日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~

海獺屋ぼの

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第七章 水郷会児童福祉施設 あけぼし

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 それから私たちは裏口から園庭に回った。そしてベニヤ板で組み上げられたステージの裏手で待機という指示を受けた。ベニヤ板越しに司会者風の女性の声と子供たちの笑い声が聞こえる。声から察するにどうやら今は何かのゲームをしているらしい。
「よし。んじゃ今日も春日ちゃんよろしくねー。香取ちゃんはあんまり調子に乗らないように……。夏木さんはリラックスしてやってね。この二人がちゃんとフォローしてくれるから」
 逢川さんはそう言うと美鈴さんと弥生さんの肩を後ろからガシッと掴んだ。そして「二人と頼んだよ」と言うとニッと笑った。さっき瑞穂さんと険悪だったあの空気はもうない。
「んじゃ行く前に円陣組もうか」
 美鈴さんはそう言うと私と弥生さんに丸くなるように促した。そして「鹿島ちゃんも入ってー」と言って香澄さんも半ば無理矢理円陣に加える。
「ではでは……。我らが週末魔法少女ウィークエンドマジカルガールのリーダー! 春日弥生ちゃん! 一言お願いしまーす」
 美鈴さんはそんな風に無茶ぶりすると弥生さんに向かって嫌らしい笑みを浮かべた。弥生さんは一瞬「は?」という表情をしてから口を開く。
「……今日は初めての三人公演です。メイリンはもう慣れたと思うけど……。逢川さんの言うとおりあんま調子乗らないようにしてください」
 弥生さんはそこで一旦深呼吸した。そして私に視線を向けて続ける。
「聖那ちゃんは今日が初公演なのできっと緊張してると思います。でも……。きっと大丈夫です。昨日あれだけ必死に練習してたしね。……それにもし失敗しても良い経験にはなると思います。だから今日は精一杯頑張りましょう!」
 弥生さんはそこまで話すと今度は香澄さんに視線を向けた。
「香澄ちゃんも今日はありがとね。子供の頃からずっと助けて貰っちゃって……。今日こうして一緒にステージまで来れて嬉しいです」
 弥生さんはそう言って三人それぞれの顔を見回した。そして円陣の真ん中に右手を差し入れる。
 弥生さんが右手を入れると美鈴さんがその上に手を乗せた。そして美鈴さんの手の上に香澄さんの手が乗る。
「さぁ聖那ちゃんも」
「うん」
 私は弥生さんに促されて自身の右手を円陣の真ん中に差し出した。そして四人の手が重なると胸に熱いものがこみ上げてきた。緊張だとか不安ではない。もっと熱くて、楽しくて、嬉しい。そんなものだ。
「では……。聖那ちゃんのデビュー戦頑張るぞ!!」
 弥生さんがそう言うと私たち四人は「おー!!」と言って今日の成功を祈るように右手を高く掲げた――。
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