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第二章 ニコタマ文芸部
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翌日。学校に行くと予期せぬ事態に出くわした。重そうなカメラ、『PRESS』と書かれた腕章。お世辞にもお行儀が良いとは言いがたい態度。そんな集団が校門を占拠していたのだ。
「二子玉川高校の生徒さんですか?」
「は、はい……」
「私、西都新聞の堤と申します。少し話を聞かせていただいても……」
彼女はそう言うと白くて厚みのある名刺を差し出した。私はそれを反射的に受け取る。
「御堂火憐さんという生徒さんはそちらに……」
彼女がそう言いかけると校門に学年主任が走り寄ってきた。
「ちょっとあんたら! 生徒たちに絡まないで! ほら! 君も相手しないでいいから」
学年主任は息を乱しながら言うと私の腕を引っ張った。
「あんたらは授業の邪魔だ! あんまりしつこいと警察呼ぶぞ!」
酷い言葉が響き渡る。まぁ、昨日も聞いた気がするけれど――。
「おはよう栞。あんたも絡まれた?」
教室に着くと眠そうな顔をした楓子に声を掛けられた。徹夜明けなのか目の下には濃いクマがある。
「おはよう。うん、楓子ちゃんも?」
「ああ、絡まれたよ……。ってか手当たり次第って感じだったしさ」
どうやら私たちだけではないらしい。クラスメイトの大半はマスコミに絡まれたようだ。
「なんだろうね? なんか御堂さんがどうとかって……」
「……。たぶん昨日の件だと思うよ? どっから漏れたのか知らないけどカンニングねつ造をマスコミにチクった奴がいるんだと思う。
「そう……。だよね。やっぱり村田先生かな?」
「うーん……。どうだろ? 村田先生はそんなことしないとは思うけど」
正直な話。これだけマスコミが来た理由は彼以外ありえないと思った。文芸部の誰かがリークするはずがないし、学校側がわざわざ自分たちの不祥事を宣伝するわけもないのだ。
「謎だよね……」
「うん……。まぁ、どっちにしても誰かがマスコミにチクったのは間違いないよね」
一体誰が? そんな疑問が解決したのは放課後のことだ――。
その日の授業は一限を除いて普段通り行われた。一限だけは強制的に自習だったけれどそれだけ。他に変わったことがあったとすれば体育の授業が体育館に変わったことぐらいだろう。
「川村さん、篠田さんお疲れ」
部室に着くと先に浩樹が来ていた。昨日と違って髪の毛が短くサッパリしている。
「お疲れ様! 髪切った?」
「うん。暑くなってきたからね」
浩樹の短髪。それは季節の風物詩みたいなものだ。彼は年間でこの時期だけかなり短髪にするのだ。彼が短髪になると蝉が鳴き出す。そんな風にさえ思う。
「川村さんたちも新聞記者に絡まれた?」
「うん。浩樹くんも?」
「ああ、いやマジでめんどかったよ……。御堂さんなんか裏口から入ったんだよ? まぁ、当事者だから仕方ないけどさ」
浩樹はやれやれといった感じで軽いため息を吐いた。昨日の今日で疲れているのか、いつもより猫背に見える。
「そういえば水貴くんと御堂さんは?」
「ああ、水貴はいつものだよ。御堂さんは……。もうすぐ来ると思うよ」
「そっか……」
いつもの。今日も水貴は来ないらしい。
「水貴くんのお母さん相変わらず? 最近ちょっと多くない?」
バッグから画材を取り出すと楓子がそう尋ねた。
「うーん……。あんまり具合は良くないらしいね……。俺もあんまりツッコんでないけど、良くはないんだと思う……」
「瀬戸くんさぁ。さすがに知らんぷりにも限界があるよ……。そろそろ水貴くんに聞かなきゃさ」
楓子にしては珍しい。思えば高校に進学してから彼女の口数は増えたように感じる。
「ああ、そうだね。それはそうと……」
浩樹はバツが悪くなったのか話を切り替える。
「分かったんだよ。今回誰がマスコミにリークしたか! まったく迷惑な話だけどさ……」
「え!? 誰なの?」
私は思わず大きな声を上げた。
「ほら、ウチのクラスの中原だよ。あいつ何考えてるか分からない奴だったけどまさかこんなことするとはね……」
浩樹曰く、中原くんはマスコミへのリークをあっさり自供したらしい。それこそ「言ったのは僕だよ」くらいの軽いノリだったとか。
「でもなんで? 中原くん、カンニングねつ造が嫌だったの?」
「うーん……。正直分かんないかな……。あいつって本当によくわかんない奴だからさぁ」
そう言うと浩樹は心底うんざりしたような顔で首を横に振った。
「二子玉川高校の生徒さんですか?」
「は、はい……」
「私、西都新聞の堤と申します。少し話を聞かせていただいても……」
彼女はそう言うと白くて厚みのある名刺を差し出した。私はそれを反射的に受け取る。
「御堂火憐さんという生徒さんはそちらに……」
彼女がそう言いかけると校門に学年主任が走り寄ってきた。
「ちょっとあんたら! 生徒たちに絡まないで! ほら! 君も相手しないでいいから」
学年主任は息を乱しながら言うと私の腕を引っ張った。
「あんたらは授業の邪魔だ! あんまりしつこいと警察呼ぶぞ!」
酷い言葉が響き渡る。まぁ、昨日も聞いた気がするけれど――。
「おはよう栞。あんたも絡まれた?」
教室に着くと眠そうな顔をした楓子に声を掛けられた。徹夜明けなのか目の下には濃いクマがある。
「おはよう。うん、楓子ちゃんも?」
「ああ、絡まれたよ……。ってか手当たり次第って感じだったしさ」
どうやら私たちだけではないらしい。クラスメイトの大半はマスコミに絡まれたようだ。
「なんだろうね? なんか御堂さんがどうとかって……」
「……。たぶん昨日の件だと思うよ? どっから漏れたのか知らないけどカンニングねつ造をマスコミにチクった奴がいるんだと思う。
「そう……。だよね。やっぱり村田先生かな?」
「うーん……。どうだろ? 村田先生はそんなことしないとは思うけど」
正直な話。これだけマスコミが来た理由は彼以外ありえないと思った。文芸部の誰かがリークするはずがないし、学校側がわざわざ自分たちの不祥事を宣伝するわけもないのだ。
「謎だよね……」
「うん……。まぁ、どっちにしても誰かがマスコミにチクったのは間違いないよね」
一体誰が? そんな疑問が解決したのは放課後のことだ――。
その日の授業は一限を除いて普段通り行われた。一限だけは強制的に自習だったけれどそれだけ。他に変わったことがあったとすれば体育の授業が体育館に変わったことぐらいだろう。
「川村さん、篠田さんお疲れ」
部室に着くと先に浩樹が来ていた。昨日と違って髪の毛が短くサッパリしている。
「お疲れ様! 髪切った?」
「うん。暑くなってきたからね」
浩樹の短髪。それは季節の風物詩みたいなものだ。彼は年間でこの時期だけかなり短髪にするのだ。彼が短髪になると蝉が鳴き出す。そんな風にさえ思う。
「川村さんたちも新聞記者に絡まれた?」
「うん。浩樹くんも?」
「ああ、いやマジでめんどかったよ……。御堂さんなんか裏口から入ったんだよ? まぁ、当事者だから仕方ないけどさ」
浩樹はやれやれといった感じで軽いため息を吐いた。昨日の今日で疲れているのか、いつもより猫背に見える。
「そういえば水貴くんと御堂さんは?」
「ああ、水貴はいつものだよ。御堂さんは……。もうすぐ来ると思うよ」
「そっか……」
いつもの。今日も水貴は来ないらしい。
「水貴くんのお母さん相変わらず? 最近ちょっと多くない?」
バッグから画材を取り出すと楓子がそう尋ねた。
「うーん……。あんまり具合は良くないらしいね……。俺もあんまりツッコんでないけど、良くはないんだと思う……」
「瀬戸くんさぁ。さすがに知らんぷりにも限界があるよ……。そろそろ水貴くんに聞かなきゃさ」
楓子にしては珍しい。思えば高校に進学してから彼女の口数は増えたように感じる。
「ああ、そうだね。それはそうと……」
浩樹はバツが悪くなったのか話を切り替える。
「分かったんだよ。今回誰がマスコミにリークしたか! まったく迷惑な話だけどさ……」
「え!? 誰なの?」
私は思わず大きな声を上げた。
「ほら、ウチのクラスの中原だよ。あいつ何考えてるか分からない奴だったけどまさかこんなことするとはね……」
浩樹曰く、中原くんはマスコミへのリークをあっさり自供したらしい。それこそ「言ったのは僕だよ」くらいの軽いノリだったとか。
「でもなんで? 中原くん、カンニングねつ造が嫌だったの?」
「うーん……。正直分かんないかな……。あいつって本当によくわかんない奴だからさぁ」
そう言うと浩樹は心底うんざりしたような顔で首を横に振った。
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