Another World Racer's ~異世界に愛車ごと転生したら全人類のほぼ全てが走り屋だった件~

ちくわ feat. 亜鳳

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異世界

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「……ん?」

辰起は来るはずの衝撃に備えて目を閉じていたが、いつまでたっても事故の衝撃に目をゆっくりと開ける
すると目の前には何もない真っ白な空間が広がっていた

「……はぁ?」

おかしい…色々と突っ込みどころがあるがそもそも車の中にいたはずだと思考をフル稼働させる

その時

「気づきましたか……」

後ろから声がし、振り替えるとそこには金髪の若い女性がいた

「……誰やねん」

会ったこともない女性だったので
素でそう言いながら頭を抱える

「…私は神をやってます
貴方は公道レース中に友達を庇って事故に遭い死亡しました」

「あー……」

そうなんだろうな、と不思議と思ってしまう
あのときは祐紀也を巻き込まないように目一杯であまり周りが見えてなかった

「……俺の死因は?」

恐らくは読み通りで正しいだろうが、それとなく聞いてしまう
やはり自分の死は気になるものだ

「…ガードレールを突き破って
崖に転落して……」

「あー、わかったもういい」

説明を頼んだのは自分であったが、寸分の狂いもなく読み通りだったので途中でやめさせる
何となくわかってはいたがいざ崖から堕ちた、だの聞くと聞き出したのは自分なのに気分が悪くなってしまうから不思議だ

「……にしても死後の世界ってあったんやね
俺は天国と地獄、どっち行きなんだ?」


神がいるのであるかな?と思いつつも
過去の違反行為の数々等、挙げれば免許が何枚あっても足りない為
それを考えればもしかしたら地獄行きかも知れないと内心ビクビクしつつ
しかし返ってきたのは少し検討違いな解答だった

「……確かに天国も地獄もありますが
貴方に行って貰うのはどちらでもありません」

「はい?」

天国でも地獄でもない
ならばいったいどこへ行くのだろう
そう疑問に思えたときに神が教えてくれる

「貴方には地球ではない別の世界でもう一度人生を全うして貰います
本当ならば冥界に送って、そこで詳しく決めるのですが
身を呈して友人を守った姿に我々神一同は感服いたしました」

(……別に、そんなことはないんだけどな…)

あんときはとっさに身体が動いただけだし
そう考えながらも、また生まれ変わって生活するのも楽しそうだなとも考える

「新しい世界は、貴方の大好きな車だらけの世界で
何もかもがレースで決まると言っても過言ではありません」

「マジで!?」

そりゃなんか偉く楽しそうな、と辰起は考える
前の世界なら規制どうのこうので面倒だったり、何より車離れが鬼門だった
しかし次の世界はそれがない……


ならばそこはきっと車バカにとって天国エデンに他ならない







「向こうの世界に移るにあたって
多生なりとも貴方の望みがあれば叶えようと思います」

「そう言えば、事故の時……Z
どうなったんだ?」

まるでラノベのように神様に願いを聞かれると
ふと事故の時のZの事を思い出してしまう

「そうですね……崖からの転落ですし殆ど廃車の状態ですが
しっかり直しますのでご安心を」

「あー……それなんだけど……」

わざわざ直してくれると言ってくれ
正直ありがたいのだが
避けられなかった以上自分にも責任のある事故だ
だからけじめは自分でつける、と辰起はそう思っていた

「Zは……自分で直したいんだ」

そう辰起は神様に言った

(かっこつけと笑わば笑え
けどな、夢にまで見た愛車を自分が壊しちまって
それで他人に直させるのはなんか嫌だ
それだときっとこれから先も同じ事故を繰り返してしまうかもしれない…) 

辰起の思いが神に届いたのか、それはさだかではないが…
神は少しだけ優しげに笑い、言った

「……わかりました
それでは直るまで…というよりファーストカーはこちらで用意いたします
ご安心ください、丁度いいタイミングでピッタリな車が入ってきましたので
Zもファーストカーについても向こうの世界の自宅車庫で確認してください」

「はーい、りょうかい」

そして辰起は転移するため、床に紋が書かれた所の真上まで移動させられる


「それでは……第二の人生をお楽しみください」

ニッコリと笑顔を向ける女神を尻目に

こうして辰起は新しい世界へ転生した









「……はっ!?」

転生一日目
辰起は知らないベッドの上で目を覚ました


「ここは…」

最初は知らない部屋に戸惑った物の
女神とのやり取りにここが異世界なのだと気づく

「……」

とりあえずベッドから降りて
外へ出ようと玄関を探す
その間に格好は元の世界での最期の夜に着ていたものだと気がつく

「……ちっ」

祐紀也達向こうの世界に置いてきてしまった仲間や家族を思い出せば目頭が熱くなったが
まずは食い扶持を保ったりするのが先
引いては走り屋が中心とまで言われたこの世界での最初の愛車ファーストカーの確認をするのが先だ

(……ガレージ…あるみたいな事言ってたよな?)


玄関から外に出て世界を確認する
道路は舗装されている物の馬や馬車しか今は走っていなかった

「……お」

辺りをキョロキョロと見渡せば
玄関のすぐ脇にガレージと見られるシャッターが確認できた

ガラガラガラ…

ゆっくりとシャッターを開ければ
まず最初にボロボロになった愛機【S3OZ】が目にはいる

「……買ったばっかなのに……ごめんな……
俺があのとき避けきれなかったばっかりに痛い思いさせたよな…」

辰起はボロボロなフェンダーからひしゃげたボンネット
そして潰れた屋根へ向かって手で撫でていく

「必ず直して…もう一度デケェ音で吠えさせてやるからな……」

誰ともなしに辰起はそう誓うのである
いや、その誓いは相棒であるZに向けて……だ

「……それにしても」

しばらくZを撫でた後
顔を上げて視界の端に先程から見えていたカバーの掛かった車を見る

「こっちのファーストカーか……ご対面!」

バサッ…と一気にカバーを外した辰起の目が驚愕に変わる

「まじかよ……」

カバーの掛かっていた時から丸っこいと思っていたその車は前の愛車であるHONDAシビックEG6だ

「しかもこれ……」

ナンバーは無いが、純正のフロストホワイトにHIDヘッドライト、スモークコーナーレンズ
特注の太いリップスポイラーにJ'SRACINGの悪っパネ
純正オプションの赤黒RNRホイール

外見からわかるツーシーターのドンガラ内装に十六点ロールケージと
フロントに貼られた
【Street FF Motor Sports Onemake】のハチマキステッカー
もう疑いようもない

「……俺のシビックだ」

こうして辰起はZ購入の際廃車にしたはずの過去の愛機と再会を果たしたのだった

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