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「ディザクライン、侯爵令嬢……? どういうことよ。あんたまさか、マルク様と結婚したの?!」
「それは大変な誤解ですね、バークスファー伯爵夫人」
オリヴァーがアリサに背を向けたまま、彼女へ話しかけた。
オリヴァーの背後で立ち尽くすアリサの表情が、明るいものへと変わった。
「そうですわよね! 私の聞き違い……」
「こちらのミレー嬢は、マルクの妹です。妻とか嫁の類いではありません」
相変わらずオリヴァーはアリサの顔を見ようとしない。未だにエドワードを威嚇しながら話しかけている。
(エドワード様に話しているような図にしか見えない……)
そう思いつつ、今はパクパクと何度も口を開閉しながら、何も言葉が出ないといった様子のアリサのほうが気になっていた。
「なに、なにかのお間違いじゃありませんか……? ここにいる女は、ミレー・クローバー。出来損ないの、私の義姉です!」
「おや。あなたの御父君から、ミレー嬢がクローバー家の人間であることを公表するなと、念を押されている場に、貴女もいらっしゃいませんでしたっけ?」
いつの間にか化粧室に、イリーもいた。
(なんでみんな、当たり前のように女性用化粧室に入ってきているんだろう?)
「イリー。来たのか」
「さすがにこれだけ一か所に人が集まっていれば、何かあったのかと様子を見に来ます。……それに、なにやら楽しそうな感じになっておりますので、割り込ませていただきました」
イリーは顔に影を作ったまま、口元に弧を描いた。
「何言って……ッ!」
アリサがイリーに突っかかろうとしたが、イリーの鎧の紋章を見て黙った。
この場で王宮の騎士に逆らえば、不利になるのは逆らった貴族だからだ。
「……あ。そこの、腹黒女に、嘘を吹き込まれたんですね? それとも、胸元広げて、今のように足元をはだけさせながらお願いでもされたんです? その女は『あばずれ』ですから」
嘲笑うようにミレーを見るアリサだが、見下げられるような視線を向けられても、ミレーは呆れるばかりであった。
イリーも同じように呆れながら、一つ息を吐いた。
「今のは、私の騎士道を辱めようとする侮辱として受け止めても、よろしいのですね?」
鋭い視線で睨まれ、アリサは一瞬呆けた顔をする。だがすぐに自分の失言に気づいたように頭を振る。
「え? え、あ、ち、違います! き、騎士様がそこのあばずれごときに魅了されたなどと思いませんわ! そこの女は、それだけはしたなく、ふしだらだと申し上げただけで……」
(どこにフォローが入っていたのかしら?)
「さっきからあばずれって言うけれど、それってアリサ夫人のことよね?」
それまで傍観していた令嬢たちが、ひそひそと隣の人と話し出した。
「そうそう。バークスファー伯爵の下で足を広げて腰をお振りになっているんですってね」
「先ほど伯爵が自慢げに語っていたのを耳にいたしましたわ」
「ディザクライン侯爵令嬢のお召し物を『はしたない』って言っておりましたが、流行が分からないから、あのような派手で品格のないドレスを恥ずかしげもなくパーティーに着てこられるのですね」
ひそひそと話しているつもりだろうが、興奮からか、次第に声が大きくなっていることに、令嬢たちは気づいていないのか、はたまたわざとか……。
アリサの顔が真っ赤に染まり、目元には涙が溜まっている。
いくらなんでも可哀そうではないかと思ったが、差し伸べようとした手を、オリヴァーが阻んだ。
見上げると、彼は小さく頭を振る。
オリヴァーがアリサを良く思わないのはわかるが、ここで手を貸さないことに、ミレーの良心が痛んだ。
だがアリサを追及するイリーの声は続く。
「クローバー家に無事を伝えに行ったミレー嬢のそばに、私がいたことにお気づきにならなかったので?」
「え、あ、あのときの……?」
「……あの時、アリサ夫人とあなたの御父君がこちらのミレー嬢になにを仰ったか、この場で簡潔にお伝えしても良いのですが……」
イリーはちらりとエドワードを見る。
エドワードは目を細め、口元を緩めた。
「楽しそうだから許す。多少は詳細に伝えてもいいぞ」
「ありがとう存じます」
許可を得たイリーが流ちょうに話し出した。
美しい鈴の音のような声で語る姿は、まるで吟遊詩人のようだが、話を聞いていた野次馬の顔が引きつっていく。
「アリサ嬢の手引きで幽閉されていたミレー嬢を保護し、雨が強く降りしきる中、ご実家へミレー嬢をお連れした際、クローバー男爵とそちらのアリサ夫人から酷い罵りを浴びせられておりました。『身を犯される乱暴をされたのか』と怒鳴られ怯えているミレー嬢にアリサ夫人は、『濡れネズミのような哀れな姿で立っているから、乞食かと思った』と楽しそうに笑われておりました。強い恐怖を感じたミレー嬢は咄嗟に『された』と言ってしまい、その返答にアリサ夫人は笑いながら、『よく恥ずかしげもなくぬけぬけと伝えられたわね。この恥知らず。キズモノになっただなんて、私だったら恥ずかしすぎて、自分の首を斬って死んだほうがマシだわ。なんでのうのうと生きているの? 死ねばいいのに、このあばずれ』と指差しておりました」
話が進むにつれ、アリサの顔が青ざめていく。
その視線はオリヴァーのほうを向いていたが、オリヴァーはそれに背を向けてミレーを心配そうに見つめている。
ミレーの中の恐怖がまた蘇らないか心配してくれたのだろうが、もう吹っ切ったことなので、聞いていてもそれはただの『記憶』でしかなかった。
「そして男爵も『アリサの言うとおりだ、このあばずれが。お前なんぞクローバー家の恥さらしだ。死ね、死んでしまえ』。……そう言って傘の突起をミレー嬢の顔へ向けたまま走ってきました。『貴様が自分で死ねないというのなら、父が自ら殺してやる』と叫びながら。そこで私がそれを防ぐと男爵は、『貴様を今日限りで勘当する。もうクローバー家の人間ではない。二度とクローバー家の姓を名乗ることも、クローバー家の敷地に立ち入ることも許さない。どこへでも行って野垂れ死んでしまえ、この出来損ないが』とミレー嬢へ怒鳴りました。そして私とともに敷地から出て行こうとしたミレー嬢の背に向かって、アリサ夫人は『みじめなお義姉さま、さようなら。どこかで元気に死んでください』……と声をかけておりましたなあ。楽しそうに」
間違いないか、と問うような視線に詰められ、アリサの顔は真っ青だった。
フルフルと身体を震わせながら、オリヴァーの服を掴もうとした。
だがそれを彼より早く気づいたミレーが、アリサの手を叩いて阻止した。
それが逆鱗に触れたようで、アリサの顔色がまた真っ赤になった。
「オリヴァー様! この女は先の話のとおり、暴漢に襲われてキズモノになったものです! はやく離れてください、あなた様が穢れてしまいます!」
「キズモノですって……」
「まぁ、ディザクライン家の令嬢ともあろう人が?」
「なんてこと……」
「ですが、クローバー家の男爵令嬢って?」
ひそひそと背後から聞こえる声に振り返ろうとしたが、オリヴァーの両手がミレーの顔をそちらに向けさせまいと支えていた。
アリサの顔が、味方を得たことを喜んだように歪んでいく。
「……私は、ミレー嬢が暴漢にキズモノにされたとは言っておりませんが?」
そんな背後のざわめきをかき消すような声に、凛と鳴る声でイリーが言い返した。
「…………な、何を言っているの? あなたさっき……」
言っていることが理解できない、と震えた口調で問うアリサに、イリーは平然と答える。
「私が、幽閉されていた、とお伝えしたのを、あなたの御父君が勝手に『キズモノにされたのか』と強い口調で問い詰めるから、ミレー嬢は怯えてつい御父君の言葉に合わせてしまっただけです」
「う、嘘よ、そんなの! い、一か月も男たちに幽閉されていて、乱暴されていないわけがないじゃない!!」
怒鳴るアリサの声がキンキンとうるさい。
それはオリヴァーも同じのようで、顔をしかめている。
イリーはそれを聞き、クスクスと笑った。
エドワードも同じように笑っているようだ。
「? な、なにがおかしいのです?」
アリサは解せないと言った顔をしていた。多分ミレーも同じ顔をしていると思う。状況がわからない。
「いや、実は私はこのイリーから事前に情報を受けているから、事情は知っているんだ」
エドワードはそう言うが、その先を話そうとしない。
それは、すぐにオリヴァーが説明をしたことで、彼に話すのを譲ったのだとわかった。
「それは大変な誤解ですね、バークスファー伯爵夫人」
オリヴァーがアリサに背を向けたまま、彼女へ話しかけた。
オリヴァーの背後で立ち尽くすアリサの表情が、明るいものへと変わった。
「そうですわよね! 私の聞き違い……」
「こちらのミレー嬢は、マルクの妹です。妻とか嫁の類いではありません」
相変わらずオリヴァーはアリサの顔を見ようとしない。未だにエドワードを威嚇しながら話しかけている。
(エドワード様に話しているような図にしか見えない……)
そう思いつつ、今はパクパクと何度も口を開閉しながら、何も言葉が出ないといった様子のアリサのほうが気になっていた。
「なに、なにかのお間違いじゃありませんか……? ここにいる女は、ミレー・クローバー。出来損ないの、私の義姉です!」
「おや。あなたの御父君から、ミレー嬢がクローバー家の人間であることを公表するなと、念を押されている場に、貴女もいらっしゃいませんでしたっけ?」
いつの間にか化粧室に、イリーもいた。
(なんでみんな、当たり前のように女性用化粧室に入ってきているんだろう?)
「イリー。来たのか」
「さすがにこれだけ一か所に人が集まっていれば、何かあったのかと様子を見に来ます。……それに、なにやら楽しそうな感じになっておりますので、割り込ませていただきました」
イリーは顔に影を作ったまま、口元に弧を描いた。
「何言って……ッ!」
アリサがイリーに突っかかろうとしたが、イリーの鎧の紋章を見て黙った。
この場で王宮の騎士に逆らえば、不利になるのは逆らった貴族だからだ。
「……あ。そこの、腹黒女に、嘘を吹き込まれたんですね? それとも、胸元広げて、今のように足元をはだけさせながらお願いでもされたんです? その女は『あばずれ』ですから」
嘲笑うようにミレーを見るアリサだが、見下げられるような視線を向けられても、ミレーは呆れるばかりであった。
イリーも同じように呆れながら、一つ息を吐いた。
「今のは、私の騎士道を辱めようとする侮辱として受け止めても、よろしいのですね?」
鋭い視線で睨まれ、アリサは一瞬呆けた顔をする。だがすぐに自分の失言に気づいたように頭を振る。
「え? え、あ、ち、違います! き、騎士様がそこのあばずれごときに魅了されたなどと思いませんわ! そこの女は、それだけはしたなく、ふしだらだと申し上げただけで……」
(どこにフォローが入っていたのかしら?)
「さっきからあばずれって言うけれど、それってアリサ夫人のことよね?」
それまで傍観していた令嬢たちが、ひそひそと隣の人と話し出した。
「そうそう。バークスファー伯爵の下で足を広げて腰をお振りになっているんですってね」
「先ほど伯爵が自慢げに語っていたのを耳にいたしましたわ」
「ディザクライン侯爵令嬢のお召し物を『はしたない』って言っておりましたが、流行が分からないから、あのような派手で品格のないドレスを恥ずかしげもなくパーティーに着てこられるのですね」
ひそひそと話しているつもりだろうが、興奮からか、次第に声が大きくなっていることに、令嬢たちは気づいていないのか、はたまたわざとか……。
アリサの顔が真っ赤に染まり、目元には涙が溜まっている。
いくらなんでも可哀そうではないかと思ったが、差し伸べようとした手を、オリヴァーが阻んだ。
見上げると、彼は小さく頭を振る。
オリヴァーがアリサを良く思わないのはわかるが、ここで手を貸さないことに、ミレーの良心が痛んだ。
だがアリサを追及するイリーの声は続く。
「クローバー家に無事を伝えに行ったミレー嬢のそばに、私がいたことにお気づきにならなかったので?」
「え、あ、あのときの……?」
「……あの時、アリサ夫人とあなたの御父君がこちらのミレー嬢になにを仰ったか、この場で簡潔にお伝えしても良いのですが……」
イリーはちらりとエドワードを見る。
エドワードは目を細め、口元を緩めた。
「楽しそうだから許す。多少は詳細に伝えてもいいぞ」
「ありがとう存じます」
許可を得たイリーが流ちょうに話し出した。
美しい鈴の音のような声で語る姿は、まるで吟遊詩人のようだが、話を聞いていた野次馬の顔が引きつっていく。
「アリサ嬢の手引きで幽閉されていたミレー嬢を保護し、雨が強く降りしきる中、ご実家へミレー嬢をお連れした際、クローバー男爵とそちらのアリサ夫人から酷い罵りを浴びせられておりました。『身を犯される乱暴をされたのか』と怒鳴られ怯えているミレー嬢にアリサ夫人は、『濡れネズミのような哀れな姿で立っているから、乞食かと思った』と楽しそうに笑われておりました。強い恐怖を感じたミレー嬢は咄嗟に『された』と言ってしまい、その返答にアリサ夫人は笑いながら、『よく恥ずかしげもなくぬけぬけと伝えられたわね。この恥知らず。キズモノになっただなんて、私だったら恥ずかしすぎて、自分の首を斬って死んだほうがマシだわ。なんでのうのうと生きているの? 死ねばいいのに、このあばずれ』と指差しておりました」
話が進むにつれ、アリサの顔が青ざめていく。
その視線はオリヴァーのほうを向いていたが、オリヴァーはそれに背を向けてミレーを心配そうに見つめている。
ミレーの中の恐怖がまた蘇らないか心配してくれたのだろうが、もう吹っ切ったことなので、聞いていてもそれはただの『記憶』でしかなかった。
「そして男爵も『アリサの言うとおりだ、このあばずれが。お前なんぞクローバー家の恥さらしだ。死ね、死んでしまえ』。……そう言って傘の突起をミレー嬢の顔へ向けたまま走ってきました。『貴様が自分で死ねないというのなら、父が自ら殺してやる』と叫びながら。そこで私がそれを防ぐと男爵は、『貴様を今日限りで勘当する。もうクローバー家の人間ではない。二度とクローバー家の姓を名乗ることも、クローバー家の敷地に立ち入ることも許さない。どこへでも行って野垂れ死んでしまえ、この出来損ないが』とミレー嬢へ怒鳴りました。そして私とともに敷地から出て行こうとしたミレー嬢の背に向かって、アリサ夫人は『みじめなお義姉さま、さようなら。どこかで元気に死んでください』……と声をかけておりましたなあ。楽しそうに」
間違いないか、と問うような視線に詰められ、アリサの顔は真っ青だった。
フルフルと身体を震わせながら、オリヴァーの服を掴もうとした。
だがそれを彼より早く気づいたミレーが、アリサの手を叩いて阻止した。
それが逆鱗に触れたようで、アリサの顔色がまた真っ赤になった。
「オリヴァー様! この女は先の話のとおり、暴漢に襲われてキズモノになったものです! はやく離れてください、あなた様が穢れてしまいます!」
「キズモノですって……」
「まぁ、ディザクライン家の令嬢ともあろう人が?」
「なんてこと……」
「ですが、クローバー家の男爵令嬢って?」
ひそひそと背後から聞こえる声に振り返ろうとしたが、オリヴァーの両手がミレーの顔をそちらに向けさせまいと支えていた。
アリサの顔が、味方を得たことを喜んだように歪んでいく。
「……私は、ミレー嬢が暴漢にキズモノにされたとは言っておりませんが?」
そんな背後のざわめきをかき消すような声に、凛と鳴る声でイリーが言い返した。
「…………な、何を言っているの? あなたさっき……」
言っていることが理解できない、と震えた口調で問うアリサに、イリーは平然と答える。
「私が、幽閉されていた、とお伝えしたのを、あなたの御父君が勝手に『キズモノにされたのか』と強い口調で問い詰めるから、ミレー嬢は怯えてつい御父君の言葉に合わせてしまっただけです」
「う、嘘よ、そんなの! い、一か月も男たちに幽閉されていて、乱暴されていないわけがないじゃない!!」
怒鳴るアリサの声がキンキンとうるさい。
それはオリヴァーも同じのようで、顔をしかめている。
イリーはそれを聞き、クスクスと笑った。
エドワードも同じように笑っているようだ。
「? な、なにがおかしいのです?」
アリサは解せないと言った顔をしていた。多分ミレーも同じ顔をしていると思う。状況がわからない。
「いや、実は私はこのイリーから事前に情報を受けているから、事情は知っているんだ」
エドワードはそう言うが、その先を話そうとしない。
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