【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?

おもち

文字の大きさ
26 / 59

第26話 学園祭。

しおりを挟む

 学園祭当日になった。

 先輩と大学の最寄駅で待ち合わせし、まひるの大学に向かう。昨今のテロの影響で警備が厳重らしく、関係者しか入れないとのことだったが、まひるが事前に登録してくれて、首かけのネームカードを準備してくれた。

 先輩はホルダーをくるくる回しながら話す。

 「学園祭でもコレが必要なんて、最近の大学は物騒だよなー。おれの時は……」

 「えっ、先輩、大卒だったんですか?」

 「なんだよ。別に俺が大学いっててもいいだろ!」

 ウチくらいの会社だと、大卒だと話題になったり(本人が自慢して)するもんだが、先輩についてはそういう話を一切聞いたことがなかった。

 ……無駄にいい学校いってそうだな。この人。

 なので、詳細はあえて聞かないことにした。
 すると先輩は、眉毛をハの字にして下顎を突き出している。いかにも聞いて欲しそうだが、無視無視。

 大学の入口には大きな門があって、歴史を感じさせる。
 いかにもアカデミックな雰囲気だ。

 すると、まひるが門の横で待っていてくれた。
 こちらに気づき、手を振っている。

 今日のまひるは、ゼミの模擬店の売り子もするということでコスプレしている。小さい羽の生えた紫と黒の小悪魔のコスプレ。髪の毛も黒くしていてメイクも黒ベース。……似合い過ぎてる!!

 夜のまひるを知っている俺から見ると、リアルサキュバスにしか見えない。
 
 いやぁ、たまらん。
 ちょっと、ウチに来る時に借りてきてもらえないかな。

 しかも、メガネをかけているぞ!!
 あいつ、目が悪かったのか。

 メガネのまひるもいいなぁ。
 放課後の妄想が尽きないぜ。


 すると、先輩が脇腹をつついてくる。
 なんか前のめりで怖いんですけれど。

 「あの小悪魔の可愛い子がまひるちゃん? まじかよ。大当たりにも程があるだろう!! 俺がこの前アプリで会った子と交換して欲しいんだけど。チェンジプリーズ」

 「NO」

 断固拒否だ。
 世界一の美女が来たって、まひると交換するつもりはない。

 先輩は、おれより先に駆け寄ってまひるに話しかけている。チャラいにも程があるだろう。この人。

 「お待たせしました! 君がまひるちゃん? うちの愚弟がいつもお世話になっております……」

 まひるは半笑いで、こっちを見ている。
 それと、まひるの横にいる女の子。まひるの友達かな?

 「ナギくん! この子が前に話した親友の、ほのかだよ。ナギくんの次に好きな子~!!」

 そういって、まひるは、ほのかに抱きつく。

 ほのかはそういうノリが苦手らしく、顔を引き攣らせて、まひるを押し退けようとしている。

 まひる避けがひと段落すると、ほのかはぺこりと挨拶をしてくれた。

 ほのかは、まひるより少し小さい。
 少しだけふくよかだが、美人の部類に入ると思う。

 そのほのかが、我らクズ兄弟を半眼で見ているぞ。あれがジト目ではなく、眠いだけだと信じたい。

 すると、先輩はそんなのお構いなしに、さっそく、ほのかに話しかけている。

 ほんと、すげーよ。あんた。

 その先輩がこっちに戻ってくる。
 そして、明るい声で、こう言ってのけた。

 「ほのかちゃんの目、あれジト目だってよ(ハッハッハ)」

 神様!! 
 この人、ここで捨てて帰ってもいいですか?



 まひるとほのかに学内を案内してもらう。

 学内はにぎやかで、これぞお祭りという雰囲気だ。講堂に続く大通路の両サイドには、様々な露店が出ていている。

 学内を歩きながら、まひるが、ほのかに俺を紹介してくれる。

 「ほのか。この人が、いつも話しているナギ君。わたしのカレ。かっこいいでしょ?」

 カッコいい?
 まじで?

 もちろん嫌われてはいないとは思っていたが……、好きな子に褒められるのは、思った以上に嬉しいものらしい。

 思えば、初対面の時は、アプリでも写真交換しなかったし、お互いの容姿を知らないまま会って、すぐにホテルにいってしまったからな。

 もちろん、俺はまひるに一目惚れみたいなものだったが、まひるは俺の見た目についてどう思っているのかとか、考えたこともなかった。

 そんな関係から始まったのに、いま、こうして親友に紹介してもらえていることは、感慨深い。

 

 『あっ、りんご飴だ』

 おれが足をとめると、まひるがすぐに気づいた。すると、タタッとカウンターにいき、りんご飴を2本買ってきてくれた。

 まひるは、えっへんと胸をはり、俺と先輩にわたす。

 「はい。ナギ君、これ好きでしょ? 小さな赤いりんご飴。普段お世話になってるから、わたしの奢りです。先輩の分も。どうぞ」
 
 先輩は、自分ももらえてビックリしている。

 「え、俺も良いの? なにもお世話してないけれど」

 まひるはニコニコして頷く。

 「はい。どうぞっ。これからお世話になるかも知れないし、先払いです」

 おれは受け取ったりんご飴を眺める。

 小さな赤いりんご飴。
 これを見る度に思い出す。

 子供の頃、近所のお祭りで楽しみにしていたお菓子。うちは貧乏だったから、きっと、うちの親は、自分のなにかを我慢して買ってくれてたんだと思う。
 
 そういえぱ、中学の頃にそんな話をしたことがあったっけ。
 まひる、覚えていてくれたんだ。


 俺は、ほぼ確信している。
 いつからかは分からないが、まひるは、俺のことに気づいている。

 名前の呼び方もそうだし、時々、今のように、不思議なことを言うのだ。


 だけれど、なんとなく、そこを追求しては行けない気がしている。

 まひるが、俺に気づいていると言わない理由。
 それを知らずに、無神経に土足で踏み込めば、今度こそ、一生会えなくなってしまうのではないかと思う。
 

 だから、今はまだ。
 まひるが振り向いてくれるまでは。

 お互いの辛いことに目を背けたままでいられる、この都合のいい関係で。

 まひると一緒の時間が過ごせればいいと思っている。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。  入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。  しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。  抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。  ※タイトルは「むげん」と読みます。  ※完結しました!(2020.7.29)

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

処理中です...