聖女様が職務放棄をするので、魔物討伐に駆り出された魔女なのですが…

あかとんぼ

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第2章

17話

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テグの街は夕暮れ時もあって買い物する人や食事を楽しむ人で賑わっていた。

ミネアはフードを深々被りアランの後ろをついて行く。

「あの、何処に行くんですか?」

散歩。と言いつつアランの足取りは何か目的がある様に感じたった。

「あぁ、ちょっとこの先に用があってな。」

ここだ。と言って止まったのは魔法石の装飾品店だった。
装飾品店と言ってもアクセサリー類だけではなく日常生活に必要な魔法石も売っていた。

「失礼する。この店の店主は御在宅か?」

店に入るなりアランは店員へ尋ねるとそのままどうぞ、と店の奥へと案内される。
ミネアはお店の魔法石でも見て待ってようとした。

「何してんだ?行くぞ?」

「私も行くんですか?いいですよ、ここで魔法石見てますんで…」

「いや、ミネアも着いて来い。」

「はい…」

あーぁ、本当はどんな魔法石が置いてあるのかもっと見たかったんですけどね…


薄暗い廊下を抜けて奥へ行くと突き当たりに一つ部屋があり、中から明かりが漏れていた。

コンコン、旦那様お客様がお見えです。

そう言って扉を開くと中には中年くらいの男の人が石を並べて待っていた。

「よくいらっしゃいました。さぁ、こちらへどうぞ。ご準備は出来ております。」

ミネア達は店主の前に促され石を挟んで向き合う形で座った。
目の前には握り拳くらいの大小様々な石の塊が置かれていた。

「これは…?」

「あぁ、これか、これはラキア。魔法石の一種だ。」

!?

えっ、ラキアですと?
確かラキアって数ある魔法石の中でも中々のレア鉱石ですっごく貴重な物ですよね?一般的に市場には出回らないし、お値段もそれはそれはする物だと聞いたことがありますが…
何故ここにこんなに沢山…


「ミネアから見てこの鉱石どう思う?」

??

いきなりの問いかけにハテナが飛んだが言われた通りに鉱石をよく見てみた。
違いは大きさだけで変わらなそうだが…

あれ?

よく見ると石の周りに黒いもやの様なものがある石がある。

「えっと、左端と右から二つ目は微かにですがモヤみたいなのが周りにありますね…」

「ほぉう、やっぱり連れて来て正解だったな。御店主今言った二つ以外を貰おうか。」

かしこまりました。と店主は頭を下げラキアを包む準備を始めた。

「あの、よかったんですか?あの二つは買わなくて?」

「ああ、アレはいいんだ。ラキアの様なレア鉱石であっても当たりハズレがあってな、ハズレは見た目は同じでも殆ど魔力を込めれないんだ。ミネアは呪術系得意だし何か感じるかもと思ったんだが、連れてきて大正解だったな!」

嬉しそうに言うアランに何故だが自分が褒められてる気がしてそわそわ落ち着かない。

それにしても、レア鉱石のラキアなんて何に使うのだろう?

石をじーっと目つめていたミネアに気付きアランは何を考えてるのか察したらしい。


「何に使うか気になるのか?これは討伐の時に他の魔法を込めて装飾品にして身につけようと思ってな。
実は…似たような物は既にあるんだ。他の魔法を込めた魔法石を剣にはめて使うタイプの物で実際に活用してるんだが、以前の戦いで身につけてないといざと言う時になくて困ると言う事態が起こりかねないからな、、、
まぁ、あれだ。取り敢えずは剣にはめなくても使える何かを作れればいいと思ってる所だ。」

「そうなんですね。ん?って事はお会いした時はその魔法石は何処かに行っちゃってたって事ですか?」

「あぁ、我々の不注意なんだがサラマンダーにあらかたの荷物は投げ飛ばされて崖下に落ちてったからな。魔法石があればサラマンダーなんかに苦戦する事もなかったんだがな。

まぁ、お陰で今後の問題点も見えたし、何よりミネアに会えたからな悪いことだけでは無かったな。」

「なっ、なんですか急に!!」

思いがけない言葉に顔が熱くなるのを感じる。どうせいつもの嫌がらせだろうとチラッとアランを見ると優しそうな笑顔でこちらを見ていた。

なっっ、余計に恥ずかしい!!
居た堪れなくてミネアはそのまま俯きしばらく顔をあげれなかったが、直ぐに店主が品物の用意が出来たと呼びに来たので、ミネアはアランの後ろを着いて部屋を出た。


「支払いを済ませてくるから少し待っててくれるか?」

「はい。じゃあお店を適当に見てますね。」

ミネアは見損ねた魔法石を見ようと店内を歩き始めるとお店の一角にあるアクセサリーに目が止まった。

わぁー、これ綺麗。
見つけたのはシンプルなしずく型のフレームの中に透明な魔法石がはめ込まれている物だった。

透明ってことは、まだ魔法石に魔力が入っていないってことよね?私の魔力いれたら…やっぱり黒くなっちゃうのかな…うん、可愛くないわね。

「ん?何見てんだ?何かいいのあったのか?」

支払いを済ませたアランがミネアの後ろからヒョイっと顔を出した。

「あ、いや、これいいかなぁーって思ったんですけど、私の魔力入れたら真っ黒になっちゃうだろうし、せっかくのアクセサリーが台無しになっちゃうなぁーって…思って、、ってまぁそんな感じですし用事が終わったなら行きましょうか?」

「、、、あぁ。」


何故か煮え切らない返事をするアランの横を通り過ぎてミネアはお店の外へと出て行った。

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