5 / 7
出立
しおりを挟む
ヨミと戦場で会い同居する約束をしてからはや2日。
自分と彼女は今列車に揺られている。
「車内サービスです」
誰かがドア越しに話しかけてくる。
「どうぞ」
自分は座ったまま手を目一杯伸ばし、スライド式の無骨な扉を開ける。
「すみませんわざわざ」
と、一礼。
「いえいえ」
扉を開けるといかにもウェイターといった格好のいい赤い服を着た20代くらいの青年がお菓子等が乗ったテーブルカートを止めて立っていた。
「何にいたします?」
と青年は言う。
それを聞いた俺は横で分厚い本を読んでいるヨミに聞く。
「ヨミは何がいい?」
「アップルティーとチョコレート、あとチップスがいい」
ヨミは本から目を離さず即答。
「承知致しました。旦那様は何がよろしいでしょうか?」
しばしテーブルカートに乗った物を見つめて考える。
ガムやキャンディーなど色々あり、全部美味しそうだ。
「じゃあ、そのマドレーヌとダックワーズとダージリンティーで」
「承知致しました」
青年は大きなポットに入った熱湯を別の小さいティーポットに注ぐ。
2つ用意されたティーポットに熱湯を注いだ後、アップルティーとダージリンの葉の入った缶を開けそれぞれ別のティーポットに入れる。
角砂糖の入ったビンを取り出し2つのティーポットと2つのカップと2人分のお菓子の乗った四角いトレイの上に置く。
「お済みの場合はコールしていただけますと回収に参りますので」
「ありがとうございます」
青年は、お菓子とティーの乗ったトレイを置いた後、大きなポットを元の位置に戻しゆっくりと後ろにさがる。
「引き続き旅をお楽しみください、では失礼いたしました」
静かに扉を閉めて消えた青年に一瞬だけ「お代は?」と言おうとしてしまい苦笑いする。
この列車は軍の物なのだから俺は払わなくていいのだったな、たしか。
トレイに乗った自分のダージリンティーを手元に置き、ヨミのお菓子の袋を開けてやる。
そういえば。
「それにしても俺達は何故戦場を抜け出せたんだ?」
ふと疑問に思った事を口に出す。
「あの戦場は私達が殺した化物で最後だったの、後は死鳥の処理だけだから私達抜きでも対処出来る」
間を開けて出た答えに、そうかとうなずき、追加の疑問を口に出す。
「じゃあこのV.I.P.待遇は何だ?」
「私達が偉いから」
そうだったか?
と思い自分の立場を思い出す。
「私達国家の主戦力だからかなり偉い、知らなかったの?」
へー
「いや、興味なかったから全然」
頭をポリポリ掻きながら言う俺にたいし彼女は「あり得ない」と言うかのような顔をしたあと。
「じゃあ授与式の時どうしたの?」
「禍津級と戦ってた」
俺の答えにヨミは頭を抱える。
「あー、仕方ない」
1年前、市街地に突如出現した禍津級。
俺を含めた10人の対禍津級特例討伐部隊が市街地に着いた時には住民の半数余りを食い荒らし、自らの糧としていた。
2日に渡る殺し合いの末、市民の犠牲は出たが何とか討伐出来たのだ。
が、結局完全に消滅させる事は出来ずに封印する事しか出来なかった。
「それで勲章は?」
「後で受け取った」
「だから授与式に出席してなくても勲章だけはあったわけだ」
ヨミはアップルティーを片手にまた本を読み始めた。
「それで・・・」
「失礼します!」
ヨミが何かを言おうとした時、誰かが大きな音を立てて扉を叩く。
「どうぞ」
「あと、1時間程て目的地に到着致します。では後ほど」
「わかりました」
あと1時間か。
1日前の夕方に戦場にを離れ、搬送機で軍の管理する駅まで。
今日の朝方から、半日程列車に揺られていた。
今の時間は、と首にかけた懐中時計を見る。
18時丁度。
重い首を鳴らし、まだ口を付けていないお菓子を食べるのだった。
それから1時間後、列車は速度を落とし始める。
「もう着くぞ」
俺は立ち上がり、前の席に置いてあった荷物と武器を取りながら言う。
「いこうヨミ」
「うん」
自分と彼女は今列車に揺られている。
「車内サービスです」
誰かがドア越しに話しかけてくる。
「どうぞ」
自分は座ったまま手を目一杯伸ばし、スライド式の無骨な扉を開ける。
「すみませんわざわざ」
と、一礼。
「いえいえ」
扉を開けるといかにもウェイターといった格好のいい赤い服を着た20代くらいの青年がお菓子等が乗ったテーブルカートを止めて立っていた。
「何にいたします?」
と青年は言う。
それを聞いた俺は横で分厚い本を読んでいるヨミに聞く。
「ヨミは何がいい?」
「アップルティーとチョコレート、あとチップスがいい」
ヨミは本から目を離さず即答。
「承知致しました。旦那様は何がよろしいでしょうか?」
しばしテーブルカートに乗った物を見つめて考える。
ガムやキャンディーなど色々あり、全部美味しそうだ。
「じゃあ、そのマドレーヌとダックワーズとダージリンティーで」
「承知致しました」
青年は大きなポットに入った熱湯を別の小さいティーポットに注ぐ。
2つ用意されたティーポットに熱湯を注いだ後、アップルティーとダージリンの葉の入った缶を開けそれぞれ別のティーポットに入れる。
角砂糖の入ったビンを取り出し2つのティーポットと2つのカップと2人分のお菓子の乗った四角いトレイの上に置く。
「お済みの場合はコールしていただけますと回収に参りますので」
「ありがとうございます」
青年は、お菓子とティーの乗ったトレイを置いた後、大きなポットを元の位置に戻しゆっくりと後ろにさがる。
「引き続き旅をお楽しみください、では失礼いたしました」
静かに扉を閉めて消えた青年に一瞬だけ「お代は?」と言おうとしてしまい苦笑いする。
この列車は軍の物なのだから俺は払わなくていいのだったな、たしか。
トレイに乗った自分のダージリンティーを手元に置き、ヨミのお菓子の袋を開けてやる。
そういえば。
「それにしても俺達は何故戦場を抜け出せたんだ?」
ふと疑問に思った事を口に出す。
「あの戦場は私達が殺した化物で最後だったの、後は死鳥の処理だけだから私達抜きでも対処出来る」
間を開けて出た答えに、そうかとうなずき、追加の疑問を口に出す。
「じゃあこのV.I.P.待遇は何だ?」
「私達が偉いから」
そうだったか?
と思い自分の立場を思い出す。
「私達国家の主戦力だからかなり偉い、知らなかったの?」
へー
「いや、興味なかったから全然」
頭をポリポリ掻きながら言う俺にたいし彼女は「あり得ない」と言うかのような顔をしたあと。
「じゃあ授与式の時どうしたの?」
「禍津級と戦ってた」
俺の答えにヨミは頭を抱える。
「あー、仕方ない」
1年前、市街地に突如出現した禍津級。
俺を含めた10人の対禍津級特例討伐部隊が市街地に着いた時には住民の半数余りを食い荒らし、自らの糧としていた。
2日に渡る殺し合いの末、市民の犠牲は出たが何とか討伐出来たのだ。
が、結局完全に消滅させる事は出来ずに封印する事しか出来なかった。
「それで勲章は?」
「後で受け取った」
「だから授与式に出席してなくても勲章だけはあったわけだ」
ヨミはアップルティーを片手にまた本を読み始めた。
「それで・・・」
「失礼します!」
ヨミが何かを言おうとした時、誰かが大きな音を立てて扉を叩く。
「どうぞ」
「あと、1時間程て目的地に到着致します。では後ほど」
「わかりました」
あと1時間か。
1日前の夕方に戦場にを離れ、搬送機で軍の管理する駅まで。
今日の朝方から、半日程列車に揺られていた。
今の時間は、と首にかけた懐中時計を見る。
18時丁度。
重い首を鳴らし、まだ口を付けていないお菓子を食べるのだった。
それから1時間後、列車は速度を落とし始める。
「もう着くぞ」
俺は立ち上がり、前の席に置いてあった荷物と武器を取りながら言う。
「いこうヨミ」
「うん」
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる