蒼の騎士

四月 深欲

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フライパンの料理人と運転手と

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俺達は、先程フライパンを振りかざしていた料理人に連れられ、6人程が会食出来る大きさのテーブルのある個室へ入った。
大きめのテーブルは、木製で、白く着色されていた。
真ん中には純白の薔薇が入った小瓶が一つ、両わきには白い皿とナイフとフォークが4人分置かれていた。

この店の店員だろうか、俺達4人が座るであろう椅子を引くと、一礼、即座に退出した。

「いつもすみませんね」

「ほんとだよまったく」

謝る運転手にフライパンの料理人は「やれやれ」といった様子。

「座りましょうか」

「ああ」

フライパンの料理人と運転手が向かって左に、俺とヨミが右に座る。
4人がしっかりと座り終えると、先程とは違う店員らしき人物が、個室に入ってくる。

「失礼します」

店員らしき人物は、メニュー表を人数分、それぞれの手前に、静かに置く。

「本日のメニューは特別メニューとなっております。」

そう言い終えると、「失礼します」と、店員らしき人物は一礼し、退出した。

「あれは?」

俺は、店員らしき人物の事を、フライパンの料理人に尋ねる。

「うちの店員だよ」

一言、言うと、フライパンの料理はメニュー表を開く。
それにつられる様に、他3人もメニュー表を開く。

「あ」

開いたメニュー表は、なんだかよくわからない言語で書かれていて、俺には読めなかった。

「まあまあだな」

フライパンの料理人はメニュー表を見ながら、そう呟く。

ヨミは、もう食べたいものが決まったのか、メニューを閉じて、自分ディスプレイで遊んでいた。
俺は、小声でヨミに読み方を聞く。

「これ、何処の文字だ?」

「エル文字だよ、この都市独自の文字」

「へー」

感心する俺に、ヨミは翻訳魔法を使う。
すると、先程まで全く解読不能だったメニュー表の文字が、浮き上がり、俺のよく知る共通語へと変わっていく。

「凄いな」

「凄いでしょ」

自慢気に腕を組み、不敵な笑みを浮かべる。
「助かる」という仕草をした後に、読めなかったメニュー表に目を通す。

「知らない料理ばかりだ」

せっかく翻訳された料理も、知らなければ意味がない。
「イゴの森」や「朝日」なんかは、全くもって検討もつかない。

困っている俺に、フライパンの料理人は言う。

「言ったろ、今日は特別メニューだって」

「そうなのか?」

特別メニューにしては何の料理かが分からないのは困る話だが、ここはフライパンの料理人に聞く事にしよう。

「なあ、これって何の料理なんだ?」

そう言いながら、メニュー表を見える様に置き、気になる料理の名前を指差す。

フライパンの料理人は、見ていたメニュー表から目を外し、俺の指差す料理の名前を読む。

「『楽園の調べ』か、洒落た名前をつけるね.....。客人、残念ながら今回のメニューは私の監督する料理人が、私の出す課題で作る料理だ。『独創的で美味い料理』それが、私の出す課題、自分で考え、自分で作る。だから私も何が出てくるかは分からないんだ」

無理だよ。
といった感じて両手を挙げる。

「そうか」

それはまずいんじゃないかと、思いながら、何処かヒントはないか、とメニュー表に目を通すも、ヒントらしき文字は、一切見つからない。

「嫌いな食べ物が出てきたらどうするんだ?アレルギーの心配もある」

俺は、率直に疑問をぶつける。

「その事なら安心してくれ、たまにこうした、変な料理を作るが、その時は全て無料で提供しているんだ。嫌いなら食べなければいい、アレルギーも同じだ提供する時に原材料は言うからな」

そうか、とフライパンの料理人の話を聞きながら、皆、適当に料理を選ぶ。

俺は「楽園の調べ」、ヨミは「歪曲」、フライパンの料理人は「目覚め」、運転手は「開花」だった。

どの料理も、素人の自分からは、全く内容がわからない名前だった。

運転手が、ベルを鳴らす。
その音の後、直ぐに店員が来る。

4人はそれぞれ、決まった料理の名前を店員に言う。
店員はそれを復唱し、確認をとると礼をし、静かに部屋を後にした。

「さて、料理が運ばれてくるまで、時間がある。遅ればせながら、自己紹介と行こうじゃないか」

フライパンの料理人は微笑む
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