終焉を迎えそうな世界で、君以外はなんにもいらないんだ

朱月野鈴加

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【二十七話】一方的な陵辱※

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※注意喚起※




※大変な無理矢理です。
※寝取られ描写ありのため、要注意。





 *

 蘭はここに来て、どれだけ経っているのか分からなかった。
 時計もカレンダーもないし、窓のない部屋なので、昼も夜も区別が付かない。
 マリ──蘭があの少女の形をした人形に名前を付けた──が規則正しく食事を運んでくるので、どれだけ経ったのかなんとなくは分かっていたが、それは正確ではない。

「マリ、暇だから本が読みたい」

 そして蘭は、暇を潰すための道具をようやく見つけていた。
 マリに言えば、大異変が問題ないと思ったものだけなのだろうが、本を読むことができたのだ。
 ただ時間が過ぎ去るのを待つだけの苦痛から解放されて、蘭は満足していた。
 今日もマリにそうやって本をねだれば、懐から新しい本が出てきた。
 もちろん、こちらの言葉で書かれているのだが、蘭は問題なく読むことが出来た。
 そういえば気にしていなかったが、言葉も違うが、だれから教わることなく理解できたし、喋ることも出来ていた。
 たぶんだが、これは異世界人がこちらの世界に強制的に呼ばれたときに付与される特典なのだろう。
 いきなり強制的に呼ばれて、言葉も分からないとか、どんな地獄かと。

 というわけで、蘭はただひたすら、律が大きくなって助けに来てもらったときのために、耐えて待つことを選択した。
 でも、自力での脱出を諦めたわけではない。
 隙があれば試しているのだが、ここにいるということは、脱出は成功していない。

 そして今日も変わらずに本を読んで一日が終わるはずだった。
 なのだが。

『来たぞ』

 どこから現れたのか分からないが、急に出てきたようだ。ここに攫われてきて以来、久しぶりに聞く声に、蘭は震えた。

「なっ、なんで!」
『我は待った。待っていたのになぜ連絡しない!』

 突然現れた大異変は、マリに怒りをぶつけていた。
 マリは人形で喋らない。いや、人形だから喋れない。
 最初は反応がないから耳も聞こえていないのかと思ったのだが、そうではなかったようで、蘭の言うことは分かるらしく、たまに困ることもあるけれど、意思の疎通はそれなりに出来ていた。
 そのマリに、理不尽な怒りをぶつけている。
 蘭は怖かったが、マリの前に立ってかばった。

『なぜ、前に立つ?』
「マリは悪くないわ!」
『マリ?』
「彼女の名前よ!」
『人形に名前を付けたのか。……ふんっ、人間らしいな』

 大異変は顔を歪めて笑っている。
 人間の姿をとっているが、なんと醜い笑い顔だろう、と蘭は思う。

『準備が出来たら利用すると言っただろう!』
「準備……。利用?」

 なんの準備で、なにを利用するというのか。
 蘭は分からず傾げると、大異変はさらに怒りだした。

『もういい! 充分に待った! もう問題ない! それにもう、時間もない!』

 大異変はなにを怒っているのか。
 しかし、蘭は肌で感じていた。
 これはヤバイ、と。

 大異変とは距離があったはずなのに、気がついたらかなりの距離を詰められていて、目の前にいた。
 蘭は驚き、目を見開いた。
 大異変はニヤリと嫌な笑みを浮かべると、蘭の手首を乱暴につかみ、くるりと回してベッドの上に投げ飛ばした。ドスン、と蘭の身体はベッドの上に転がった。

「痛いっ!」
『あぁ、なにも起きているときに来なくてもよかったのか。──まぁ、いい』

 蘭は慌てて身体を起こそうとしたが、それよりも早く大異変が蘭の身体の上へ来て、両手首を頭上で拘束された。
 ここまでくれば、これからなにをされるのか、蘭は嫌でも分かった。

「止めてっ!」
『おまえには魔王も産んでもらう』
「ま、魔王っ?」
『勇者を産んだということは、その対である魔王も産めるということ』
「嫌よっ! なんでそんなものを産まなきゃいけないのよっ!」

 蘭の叫び声にマリは反応したようだ。いつもならベッドには決して入ってこないのに、蘭と大異変の横に立っていた。

「マリ?」

 そしてマリはおもむろに大異変に蹴りを入れた。
 しかし、マリの身体は人形だ。同じ人間の大きさよりも遥かに軽い。大異変は不機嫌にマリの身体を薙いだ。
 マリの身体はあっさりと宙に飛ぶ。

「マリっ! あんた、マリになんてことをっ!」
『我の作った人形のクセに、なぜ我のすることに反抗をする?』
「そんなの、決まってるじゃない! あんたなんかの言うこと、聞くわけないでしょう!」
『煩い、黙れっ!』

 大異変に強い口調で言われたが、蘭はキッと大異変を睨みつけた。

「黙らないわよ! それより、離しなさい──よっ!」

 蘭は暴れて手首の拘束を解こうとしたが、力が強すぎて、敵わない。
 さらに足を蹴り上げて股間を蹴飛ばしたのだが、大異変はなんともないようだった。確かに蹴って、感触があったのにもかかわらず、だ。

『なんとも乱暴だな』
「今からあんたがしようと思ってることに比べれば、遥かにマシよ!」

 大異変がこれからしようとしていることは、暴力だ。
 それも相手を一番傷つける性暴力だ。

『それだけ威勢がよければ、さぞかし凶悪な魔王が誕生するだろう』
「嫌よっ! 助けてっ! アーロン、トマス、イバンっ!」
『くくく……。泣け、喚け! 呼んだところで聞こえもしない。聞こえたとしても、ここには来れまい』

 大異変は顔を歪めて、楽しそうに笑っていた。
 蘭は悔しくてたまらない。
 このまま大異変の思い通りにさせるのは、腹が立つ。だけど蘭にはどうすることも出来ない。

『あぁ、愉快だ。もっと我を憎むが良い!』
「律っ! 助けてっ!」

 蘭は力の限り暴れたが、大異変には無駄だったようだ。
 ここで着ている服はやはりワンピースで、大異変はスカートをまくり上げると、目を細めた。

『うむ、もう問題ない。腹にあった忌々しい紋様も綺麗になくなっている。腹も次の子を孕む準備は出来ている』
「やだっ! 嫌だって! わたしの身体はあの三人のもの、なんだから!」

 蘭はバタバタと暴れるが、大異変の力は緩むことはない。しかし、蘭が暴れているため、さすがに面倒になってきたようだ。

『動くな、うっとうしい』

 それだけ言うと、蘭の身体は動かなくなった。口を開けることも出来なくなり、「んー、んー!」と呻くだけになってしまった。

『まったくもって、人間というのは面倒な生き物だな』

 大異変はそう言いながら蘭の両腕を拘束していた手を離し、蘭が動けないのを確認すると、前を寛げた。
 そこには、蘭が思っていたよりも凶悪な黒い剛直がそそり立っており、いやいや、と首を振ろうとしたが、それも出来なかった。
 視線を逸らそうにも動けないため出来ない。かろうじて瞬きはできたが、目を閉じると余計に怖いことに気がつき、蘭はジッと見ることしか出来ない。
 あんなので貫かれたら、裂ける。
 たぶん、トマスのよりも太くて、アーロンのより長い。
 あんなの、凶器と一緒だ!
 蘭は逃げようと必死だが、動けない。

『さて。問題なく受け入れられそうだな』

 いやいや、無理! 物理的にも、心理的にも、無理!
 蘭は喚きたいが口も動かせないため、心の中で叫んだ。
 大異変は蘭の下着を引き裂くと、股を大きく広げ、解すことなくグリグリと押し込んできた。

「んーっ!」

 痛い、痛い!
 そもそも濡れてないし、久しぶりだし、解してないのに入るわけがない!
 それなのに大異変は分かっていないようで、グリ、グリ、と押し込んでくる。

『なぜ入らぬ!』

 いやいやそれ、入りません! 無理っ!
 という蘭の内心の叫びは届くわけもなく。

 しかし。
 大異変がそうやってグリグリとしていると、身体の防衛反応でだんだんナカが濡れてきているのが分かった。決して感じているわけではない! と蘭は叫ぶ。

『ん? なにやら、ナカからぬるぬるしたものが出てきたな?』
「んーっ!」

 蘭は痛いだけなのだが、だからその痛みから逃れるために愛液が分泌されてきたようだ。
 そのヌメリは大異変の剛直に絡まり、ヌルリ、と蘭のナカへと入り込んでいく。

「んーっ!」

 嫌だ、裂ける! と思ったのだが、子どもを産んだからなのか、蘭のナカはあっさりと大異変の剛直を飲み込んでしまった。
 膣壁を擦られ、最奥を突かれ、身体が痛みから逃れるために蘭にこれが気持ちいいもの、と思わせようとしている。
 蘭は必死に抗った。
 この身体は三人のものなのに、身体は蘭の気持ちをあっさりと裏切って大異変を受け入れ、挙げ句の果てには気持ちがいいと思わせようとしている。
 こんなもの、ただの暴力であり、気持ち良くなどない!

 大異変はようやく蘭のナカに入り込むことが出来て、満足していた。そしてこの初めての行為はとてつもなく気持ちがいい。人間が感じている快感とは、なんと心地が良いものなんだ、と。
 大異変は初めての快楽に夢中になった。
 身体がおもむくままに腰を振り、そしてそれはすぐに限界を迎え──。
 蘭の最奥を突いた途端、大異変の意思に反して身体がなにかを吐き出した。それは白い体液で、精子と呼ばれるモノ。卵子と出会うと子ができる胤。
 蘭は覚えのあるナカの感触に叫んだ。

「んんんんーっ!」

 受け入れただけでもショックなのに、ナカに思いっきり出された。
 穢されてしまった。
 もうあの三人に……会えない。

 いや、まだ心までは奪われてない。
 だけど、顔向けできないことは確かだ。

 大異変はあまりの気持ちよさに恍惚とした表情を浮かべ、蘭のナカになにかを出したことで感じるこのとてつもない快感に虜になった。
 大異変の剛直は一度出しただけでは収まらず、蘭のナカを擦り、奥を突いた。
 今度は先ほどよりかなり長い間、蘭のナカを擦っていた。

 蘭はぼうぜんとただ受け入れるだけだった。
 気持ちがいいともなにも感じない。
 ──そうだ、なにも感じなければいいのだ。
 だから蘭は──心を手放した。

 大異変は蘭の異変に気がつくことなくとにかく快感を追うことに必死だった。
 ただひたすらに気持ちがいい。
 大異変は蘭のナカに何度も吐き出した。
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