あの頃

瑠菜

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湊斗side  可愛い……

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4章

~湊斗side~ 


今日、瑠菜が倒れた。
それよりも大変なことがおこった!瑠菜にキスしたことがバレたことだ!

(この沈黙、きつい。でも、あの事は謝らないとダメだよな……)

俺「悪かった。何か、眠ってるお前見てたらかわいいな~とか思っちゃって。つい。」
(言っちまったよ。はぁー)
すると、瑠菜が驚いた顔をしてこちらを向いてきた。
(やっぱり、熱あるんだな。顔が赤い。)
瑠菜「湊、斗。それは、私のこと好きな、の?」
(瑠菜!お前!)
俺「っつ!あんまり可愛いこと言うなよ……」
俺は顔を伏せた。
(顔、アッツ!)

瑠菜の方をチラ見すると、近くに瑠菜の顔があった。
俺の顔が赤いのを知った瑠菜は、「ふぅーん、そっかー。湊斗は、私の、ことそんなに、好きなんだ」といっていた。
(嬉しそうな顔してるな)
俺「お前、やけに嬉しそうだな。
そうだよ、俺はお前が好きだよ」
少し照れ臭かった。だけど素直に言えて良かった。

そんなことを考えていると、瑠菜の顔が突然、真っ青になった。
瑠菜「ご、めん。湊、斗」
(え?どうしたんだ?)
俺「ん?どうした?」
俺は、できるだけ優しい眼差しで微笑んだ。
当然、苦しそうな顔をした。
瑠菜「湊、斗。頭、いったいよ!」
瑠菜が頭を押さえてもがき始める。
俺「おい!瑠菜!?大丈夫か!?今すぐ先生、呼んでくる。」

はぁーはぁー

俺は全速力で走った。
保健室から職員室まではそう遠くないけど、なぜかすごく遠く感じた。

ガラッ!

俺「先生!保険の先生!」
俺は大声で叫んだ。学年主任の松本先生が目を丸くしてこちらに来た。
松本「どうしたんだ斎藤?何かあったのか?」
俺「先生!瑠菜が、櫻井さんが頭痛そうにしていて、苦しそうなんです!だから、保険の先生を呼びに来たんです!!」
俺は先生の腕を引っ張りながら必死に伝えた。

松本「斎藤、まずは落ち着け!」
(落ち着いてられるか!)
俺はそう思いながらも先生の言葉をまった。
松本「今、保険の先生は出張に行ってしまったんだ。まずは先生が親に連絡する。だから、湊斗は瑠菜の元に着いていてくれ!」
先生は焦りぎみで答えた。
(早く戻らないと!)
俺はまた走った。

────保健室

ドアを開けると瑠菜がぐったりした顔でいた。きっと意識がないのだろう。額には汗をかいていて、とても苦しそうだった。
俺は瑠菜の元にかけより、手を握った。


───瑠菜がいい夢を見ますように───


願った。瑠菜が楽になるように、必死に。

何分くらいたっただろう。下校の音楽がなり少したったころ瑠菜のお母さんが来た。

瑠菜のお母さん「ありがとうね、湊斗くん。瑠菜もバカね、こんなになるまで………」
瑠菜のお母さんは悲しそうな顔をした。
瑠菜のお母さん「これから病院にいって、帰るわね。よかったらお見舞いに来てね。きっと、瑠菜喜ぶと思うわ。」
そう微笑むと瑠菜のことをおんぶして車に乗った。俺は見送った。

家に帰った俺は、母さんに今日のことを話して、心配だからお見舞いに行っていいか聞いた。
母さん「え!?瑠菜ちゃんが?大丈夫なのかしら。お母さんも櫻井さんの家に用事があるから一緒に行くわ。」
心配そうな母さんを見て、大丈夫だと伝え出掛ける準備をした。
家を出るのは5時半と母さんに言われた。

俺「今は5時か。30分なにしよう。」
何もすもすることがなかった俺は、宿題をすることにした。

──────30分後

(ヤバ!もう30分たってる)
そう考えてると母さんから声がかかった。
母さん「湊斗ー!そろそろ行くわよ!」
俺「分かった。今行く!」
あわてて荷物をとり、下へ降りた。
瑠菜の家は近かった。車で3分ほどだ。
あっという間に瑠菜の家についた。

ピンポーン

母さんがインターフォンを鳴らした。
母さん「ごめんくださーい。櫻井です。瑠菜ちゃんのお見舞いとお話があってきました。」
瑠菜のお母さんが「どうぞー」といい俺たちは家に入った。
瑠菜のお母さん「こんなところまでごめんね、美知子さん。さぁ、上がって。」
そういうと俺は「お邪魔します」と言ってからあがった。

俺がそわそわしてると瑠菜のお母さんが笑って「瑠菜なら2階の部屋にいるわよ。もう起きていると思うから、倒れた理由と少しだけお話してもらえる?私、お母さんに話あるから」といい笑った。
俺は早速2階へ行った。瑠菜の部屋は昔から行ってるから分かる。
ノックをしたあと部屋に入った。
俺「瑠菜。入るぞ。」

ガチャ

中に入ると布団を深くかぶった瑠菜がいた。
(あ~あ、何か可愛いな)
俺は瑠菜に意地悪をした。
俺「瑠菜。今すぐ布団からでないとまたキスするぞ!」
にやけながら俺が言うと、布団の中から「え!?」という声が聞こえた。

その直後、瑠菜は顔だけを出して「何?」と言ってきた。
俺「お前、大丈夫なのか?なんで倒れたか教えてくれ。」
率直に聞いた。
瑠菜は悩んだ顔をした。でも、そのあとすぐ話始めた。
瑠菜「大丈夫。ただのストレスらしいから。気にしないで。」
その瑠菜の顔は少し赤かった。
(何だ、照れてるだけか)

プッ

俺は絶えきれず笑ってしまった。
瑠菜が怒った顔で「何で笑うのよ」と言ってきた。
俺「だって、お前があまりに可愛すぎるから。顔真っ赤にしてさ、可愛い~」
瑠菜は「え?」といいリンゴのように頬を赤らめさせた。
瑠菜「な、何いってるの!」
瑠菜が睨んできた。

(やば、怒らせた?)
どうやら本気で怒ってるらしく、顔が怖い。
(そうだ、告白の返事聞いてなかった。)
俺は自分で言った、告白の返事を聞いた。
俺「なー、瑠菜。」
瑠菜「な、何よ!」
やはり睨んでくる。
俺「話変えて悪いんだけど、告白の返事聞かせて?」
俺は微笑んだ。((多分
瑠菜「へ!?」
瑠菜は布団をかぶった。その後、布団の中でボソッと喋った言葉を俺は聞き逃さなかった。
瑠菜「いいよ((ボソッ」

俺「え!?マジで!」
俺は嬉しかった。
瑠菜の布団の上に乗って、隣に座った。
瑠菜の耳があるであろう場所に顔を近づけた。
俺「瑠菜。好きだよ((ボソッ」
すると、
瑠菜「ひゃっ!な何!?」
瑠菜は布団の中から出てきた。
その直後俺は瑠菜にキスをした。

チュッ

瑠菜「き、急に何するのよ!」
顔真っ赤で唇を噛み締めた瑠菜はものすごく怒った。
俺「だって、さっきでなかったらキスするって言っただろ?」
不適な笑みを浮かべた。
頭を撫でようとしたとき、母さんの声が聞こえた。
母さん「湊斗ー!そろそろ帰るわよー」
手を引っ込めて瑠菜に「じゃあな」と言って部屋を出た。

────次の日
俺「おはよう!」
今日は機嫌よく、にやにやしてた。
(おっ、瑠菜だ。
あれ?あいつ何か顔赤くないか?おもいろw)
俺は面白がるため、そっと後ろにまわった。
俺「よっ!瑠~菜!おはよー」
後ろからガバッと抱きついた。
瑠菜「ひゃっ!な、湊斗!?いきなりなにするの!はーなーしーて!」
瑠菜は顔真っ赤にして振り払われた。
俺「何だよ、ひでーなw」
俺らがイチャイチャしてると回りの目が怪しい目になってきた。

「なんだよ、あいつら結局付き合ってたのか」とか「私、狙ってたのに………」いろんな声が聞こえてきた。
(やべ、何か嫌な雰囲気だな。ところで瑠菜は…)
瑠菜の顔を見るとものすごい怒った顔でこちらを睨んでいる。
瑠菜「早く退いてよ。」
まじで怒らせたらしく声のトーンが低くなってた。
(こんなこと、昔もあったような…………)


昔の俺は弱かった。だから、毎回瑠菜に守られてここまで来た。そんなある日、瑠菜と俺が付き合ってるという噂が学校に広がった。周りの女子や男子からからかわれて泣きそうになった俺を見て瑠菜は回りにいた人に対して
瑠菜「そうやって人のことからかって泣かせて、バカじゃないの?」
瑠菜の低い声、睨んだときの顔で皆は固まった。そのとき以来、噂はなくなったがあのときの顔は怖く低く恐ろしかった。そんな顔を俺がさせるなんて、ヤバいな……

俺「わ、悪かった。」
俺はすぐに瑠菜から離れた。
急いで準備をし、座った。
その数十秒後、先生が教室には言ってきた。椎崎先生はいろいろな話をしてたが、一番印象に残ったのがいじめについてだった。

(自殺する人が多くなってるんだ。ひでー話。)
俺はそのとき他人事のように聞いていた。ある事件が起こるまでは何も関係ないと思っていた。その考えが間違いだったことを思い知らされるのはそう、時間はかからなかった。
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