日給二万円の週末魔法少女 ~夏木聖那と三人の少女~

海獺屋ぼの

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第十二章 航空自衛隊 百里基地

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 それから私は母に「なんでバイト先知ってるの?」と何の面白味もないことを訊いた。母には具体的なアルバイト先は伝えてはいないはずなのだ。もし知っているとするなら……。どこか別の場所から話が漏れたのだと思う。
「ほら、ちょっと前に聖那のバイト先の人がワンボックスで迎えに来てくれたことあったでしょ。そのときに訊いたのよ」
 母はこともなげに言うとソファーに腰を下ろした。そして「酒々井にあるイベント関連への人材派遣会社らしいじゃない?」と続ける。
「ああ……。うん。そうだね」
 私は母の言葉にそれしか返せなかった。いったいどこまで知っているのだろうか? 正直まったく分からない。
「もしかして聖那……。私が何も知らないと思ってた?」
 不意に母にそう訊かれた。それに対して私は「え、え、あ」と言葉に詰まった。もしかしてお母さんは全部知ってるのかな……。そんな直感が私の身体を刺す。
「大丈夫よ。アルバイトやめろなんて言わないから。……逢川さんだっけ? あの人も頼りになりそうな人だよね。私が挨拶しに行ったら車から降りてきてくれてね。そんで丁寧に挨拶してくれたんだ。『しっかりしたお嬢さんが入ってくれて弊社としても嬉しいです』ってね」
 母はそう言うと天井を見上げた。そして「フフッ」と鼻を鳴らす。
「でね。悪いけど聖那のアルバイト先について少し調べさせて貰ったんだ。ま、調べたって言ってもネットで事業内容見たのと営業所の場所見てきただけなんだけどね」
「そっか……。じゃあ私のバイト内容もだいたい知ってる……。感じ?」
 私は恐る恐る母にそう尋ねた。そしてすぐに訊いたことを後悔することになる。
「知ってるよ。ってか水郷会病院の施設で公演してたのは見に行ったから」
「は!?」
 母の返答に思わずそんな声が出てしまった。水郷会病院の児童養護施設あけぼし……。私の魔法少女デビュー戦の会場だ。
 私がそうやって呆然としていると母に「そんなに驚かないでも……」と呆れ気味に言われた。その口ぶりから察するに母は私が魔法少女をしていてもあまり気にはならないらしい。
「あんた昔からああいう魔法少女もの好きだったよねぇ。ほら、小学校のときは大宮のイオンシネマまで連れてけって騒いでたじゃない。……ま、私もあの映画はけっこう楽しんで見たんだけどさ」
 母はそう言うとキャビネット下の棚を開けた。そしてそこを漁ると「あったあった」と言って一冊のパンフレットを取り出した。少し色あせた映画のパンフレット。表紙には『アポカリプティックガールズ~終末魔法少女~』と書かれている。
 それから母はそのパンフレットを手に取って懐かしそうに眺めた。そして「あの頃は映画くらいしかあんたの頼み聞けなかったんだよねぇ」と言った。そこには私に対する申し訳なさと母自身の後悔の色が浮かんでいた。
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