのはガセもガセだよ。それが本当なら今頃世界は吸血鬼に支配されてるさ」
「まあ話聞く感じ、お前らって強いん もんな。空も飛べるし血を吸い尽くこともできるし」
「そうだね。でも眷属も眷属で普通に人外だよ。飛行能力も吸血能力もないけど、それでもオリンピックなんかに出たら間違いなく無双する」
「いいね、やっちゃおうかな」
「本当にやめて?」
もちろん冗談さ、と僕はヘラヘラ笑う。
「よくもそんなヘラヘラできるな」
「今までの人生がクソみたいなもんだったからな。まさかこんな有り余るほどの刺激に巡り逢えるとは思わなんだ」
「別にこれはこれでクソだけどね」
「僕が味わってきた地獄よりはマシさ」
「...今、珍しく少しだけ辛そうな顔をしたな?」
「そうか?気のせいだろ」
「いいや、わかるさ。君と飲み友達になってからまだ日は浅いが、それでも君との関係は深いものだと思ってる。だから表情の違いくらいはわかる」
「思い上がりだな。僕が酒の席でそんなところを見せたことがあるか?」
「ないね。だからこそ気が付けた」
「そうかそうか」
「それに、君は自分の過去を話したがらないしね。君が深く酔ってる時に、何回か辛い過去があるような話を私は聞いてきた。詳細こそ話してくれなかったが、君は一体どんな闇を抱えてるんだい?」
「いい加減しつこいぞ」
僕は彼女を制止した。いつもと変わらないトーンで言ったつもりだったが、どうやら少し圧がかかってしまったらしい。彼女は少し驚いた表情をしてた。
「僕の過去は...そのうち話してやるさ。どうせ長く生きるんだ、必ずいつか話す。だから、今はいいだろ?楽しい飲みの席なんだぜ?」
僕がそういうと、彼女はやや納得してない顔をしながらも、それを飲み込んだ。
「...わかった、今君の話はいい。ただ、いつか必ず話してくれよ?君は私の眷属なんだからな」
「それ以前に飲み友達だ」
それもそうだな、と彼女は微笑んだ。
それにしても、僕の過去か。それをいつか話す日は来るのだろうか。多分来ないだろうし、来て欲しいとは思わないな。
「というかお前さ」
思い出したことをそのまま伝えることにした。
「眷属になるメリットもあるとか言ってなかった?僕はそうだとはあまり思ってないが、今の所お前視点だとデメリットしかないんだけど」
「メリットももちろんある」
彼女は胸を張りながら言った。
「私という爆美女と共に生きられる!」
「...のみ?」
「...のみ、かな。」
「...ええっとまあ、とりあえず...おかわりいる?」
「いる」
どこか気まずい空気を残しつつも、追加した酒がそれらを洗い流してくれたのであった。
「で、って言われても」
「ぬ」
「そういうことじゃなくてね」
僕が彼女の眷属になった翌日、僕と彼女はまたしても居酒屋「夕ぐれ」に来ていた。
昨日の吸血以降少しだけ気まずい空気を僕は感じていたのだが、深夜に[連日になるけど、諸々確認したいこともあるしよろしく]と連絡が来ていたため、僕ら史上初の土曜日に飲むことになったわけだ。
僕の心配は杞憂で、会うと全然気まずい空気はなく、いつも通りの気の抜けた会話をダラダラとしていた。
「僕話ほとんど聞いてなかったからわからないんだけど、眷属ってなに?」
「なんでそんな大事な話を聞いてないのかなぁ...やっぱり呼び出して正解だったよ」
「血を吸わせる、ってことだけは覚えてる」
僕は昨日噛まれた首筋をわざとらしくさすった。
「また同じ話しなくちゃいけないのか」
「頼むよ母さん」
「誰が母さんだ」
僕はこいつの眷属になったわけだし、実質こいつは僕の母みたいなもんじゃないのか?親吸血鬼的な
「まず第一に、眷属には段階があるんだ」
「段階?人間→眷属の0→100じゃないのか?」
「違うね。君はまだ眷属になって1日だし、99%はまだ人間だ」
「まだ人間って言われてもなぁ。別に眷属って人外ってわけじゃないんだろ?」
「君って本当に話を聞かない人なんだな」
「ええ?」
「たしかに、眷属化ってのは吸血鬼になるって意味じゃない。けど、それは決して人外にならないことを意味してるわけじゃない」
「具体的にはどう人間卒業、化物入学しちゃうわけ?」
卒業ってか中退か?もっというなら編入かもな、しらんけど
「まず寿命がめちゃくちゃ伸びる、そんで老いが止まる」
「まじで?いいじゃん」
「いいじゃん...ってな、別に良くないぞ」
本当に何が良くないのかわからない、考えてみた結果、わからないことがわかった。僕は眉をひそめながら聞いた。
「もしかしてだけど、お前って僕より全然歳上?」
「...そうだけど?」
「何歳なの?」
「デリカシー死んでるのか?」
なぜかキレられていたが、何も発言しないでいると彼女が言葉を続けた。
「私は生まれてから...」
「生まれてから?」
「...やっぱ言いたくない」
「なんだよそれ。別に言いたくないなら良いけどさ」
「まあ、とにかく寿命が伸びるし老いも止まる。これが意味するのは変化のない生活がダラダラと続くってことだ」
「...なるほどな」
「アホな君でも気がついたみたいだね」
「僕はアホじゃない、ちょっとお茶目なだけだ」
バチっとウインクをしようとしたが、全然できなかった。
「長く生きるって辛いことだよ」
その言葉はどこか重かった。彼女は俯いていたが、悲しい顔をしているのは間違いないだろう。
「でもこれからは僕がいる」
「...そうだね。君がいればこのどうしようもない退屈も紛れるだろう。本当にありがとう。それと、ごめんね」
「謝る理由がないのに謝るもんじゃないぞ」
「理由はある。私の寂しさを埋めるために、君を巻き込んでしまった」
「巻き込まれたなんて思ってないさ。結局選んだのは僕自身だ。僕は僕が選んだ道を否定することはない」
「そう言ってもらえると助かる。けど、本当にこの先の命は長いよ」
「お前と飲めればそれでいいさ」
僕は勝手に彼女のグラスに自分のグラスを当てた。そのまま飲み干さんばかりの勢いで一気に流し込んだ。
「話は脱線しまくったけど、0→100じゃないってのはどういうことだ?」
「そういえばそんな話だったね。別にそれは複雑じゃない、単に吸血を繰り返していくうちに、少しずつ[眷属]という化物になっていく。いきなり化物になっちゃったら力の制限とかできないだろうしね」
「それはそうだな、納得だ。それで、眷属になると起きる変化って他にもなんかあるのか?」
「もちろんあるよ。身体能力が向上したり、鏡にぼやけて映るようになったり。あとはこれが一番の問題なんだけど、日光が苦手になる」
「日光が苦手に...ね。というかお前ってどれくらい日光ダメなんだ?やっぱ当たったら死んじゃう?」
「流石に当たっただけで死にはしないよ。ただ無茶苦茶痛いし、最高に体調が悪くなる。だからあながち死ぬというのも間違いじゃない。日光の下に何時間も放置されたら死んじゃうかもね」
「なるほど、アレルギーみたいなもんか」
「そうだね、アレルギー...か、いい表現かもしれない」
「それで、眷属はどれくらい日光がダメになるんだ?」
「そうだな、完全に眷属化してしまったら、私ほどではないだろうけど痛いし体調も崩れるだろうね。しばらくしたら君も日光を浴びたら怠くなったりすると思うよ」
「対策はできないのか?日傘とかさ」
「日傘は結構効果あるよ。けど、そこまでして昼間に出かけることもないし、私はほとんど使ってないかな」
「じゃあ昼間はなにしてるんだ?」
「引きこもって寝てるか、引きこもってゲームをするか、引きこもって内職をしてる」
「引きこもってばっかだな。それが最善なんだろうけど」
「そう。別に無理して外出することもないしね。だから君も在宅系の仕事を見つけといた方がいいよ」
「それもそうだな...眷属化が進行しきる前には転職も考えなくちゃならんな。どれくらいの期間になるか見当はつくのか?」
「こればっかりは人によるからね...早ければ1年も経たずして、遅いと10年、いや100年近くかかるかもしれない」
マジか。それなら、もし僕が早急に眷属化したことも考えて行動しなきゃいけないな。
「...眷属化についてまとめると、何というか、言い方は悪いけど劣化版吸血鬼みたいになる」
「僕吸血鬼に転職したい」
「残念だけど、吸血鬼は吸血鬼からしか生まれない。ちなみに血を吸われて吸血鬼になるってのはガセもガセだよ。それが本当なら今頃世界は吸血鬼に支配されてるさ」
「まあ話聞く感じ、お前らって強いん もんな。空も飛べるし血を吸い尽くこともできるし」
「そうだね。でも眷属も眷属で普通に人外だよ。飛行能力も吸血能力もないけど、それでもオリンピックなんかに出たら間違いなく無双する」
「いいね、やっちゃおうかな」
「本当にやめて?」
もちろん冗談さ、と僕はヘラヘラ笑う。
「よくもそんなヘラヘラできるな」
「今までの人生がクソみたいなもんだったからな。まさかこんな有り余るほどの刺激に巡り逢えるとは思わなんだ」
「別にこれはこれでクソだけどね」
「僕が味わってきた地獄よりはマシさ」
「...今、珍しく少しだけ辛そうな顔をしたな?」
「そうか?気のせいだろ」
「いいや、わかるさ。君と飲み友達になってからまだ日は浅いが、それでも君との関係は深いものだと思ってる。だから表情の違いくらいはわかる」
「思い上がりだな。僕が酒の席でそんなところを見せたことがあるか?」
「ないね。だからこそ気が付けた」
「そうかそうか」
「それに、君は自分の過去を話したがらないしね。君が深く酔ってる時に、何回か辛い過去があるような話を私は聞いてきた。詳細こそ話してくれなかったが、君は一体どんな闇を抱えてるんだい?」
「いい加減しつこいぞ」
僕は彼女を制止した。いつもと変わらないトーンで言ったつもりだったが、どうやら少し圧がかかってしまったらしい。彼女は少し驚いた表情をしてた。
「僕の過去は...そのうち話してやるさ。どうせ長く生きるんだ、必ずいつか話す。だから、今はいいだろ?楽しい飲みの席なんだぜ?」
僕がそういうと、彼女はやや納得してない顔をしながらも、それを飲み込んだ。
「...わかった、今君の話はいい。ただ、いつか必ず話してくれよ?君は私の眷属なんだからな」
「それ以前に飲み友達だ」
それもそうだな、と彼女は微笑んだ。
それにしても、僕の過去か。それをいつか話す日は来るのだろうか。多分来ないだろうし、来て欲しいとは思わないな。
「というかお前さ」
思い出したことをそのまま伝えることにした。
「眷属になるメリットもあるとか言ってなかった?僕はそうだとはあまり思ってないが、今の所お前視点だとデメリットしかないんだけど」
「メリットももちろんある」
彼女は胸を張りながら言った。
「私という爆美女と共に生きられる!」
「...のみ?」
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「...ええっとまあ、とりあえず...おかわりいる?」
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