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マルクは、笑いを堪えるのに苦労していた。
休むための部屋を用意してもらったが、ミレーの話を聞くためにもう少し起きていることにした。
すぐに休めるように軽装に着替えて、食堂で温かい紅茶を飲みながら彼女の話を聞いている。
話を聞きながら、マルクはたまらず噴き出しそうになるのを、何度堪えたか分からない。
要約すると、「エドワードがオリヴァーと恋仲になろうとしている」というコトらしい。
話の途中で何度かむせたが、風邪のせいだと誤魔化した。
「……ボクたち3人は、10年くらい友だち付き合いをしているけど、そんな感じじゃなかったよ? ていうか、ボクはもちろん、あの2人は男だよ?」
「男同士でも恋愛することはあるらしいの! 初めて参加した王城のパーティーで、友だちになった子たちに勧められた本に書いてあったもの! 男の人同士でも……男女の睦言のようなことをするって!」
「睦言……」
ミレーの言葉から聞きたくなかった単語だ。いつの間にそのような言葉を覚えたのだろうと呆れたが、ミレーは構わずに話を続ける。
「初めてエドワード様に謁見した時のことを覚えている? あの時の私に対する嫌な態度は、私がオリヴァーを……エドワード様が恋心を向けるオリヴァーを、私が奪ってしまったからなんだわ! 敵と認識された! ライバルって思われていると思うわ!」
「そういう感じで嫌な態度を取ったんじゃないと思うよ……」
「じゃあどんな意味があって、私を敵視していたと思うの?」
「ミレーを敵視とかじゃなくて、エディ……エドワード様がオリヴァーに嫌がらせをしているだけだよ」
「どうして嫌がらせを……? エドワード様以外に恋愛感情を向けたことを怒って……?」
「なんでもそっちのほうへ話を持っていこうとしないの。……その、パーティーで友だちになったっていう令嬢たちに勧められた本がどういうものか、まぁなんとなく想像はつくけれど、ミレーはそれを鵜呑みにしたの? まさかとは思うけど、ボクとオリヴァーが恋仲にあるとか思ってないよね?」
「オリヴァーとマルクが恋仲だとは思っていないわ。二人はそういう感じじゃないもの」
あっけらかんと言い放つミレーに、マルクはホッと胸を撫でおろした。
「でも……エドワード様がオリヴァーに向ける目線は、熱い恋慕の感情を含んでいたわ。ふ、二人きりにしたら、オリヴァーがなにをされてしまうか分かったもんじゃないわ! あ、あぁ、どうしよう……マルク、どうしよう!」
「どうしようって……」
「私がいたら、エドワード様がオリヴァーに近づこうとするのを防ぐことが出来たのに……。今まではマルクがいたから、マルクがいるならば妙なことは起こさないだろうと思っていたけれど、とうとう二人きりにしてしまったわ!」
「……あ、もしかしてミレーが『自分を連れていけ』って言っていたのは、エディとオリヴァーの物理的な距離を作ろうと?」
うっかりエディ呼びをしてしまったが、ミレーが気づいた様子はない。一人でパニックを起こし続けている。
「さっきだって、せめて私が見ていると言付けを伝えれば、エドワード様だって後ろめたさを感じて、オリヴァーに手出しできないかもしれないって思ったのに……オリヴァーは、オリヴァーは……」
大粒の涙をボロボロとあふれ出させているミレーに、マルクは言葉を返すコトが出来ない。
このわけのわからない話に、口を開けば大笑いしてしまいそうな自信があるからだ。
だがこの状況で大笑いすれば、一人真剣なミレーの心が深く傷つくから、それを避けるためには、黙るしかなかった。
そばにいたカミラが、持っていたハンカチでミレーの目元を拭った。
ミレーはカミラに礼を伝えると、気持ちを落ち着かせるように、温かい紅茶を一口飲んだ。
「……ごめんなさい、取り乱して」
「い、いや……落ち着いたのなら、いいよ」
マルクも、ミレーが落ち着いた様子を見てようやく笑いが落ち着いてきた。
喉が痛いので紅茶で潤そうとカップに口をつける。紅茶は少しぬるくなっていて、どれだけ話に熱中していたのか、と少し呆れてしまった。
「でもどうしよう。オリヴァーがエドワード様に手籠めにされてしまったら……」
さすがに吹き出さずにはいられなかった。
おまけに紅茶が変な気管に入ったらしく、ゴホゴホと強く咽る。
今すぐお腹を抱えて笑い出したいのを、懸命に堪える。
そもそも気管に入った異物を出すことに身体が反応しているため、笑う余裕がなかったのは、不幸中の幸いだった。
「マルク、マルク大丈夫?! 風邪が悪化したのかも。私が長々と話してしまったから……! すぐにベッドへ連れて行って休ませてあげて!」
違う、大丈夫、と伝えたかったが、気管に入った異物を吐き出そうと身体が必死で、喋ることが出来ずにいた。
すぐにベッドに運ばれたが、その頃にはなんとか落ち着いていた。
「ごめんね、迷惑かけて……」
「私こそ、ごめんなさい。マルクの体調が悪いのに、私のこんな話を長々とし続けて」
「……それだけど。そのコト、今日オリヴァーが帰ってきたら相談したほうがいいよ?」
「……でも、オリヴァーが嫌な気持ちになると思うわ。彼はあまり、恋愛感情を向けられることをよく思わない人でしょう?」
「そんなことは……。えっと、ミレーからの感情は、受け入れているよね?」
そんなことはない、と否定しようとしたが、ミレー以外からの恋愛感情を快く思っていない幼馴染の姿を思い出し、やんわりぼかした。
「でも、エドワード様とあなたたち二人は仲が良いでしょう? もしも私がこのことを伝えて、エドワード様との友情にヒビが入ってしまったら? 今まで友人だと思っていた人に、実は恋情を向けられていたとオリヴァーが知ったら、3人の友情が壊れてしまうかもしれないわ……!」
「ボクたちの友情はそんなことじゃ壊れないから、安心して。……それより、ミレーとオリヴァーの関係を心配したほうがいい」
「え?」
「……ミレーがエドワードに心惹かれているんじゃないかって、オリヴァーは悩んでいるんだ」
「え? 私がエドワード様に、心惹かれる? なんで?」
ミレーはぽかんと抜けた表情をして疑問符を浮かべた。本気で気づいていなかった様子だ。
「エドワードの呼び出しに、毎回自分も連れていけって言うのが、エドワードに逢いたいからなんだって思っていたんだよ。……それで、さっきのがトドメだ」
「さっきの? 私がエドワード様にけん制する言葉を伝えてほしいっていう?」
「それ、普通に『エドワードに愛を伝えてくれ』って聞こえたから」
「え!? そんな、私、全然そんなつもりないわ!」
「でも、勘違いしているよ。だから、さっきオリヴァーはあんなに怒っていたんだ」
そう告げられたミレーは、顔を真っ白に染めて固まっていた。
「だから、誤解させたままにしたらダメだ。あいつが帰ってきたら、ちゃんと説明をしないと」
ミレーは、泣きそうに顔をゆがませて、身体を震わせた。
「オリヴァー、話聞いてくれるかしら……?」
「うん。大丈夫だ。ちゃんと話せば、あいつも分かってくれるさ」
「……うん。ありがとう、マルク」
ベッドに横たわっていなければ、すぐにミレーの頭を撫でてやれただろう。
それが出来ないのが歯がゆいが、かわりに精一杯微笑んであげると、ミレーはようやく安堵した様子を見せた。
その後ミレーが静かに退出し、静かになった部屋でマルクは目を閉じて思う。
(オリヴァーとエディも大変だなぁ)
自分が妙な想像の渦中にいなかったことが、幸いだと思った。
休むための部屋を用意してもらったが、ミレーの話を聞くためにもう少し起きていることにした。
すぐに休めるように軽装に着替えて、食堂で温かい紅茶を飲みながら彼女の話を聞いている。
話を聞きながら、マルクはたまらず噴き出しそうになるのを、何度堪えたか分からない。
要約すると、「エドワードがオリヴァーと恋仲になろうとしている」というコトらしい。
話の途中で何度かむせたが、風邪のせいだと誤魔化した。
「……ボクたち3人は、10年くらい友だち付き合いをしているけど、そんな感じじゃなかったよ? ていうか、ボクはもちろん、あの2人は男だよ?」
「男同士でも恋愛することはあるらしいの! 初めて参加した王城のパーティーで、友だちになった子たちに勧められた本に書いてあったもの! 男の人同士でも……男女の睦言のようなことをするって!」
「睦言……」
ミレーの言葉から聞きたくなかった単語だ。いつの間にそのような言葉を覚えたのだろうと呆れたが、ミレーは構わずに話を続ける。
「初めてエドワード様に謁見した時のことを覚えている? あの時の私に対する嫌な態度は、私がオリヴァーを……エドワード様が恋心を向けるオリヴァーを、私が奪ってしまったからなんだわ! 敵と認識された! ライバルって思われていると思うわ!」
「そういう感じで嫌な態度を取ったんじゃないと思うよ……」
「じゃあどんな意味があって、私を敵視していたと思うの?」
「ミレーを敵視とかじゃなくて、エディ……エドワード様がオリヴァーに嫌がらせをしているだけだよ」
「どうして嫌がらせを……? エドワード様以外に恋愛感情を向けたことを怒って……?」
「なんでもそっちのほうへ話を持っていこうとしないの。……その、パーティーで友だちになったっていう令嬢たちに勧められた本がどういうものか、まぁなんとなく想像はつくけれど、ミレーはそれを鵜呑みにしたの? まさかとは思うけど、ボクとオリヴァーが恋仲にあるとか思ってないよね?」
「オリヴァーとマルクが恋仲だとは思っていないわ。二人はそういう感じじゃないもの」
あっけらかんと言い放つミレーに、マルクはホッと胸を撫でおろした。
「でも……エドワード様がオリヴァーに向ける目線は、熱い恋慕の感情を含んでいたわ。ふ、二人きりにしたら、オリヴァーがなにをされてしまうか分かったもんじゃないわ! あ、あぁ、どうしよう……マルク、どうしよう!」
「どうしようって……」
「私がいたら、エドワード様がオリヴァーに近づこうとするのを防ぐことが出来たのに……。今まではマルクがいたから、マルクがいるならば妙なことは起こさないだろうと思っていたけれど、とうとう二人きりにしてしまったわ!」
「……あ、もしかしてミレーが『自分を連れていけ』って言っていたのは、エディとオリヴァーの物理的な距離を作ろうと?」
うっかりエディ呼びをしてしまったが、ミレーが気づいた様子はない。一人でパニックを起こし続けている。
「さっきだって、せめて私が見ていると言付けを伝えれば、エドワード様だって後ろめたさを感じて、オリヴァーに手出しできないかもしれないって思ったのに……オリヴァーは、オリヴァーは……」
大粒の涙をボロボロとあふれ出させているミレーに、マルクは言葉を返すコトが出来ない。
このわけのわからない話に、口を開けば大笑いしてしまいそうな自信があるからだ。
だがこの状況で大笑いすれば、一人真剣なミレーの心が深く傷つくから、それを避けるためには、黙るしかなかった。
そばにいたカミラが、持っていたハンカチでミレーの目元を拭った。
ミレーはカミラに礼を伝えると、気持ちを落ち着かせるように、温かい紅茶を一口飲んだ。
「……ごめんなさい、取り乱して」
「い、いや……落ち着いたのなら、いいよ」
マルクも、ミレーが落ち着いた様子を見てようやく笑いが落ち着いてきた。
喉が痛いので紅茶で潤そうとカップに口をつける。紅茶は少しぬるくなっていて、どれだけ話に熱中していたのか、と少し呆れてしまった。
「でもどうしよう。オリヴァーがエドワード様に手籠めにされてしまったら……」
さすがに吹き出さずにはいられなかった。
おまけに紅茶が変な気管に入ったらしく、ゴホゴホと強く咽る。
今すぐお腹を抱えて笑い出したいのを、懸命に堪える。
そもそも気管に入った異物を出すことに身体が反応しているため、笑う余裕がなかったのは、不幸中の幸いだった。
「マルク、マルク大丈夫?! 風邪が悪化したのかも。私が長々と話してしまったから……! すぐにベッドへ連れて行って休ませてあげて!」
違う、大丈夫、と伝えたかったが、気管に入った異物を吐き出そうと身体が必死で、喋ることが出来ずにいた。
すぐにベッドに運ばれたが、その頃にはなんとか落ち着いていた。
「ごめんね、迷惑かけて……」
「私こそ、ごめんなさい。マルクの体調が悪いのに、私のこんな話を長々とし続けて」
「……それだけど。そのコト、今日オリヴァーが帰ってきたら相談したほうがいいよ?」
「……でも、オリヴァーが嫌な気持ちになると思うわ。彼はあまり、恋愛感情を向けられることをよく思わない人でしょう?」
「そんなことは……。えっと、ミレーからの感情は、受け入れているよね?」
そんなことはない、と否定しようとしたが、ミレー以外からの恋愛感情を快く思っていない幼馴染の姿を思い出し、やんわりぼかした。
「でも、エドワード様とあなたたち二人は仲が良いでしょう? もしも私がこのことを伝えて、エドワード様との友情にヒビが入ってしまったら? 今まで友人だと思っていた人に、実は恋情を向けられていたとオリヴァーが知ったら、3人の友情が壊れてしまうかもしれないわ……!」
「ボクたちの友情はそんなことじゃ壊れないから、安心して。……それより、ミレーとオリヴァーの関係を心配したほうがいい」
「え?」
「……ミレーがエドワードに心惹かれているんじゃないかって、オリヴァーは悩んでいるんだ」
「え? 私がエドワード様に、心惹かれる? なんで?」
ミレーはぽかんと抜けた表情をして疑問符を浮かべた。本気で気づいていなかった様子だ。
「エドワードの呼び出しに、毎回自分も連れていけって言うのが、エドワードに逢いたいからなんだって思っていたんだよ。……それで、さっきのがトドメだ」
「さっきの? 私がエドワード様にけん制する言葉を伝えてほしいっていう?」
「それ、普通に『エドワードに愛を伝えてくれ』って聞こえたから」
「え!? そんな、私、全然そんなつもりないわ!」
「でも、勘違いしているよ。だから、さっきオリヴァーはあんなに怒っていたんだ」
そう告げられたミレーは、顔を真っ白に染めて固まっていた。
「だから、誤解させたままにしたらダメだ。あいつが帰ってきたら、ちゃんと説明をしないと」
ミレーは、泣きそうに顔をゆがませて、身体を震わせた。
「オリヴァー、話聞いてくれるかしら……?」
「うん。大丈夫だ。ちゃんと話せば、あいつも分かってくれるさ」
「……うん。ありがとう、マルク」
ベッドに横たわっていなければ、すぐにミレーの頭を撫でてやれただろう。
それが出来ないのが歯がゆいが、かわりに精一杯微笑んであげると、ミレーはようやく安堵した様子を見せた。
その後ミレーが静かに退出し、静かになった部屋でマルクは目を閉じて思う。
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