純文学のブックマーク ~栞と五人の文芸部員~

海獺屋ぼの

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第二章 ニコタマ文芸部

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「お待たせしたね。じゃあ校長室に……」
 どうやら話し合いの場は校長室らしい。
「はい!」
「まぁ君たちはあったことを正直に言ってくれればいいからね。嘘を吐かないことが御堂さんにとっては重要だから」
 さっきまでとは打って変わって村田先生は穏やかで無関心な口調だ。普段の昼行灯。そんな感じ。
 校長室へ向かう。横を見ると水貴の手は震えていた。まぁ、私も同じようなものだと思う。平静なのは楓子と村田先生だけだ。
「失礼します。連れてきました」
 村田先生が校長室の扉を開ける。中には御堂さんと浩樹。あとは学年主任と担任、校長教頭が居た。
「先ほどお話した通り。彼らの意見を聞いてください。御堂さんの話と矛盾がなければ彼女は潔白だと思うので」
 村田先生は淡々と話す。
「村田先生……。さっきも言いましたけどね! 今回は見た生徒が居るんですよ? だから……」
「まぁまぁ拓実先生。みんなの意見を聞いてからでもいいじゃあないですか。それとも何か不都合でも?」「……。いえ……。」
 拓実先生(御堂さんたちの担任)は村田先生に突っかった。そこには子供の私から見ても分かるほどの嫌悪感がにじみ出ている。
「じゃあ……。君たち。御堂さんとどんな風に勉強したのか詳しく聞かせて」
「はい!」
 それから私たちは勉強会でのことを出来うる限り詳しく話した。部室でやった小テストの結果だとか、どうやって苦手克服したかだとか。そんな話。
 私たちが話している最中、拓実先生は面白くなさそうな顔をしていた。明らかにふて腐れている。
「……。つまり、君たちは一生懸命やった……。そう言いたいのかな?」
「はい! 御堂さんはすごく頑張ったんです」
「そうか……」
 村田先生を除く教員たちは顔を見合わせた。
「しかしね……。君たちがなんて言おうと彼女の後ろの生徒が見てるんだ。君たちはその現場を見たわけじゃないだろ?」
「でも! 御堂さんはやってないと思います! だってカンニングする必要がないですよ!? 自己採点だって良かったです」
「はぁ……。あのね君。自己採点なんていくらでもごまかしが利くんだよ? そんなのは証拠にはならないよ」
 どうやら拓実先生は私たちの意見をよほど黙殺したいらしい。彼の言い回しにはそんなニュアンスが……。いや、悪意が含まれていた。
 正直に言おう。一五年生きてきてここまで怒りを覚えたことはない。なんでそこまでして御堂さんを悪者に仕立て上げたいのだろうか?
「じゃあそのカンニング見たって言うのだって証拠はないじゃないですか?」
 今度は水貴が口を挟んだ。普段の彼からは考えられないほど強い口調だ。
「……。半井くん。言葉には気をつけた方がいい。それはつまり小南さんが嘘を吐いたってことだからね?」「ええ! そう言ってるんです! 小南さんは同じ陸上部で御堂さんとは仲悪かったし!」
 そこから校長室の空気は明らかに変わった。水貴の言ったことはおそらく真実なのだろう。
「そんなこと……はない」
「どうしてですか!? どうしてそう言えるんです?」
 完全に水貴はキレていた。よほど頭にきているのか、顔が真っ赤になっている。
「まぁまぁ半井くん。落ち着いて……。どうでしょう拓実先生? ここは小南さんを呼んでみては? あとは……。そうですね。カンニングされた生徒も呼んでみましょう。そうすればもっとはっきりすると思いますよ?」
 村田先生はまるでこの状況を待っていたと言わんばかりに口を挟んだ。
「しかしねぇ……。それは……」
「それとも何か不都合でもあるんですか? 半井くんの言うとおりねつ造……。があるとか?」
「そ、そんなことは……」
「では呼びましょう。拓実先生も白黒はっきりさせないとすっきりしないでしょうしね」
 村田先生はそう言うとヘラヘラ笑った。でも……。彼の目は欠片も笑っていなかった。 
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