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【十七話】蘭の持ち色

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 アーロンが動き出したのもあるが、先だけでもつらい。
 舌でちろちろ舐めて、口ですることに慣れた頃、少しずつトマスを口に入れていく。
 大きく口を開けて、頬張ると、これはこれで口の中が刺激されて気持ちがいいことが分かった。
 口を開けて舌を絡めて舐めていると、トマスが動いて口の中が擦られる。

「んっ」
「あぁ、ランの口の中も、やはり気持ち、いい。……あ、出ます……っ!」

 気がついたらトマスの剛直をけっこう飲み込んでいて、喉の奥に白濁を叩きつけられた。ちょっと苦しい。
 初めての感覚に蘭は戸惑ったけれど、ザラリとした舌触りと苦味を感じながらゴキュッとトマスの吐き出したものを飲み込んだ。

「ラン、まさか……飲んだ?」
「うん」

 トマスは慌てて蘭の口内から引き抜き、引き抜くときに若干の精液が粘着いて蘭の口内を汚していったが、蘭はそれも無意識のうちに吸い取り、トマスは思わぬ気持ちよさに呻いた。

「ぅっ、ランっ!」
「……ごちそうさま?」

 美味しいものではないが、それがトマスの中から出たものと思うと、特に嫌だとかはない。むしろ、蘭に反応して出たのかと思うと、誇らしいというか、嬉しい。
 だから「ごちそうさま?」だったのだが、トマスは感極まったようだ。

「ランっ! アーロン、すぐに出して代われっ!」
「焦るなって」

 アーロンが苦笑しつつ、蘭の奥を突き上げ、最奥に放った。
 蘭は熱さに気持ち良くなる。

「ぁんっ」
「代われって言うから、まだランのナカにいたかったんだが」
「アーロン、また後で奥を……その、いっぱい突いて、ね?」
「……今のお願い、かわいかったから我慢する」

 アーロンは蘭の頬にキスをすると、ズルリと抜けていった。

「あんっ」
「ラン、挿入れますよ」

 出したばかりなのに、もう復活しているトマスにちょっと蘭は驚きつつ、受け入れる。
 トマスがズブズブと埋まってきて、蘭は思わず吐息を吐いた。

「気持ちいい、ですか?」
「ん、気持ちいい」

 アーロンにはアーロンの、トマスにはトマスの、イバンにはイバンの良さがある。
 みんな気持ちが良くて、それがいいけど、つらい。

「トマス」
「はい」
「たくさん、ナカを擦ってね」
「もちろんですよ」

 トマスは蘭のナカを擦りながら、奥も突いてくれる。
 蘭の甘い啼き声に、トマスの腰の動きが速くなった。

「ぁんっ、ぁんっ、トマス、イッちゃう、からぁ」
「さっきのお礼です。何度でもイッてください」

 グチュグチュという音が蘭の耳に妙に響く。
 それはいつもより速くて、蘭は登り詰め、達した。

「あぁ、ランのナカがっ!」

 トマスも蘭がイッたのに引きずられて、キュウッと絞られて、奥に放った。

「はぁはぁ……。ラン、気持ち、良すぎ、です」
「ん……。トマス」

 トマスは蘭にキスをして、それから抜けた。
 そしてすぐにイバンが挿入ってきて、蘭は気持ち良くて喘いだ。

「ランの望み通り、混ぜるよ」
「ん、イバン、お願い」

 イバンは腰を回したり、ナカを擦ったり、奥を突いたり、華麗な動きで蘭を翻弄する。三人の中で一番技巧に長けているのがイバンだろう。
 蘭はイバンの動きに、何度も達して、達しすぎて──意識を手放した。

「さすがにイキ過ぎた?」
「かもな」

 イバンは蘭の奥に吐き出して、いつもの呪文を唱えて、それでも衰えない自分に苦笑しつつ、蘭のナカに埋め込んだままにした。

「イバンはそのままでいるつもりですか?」
「ちょっと試したいことがあるんだけど」
「試したいこと?」
「蘭のお腹の紋様に、三人で魔力を流したどうなるのか、ちょっと試したい」
「寝てるのに強制発情したらどうするんだ?」
「たぶん、それはないかと」

 アーロンとトマスは以前にやらかしていたため、かなり慎重に蘭のお腹の紋様に触れた。
 特になにか起きる様子はない。
 イバンもお腹の紋様に触れた。

「少しでいいので魔力を流してみてください」
「俺、苦手なんだよな」
「でも、魔力を流すのは出来るよね?」
「あぁ、それは問題ない」

 三人は同時に蘭のお腹の紋様に魔力を流した。
 三人の魔力に反応して、白く光る紋様に、イバンは数度、うなずいた。

「もういいよ」

 イバンの合図で魔力を流すのを止めて、お腹からそっと手を離した。それからイバンが繋がったまま蘭に白いワンピースを着せて、上掛けを掛けた。

「で、イバンはまだナカにいるのですか?」
「……ちょっと、離れがたいというか、出さないように気をつけるけど、もうちょっといさせて」

 なにか思うところがあるのか、イバンはそう言って、蘭のナカに居座った。

「兄さんたちは、ランの色が変わらないことに不思議に思いませんでしたか?」
「あー、それな」

 この世界には基本十二人の聖女がいる。蘭は十三人目であるが、予備として喚ばれた。
 予備とはいうが、勇者が十三人いても問題ない。むしろ、勇者は過酷な勤めとなるので、多い方がいい。しかし、多すぎても問題なので、最大で十三人となる。
 蘭には説明していなかったが、この世界に聖女がいつ召喚されてもいいように、色々と準備がされている。とはいえ、大異変は百年ごとなので、大異変が起こる二十年前から準備に入る。
 そして、今年は大異変が起こると想定されている年の二十年前になる。
 二十年前としているのは、勇者の年齢を考えてだ。
 聖女を召喚、子作り、妊娠、出産、育児、ある程度成長したら勇者の能力に合わせて育成をして、育て上げる。
 大異変が起こる頃には二十歳行くか行かないかくらい。
 そういう想定の下に召喚が行われる。
 この一定の周期に保たれているのも疑問だが、これが何十回と繰り返されてきているのも、おかしい。
 しかし、今回の大異変は、この周期が乱されているようなのだ。
 それは、大聖女の死にも現れていた。
 大聖女が殺される前、世界の意志が消えた、と言っていた。
 この意味することはなになのか。

「……んっ、ちょっと……ランのナカ、どうなってるんだ? 寝てるはずなのに、キュウキュウ締め付けてきて……ちょっとマズいから、抜ける」

 イバンはようやく蘭のナカから抜け出し、自分の手で扱いて出していた。

「ふぅ、危ない」
「ったく、なにしてんだ」

 イバンは自分が出したものを処理した後、二人を蘭の眠る丸いベッドの端に呼んだ。

「ちょっと確かめたかったんだよ」
「なにをだ?」
「ランの色、だよ」

 話は戻るが、聖女を召喚して、子作りするための場所が必要になる。そこで、この聖域と呼ばれる場所にそのためだけの建物が用意された。
 この建物は少し特殊で、基本は白だが、聖女が召喚されて、聖女がそこで生活を始めると聖女の持つ色に変化する、という。その色も、自然と聖女の持ち色が出てくることもあるが、聖女が望む色、好きな色に染めることも出来る。
 ところが、である。
 蘭はすでに二日ほどこの建物で過ごしているが、基本色の白から変化する様子がない。
 蘭が白でいいと思っているから、というのも大きいのだろうが、イバンは蘭が予備で喚ばれたから、持ち色がないのではないか、と推測して、先ほど試しに魔力を流してみたのだ。
 イバンの魔力の色は赤と青が混ざった色をしている。トマスは銀色、アーロンは黄色だ。
 蘭の紋様に魔力を流してみたところ、三人の魔力の色は消され、白く──というより、透明になったため、白く光ったように見えたのだ。

「ランはどうやら色を持ってないというと正確ではないんだけど、透明? なんだよ」
「だから白のままだと?」
「そう。一応、基本色の白ではないみたいなんだけど、色がないから、透明だから、色がないように見えてるみたいなんだ」
「──何物にも染まらない色を持っていると?」
「それが近いかな?」

 聖女の中には、日替わりで色が変わるという変わり者もいるらしい。あとは気分によっても変わったり、色々とあるようだ。

「色なし、とか呼ばれてしまうのか?」
「予備の色なし、とか言われそうだな」
「ランは予備なんかではありませんよ」
「そうなのか?」
「確かに、聖女は十二人で予備が一人いて十三人と言われていますが、ランはたまたま最後に召喚されただけで、予備ではありません」

 トマスはきっぱりとそう言いきったが、

「予備ではないという根拠は?」
「私たちが予備の聖女につけられたと?」
「──まぁ、そうだなぁ。そうだよなぁ」

 イバンの疑問にトマスは答え、その内容にアーロンは納得の声を上げた。

「さて。ランは寝てしまいましたが、私たちはどうしますか?」
「……寝るか」
「ちょっと不完全燃焼だけど、おれも寝る」
「ランを部屋に戻しましょうか」
「あー、ここだとな……。どろどろのぐちゃぐちゃのところに寝かすのもあれか」
「ここは魔法陣が埋め込まれてるから、もう綺麗になってるよ!」
「いや、そうなんだが。なんかこう、心情的に」

 アーロンが蘭を抱き上げ、蘭の寝室へ連れて行った。
 途中、少し起きたが、アーロンの顔を見て、幸せそうに笑うと、また寝てしまった。

「なに、このくっそかわいい生き物」
「寝てるのが惜しかったですね」
「起きてたら即、襲った」
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