拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳

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第二章 冒険カンと義弟リオン in 迷宮都市

14.初めの村へ、、、

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町を出てから数日
馬車は途中のトイレ休憩や夜営以外は止まらず一路目的地の間に設置されている村へと向かっていた


「お、…カン兄様
見てくれ…」

リオンの言葉で、馬車の窓から外を見ていた彼の横から
同じように外を見てみる

「おぉ~……」

外の景色は夕暮れで紅色に染まっており
とても幻想的だった

「リオンって結構こう言う景色好きなんだな」

「何となくな、どこか懐かしい気がして」

フフンっと見た目と釣り合わず大人びた表情で頬笑むリオンの顔はちょっとどや顔だ

(背伸びして大人ぶってる子供にしか見えんな……これ)

リオンを見るカンの表情は優しいもので
端から見たら仲の良い兄弟のように映るだろう

「最近は曇り掛かってたし…ここまでの夕焼けを見たのも久しいし……」

はにかむリオンが微笑ましくてついついカンも笑顔になる

「にしても馬車…はじめて乗ったが結構揺れるな」

笑顔だったカンなのだが、すぐに真顔になって現状の問題点を挙げる

「んー…我はそんなに気にならんが……
と言うか兄様はいままで色んな所を旅していたんじゃ?」

「たしかに色々と旅したけど……馬車使ったことないんだよなぁ
勇者達が嫌がったし……まぁ理由はわかるわ」


リオンの言葉にまぁ実は馬車使ったこと無いんだと返しながら
馬車の問題点に着いて考える

(まず乗り味が固いな…サスペンションとかそんなのなしの木組みの足回りだから路面をダイレクトに捉えまくってケツが痛い…
それに動力が馬だから遅いこと遅いこと……)

ただの馬の馬車に何を求めているんだと言うことなかれ
時速7㎞程度の歩くより少し速い程度の速度で単気筒オートバイより酷い振動を何十時間もただひたすらに尻に受け続ければ嫌にもなる

(そう考えれば現代っ子の時はすごい恵まれてたよな…
悪路を物ともしないサスペンションに柔らかいシート
動力が燃料だから速度が乗るし……)

作ろうと思えば知識を活かして車とか作れるんじゃね?とも思ったが
面倒くさそうなので旅が終わって永住地を決めてからで良いかな……と考えつつ疲れたので伸びをする

(やっぱ馬車用のサスペンションだけ先に錬金術で作ろう……)

少し撤回、振動のせいで痔になりそうな勢いなので馬車用サス、もしくは足回りに嵌め込むスプリングだけでも街に着いてから開発しよう








「じゃあすいません…ここまでありがとうございました」

馬車に乗っていた先客だった木綿服の農夫達三人は最初についた村が地元なのか
御者にお礼とお金を払って降りていく

御者もこの村に少し用事があるようで
その日は一泊村で過ごしていく事となり、自由に宿を取ることになった

「さぁ、俺らも宿探しに行くか……」

「そうだな」

カンとリオンも馬車を降りて村の宿を探しに行く
時間は掛かってもそれほど街から遠い訳じゃないからか
結構村の規模が大きい

「村と言うのは町とあまり変わらんのだな?」

リオンは人間の村に入ったのは初めてなのだが
前の町とあまり違いはないので首を傾げている

「うん、町近くの村ってなるとやっぱ人の出入りが多いからな
規模が若干小さくなる程度で大まかな部分は変わらんのさ」

「なるほどな…」

カンの言葉にリオンは納得したように頷く

「そう言えばリオンは村って初めてなんだっけ?」

「村が初めてどころか人が住んでるところに入ったのは前回の街が生涯初めてだ
これでも元の自分の姿が人間にどんな印象を与えるかくらい把握している…」

もの悲しげに語るリオンがなんか可愛かったのでカンは頭を撫でてやる

少し驚いたようなリオンだったがすぐに表情は笑顔に変わったのだった








_____________________◆

あとがき

どうも皆様こんにちは
最近全くスランプの沼から抜け出せなくなってしまったちくわでございます

とりあえずやっと皆さんの大好きな【冒険】盛りだくさんの二章の本編がスタート出来ました

二章のスタートですらスランプでこれどうなの?って思考があっちへ行ったりこっちへ行ったりしてしまい現在に至ります(笑)

それと大体のストーリー構成が完成しました
出来れば良いのですが全十一章の長編になる予定です……できるかなぁ?(苦笑い)

あとがきとかはストーリーとかと違って全然楽なんですが、本編とかになるとそうもいきませんし……


それとご報告です

皆様がこの作品を御愛読してくださったお陰で、月間ポイントが凄いことになりました!

お陰で前から欲しかったノゲラの映画(ゼロ)を買うことができました!本当にありがとうございます!!


そしてもうひとつだけご報告!

7月11日をもって作者であるわたくし【ちくわ】が17歳の誕生日を迎えました!

……え?それはどうでも良い?
まぁまぁまぁ……(汗)

17歳になっても特にこれと言って変わるものはありません(笑)
いつも通りに作品を作り、皆様にお届けする所存です

これからも応援よろしくお願いします!

_____________________◆
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