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第十章 下北線路外空き地
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空が薄暗くなる。そして会場に明かりが灯り始めた。時刻は一七時半。いつもならもう撤収している時間だ。
「香澄ちゃんの衣装やっぱり良いね」
弥生さんはそう言いながら自身のハンドガンタイプのステッキを指先でクルクルと回した。天沢さんから引き継いだそれは非常に可愛らしくスタリッシュな見た目をしている。世界修復銃アウレリアヌス。確かそのステッキはそんな名前だったははずだ。私の記憶が正しければアウレリウスは古代ローマ皇帝の名前だったと思う。
「ありがとう。手前味噌だけど……。すごく良く作れたと思うよ」
香澄さんはそう言うと照れたように笑った。その笑顔は普段の営業スマイルとはまるで違う。心からの笑顔。そんな風に見えた――。
一八時。すっかり夜の帳が降り、トワイライトな空が下北沢の街を包み込んでいた。そして私たちの待機スペースにも夜祭りの喧噪が届いた。今回のイベントには結構な人数が参加しているのか多くの笑い声が聞こえる。
「皆さんお疲れ様です」
私たちが待機スペースで待っていると逢川さんと話していた女性に声を掛けられた。
「お疲れ様です。春川さんお久しぶりです」
弥生さんはそう言うと彼女に頭を下げた。そして「叔母がいつもお世話になってます」と続けた。その口ぶりから察するにどうやらこの春川さんという女性は出雲社長の知り合いらしい。
「いえいえ。こちらこそいつも出雲さんにはお世話になってます。……すごい賑わいだね」
「ええ、結構大きなイベントみたいですね。……東京での公演は久しぶりなので緊張します」
「ハハハ、まぁそうだよね。でも弥生ちゃんはすごいよ! 私には演技なんかできないもん。年下だけどすごい尊敬しちゃうな」
春川さんは急にフランクな口調になるとニッコリ笑った。そして私たちの方に向き直る。
「あなたたちも! すごいね。今日は公演最後まで見せて貰うね」
彼女はそう言うと大きく背伸びをした。そして「魔法少女かぁ」と感慨深げに言った――。
「香澄ちゃんの衣装やっぱり良いね」
弥生さんはそう言いながら自身のハンドガンタイプのステッキを指先でクルクルと回した。天沢さんから引き継いだそれは非常に可愛らしくスタリッシュな見た目をしている。世界修復銃アウレリアヌス。確かそのステッキはそんな名前だったははずだ。私の記憶が正しければアウレリウスは古代ローマ皇帝の名前だったと思う。
「ありがとう。手前味噌だけど……。すごく良く作れたと思うよ」
香澄さんはそう言うと照れたように笑った。その笑顔は普段の営業スマイルとはまるで違う。心からの笑顔。そんな風に見えた――。
一八時。すっかり夜の帳が降り、トワイライトな空が下北沢の街を包み込んでいた。そして私たちの待機スペースにも夜祭りの喧噪が届いた。今回のイベントには結構な人数が参加しているのか多くの笑い声が聞こえる。
「皆さんお疲れ様です」
私たちが待機スペースで待っていると逢川さんと話していた女性に声を掛けられた。
「お疲れ様です。春川さんお久しぶりです」
弥生さんはそう言うと彼女に頭を下げた。そして「叔母がいつもお世話になってます」と続けた。その口ぶりから察するにどうやらこの春川さんという女性は出雲社長の知り合いらしい。
「いえいえ。こちらこそいつも出雲さんにはお世話になってます。……すごい賑わいだね」
「ええ、結構大きなイベントみたいですね。……東京での公演は久しぶりなので緊張します」
「ハハハ、まぁそうだよね。でも弥生ちゃんはすごいよ! 私には演技なんかできないもん。年下だけどすごい尊敬しちゃうな」
春川さんは急にフランクな口調になるとニッコリ笑った。そして私たちの方に向き直る。
「あなたたちも! すごいね。今日は公演最後まで見せて貰うね」
彼女はそう言うと大きく背伸びをした。そして「魔法少女かぁ」と感慨深げに言った――。
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