純文学のブックマーク ~栞と五人の文芸部員~

海獺屋ぼの

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第三章 夏の花

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 私と水貴は部活のあと高校近くのファミレスへ向かった。今回は二人きりだ。
「……にしても浩樹と御堂さん最近ずっと一緒だよね」
 ファミレスに向かう道すがら水貴がぼやくように言った。
「だねー」
「浩樹って御堂さんみたいなタイプが好きなのかな?」
 水貴は珍しく下世話な話を持ち出した。まぁ水貴と浩樹は幼なじみだし当然と言えば当然だけれど。
「そうねぇ。確かに浩樹くんってボーイッシュで乙女なタイプ好きかもね」
「だよね! なんかそんな気はしてたんだよ」
 そう話す水貴は心なしか嬉しそうに見えた。おそらく親友の恋を応援したいのだろう。言い方こそ素直じゃないけれど、水貴にとって浩樹は大切な存在なのだ。
 空を見上げるとうっすらと夏の星が浮かんでいた。当たり前だけれど天の川は見えない。下手したら夏の大三角さえ見失いそうになる。そんな空模様だ。
 逆に地上の光は節操なく輝きを放っていた。新宿ほどではないにしろ二子玉川だってネオンの明かりは多い。よく言えば適度に活気のある街。悪く言えば中途半端……。住民としてはそんな風に感じる。まぁ実際住むとなったら都心よりここら辺のほうが断然住みやすいとは思うけれど。
 こうして水貴と二人で歩くのは本当に久しぶりだ。中学時代はよく二人で帰っていたけれど、高校に入ってからはそれも少なくなった。きっとどこかに照れもあるのだろう。もう『トモダチ』という言葉には収まらない。そんな感覚を私たちは互いに共有している気がする。
 私たちの関係。それはあくまで『トモダチ』だった。結果論的にお互いに引かれ合っているような気はするけれど、きっとゴールインはしないと思う。たぶん。
 本心を言えばこの関係のままでずっと居たい。恋人にはならず。プラトニックで。つまらない嫉妬に振り回されたりしない。そんな関係のままずっと一緒に居たい。
 確認はしていないけれど水貴だって同じ気持ちだと思う。それは互いの恋愛感からハッキリしていた――。
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