19 / 34
第2章
18話
しおりを挟むお店を出ると外は既に暗く街灯には灯りが灯っていた。
「どうする?食事でもしてから帰るか?」
「そうですね…あれ?でも宿で食事でるんじょないですか?」
「一応付いてるが、まぁ食べなくても問題はない。」
問題はないと言われミネアは少し考える。
お腹は空いてるがこの賑わいの中で食事ができるかが不安だった。
また人に当たってフードが取れたりしたらどうしよう…アランにも迷惑をかけてしまう事になる。よし、ここは断って宿でゆっくり食べよう!!
「あのっ….」
ドサッ
キャーーー!!
「えっ?何?!」
声のした方を振り向くと既に人だかりが出来ており、その中心には男性を心配そうに抱く女性の姿があった。
「誰か、この人を助けて下さい!お医者さんを呼んでください!」
男の人を抱き抱え悲痛な叫び声が聞こえる。
「どうしたんでしょうか?」
「行ってみるか?」
はい。と頷きいつもなら自ら近づこうとはしないが、なぜかとても気になりミネアは人だかりから覗くように中心の男性を見た。
あれ?これって…
「あっ、おい!待てっ!」
アランの声は既に耳に届いていなかった。
ミネアは男性の隣にしゃがみ込む。
「やっぱり、この人…」
「あの、お医者様でしょうか?!この人いきなり胸を押さえて苦しんで…それでそれで…あの!!どうか助けて下さい!!私たちまだ結婚したばかりなんです…なのにこんなのあんまりよ…」
男性を抱き抱えたまま女性は涙を流した。
どうしよう、、
私は医者ではない。病は治すことは出来ない。が、この人を治すことは出来る。
そう、この男性は呪に犯せれているのだ。
黒い影が蛇のように体に巻きつき、胸の辺りをに頭を噛みつかせている。
これは…余り時間が経つと手遅れになる…
ミネアはチラッとアランを見るとコクンと頷き決意した。
「あの、、私は医者ではありません。ですが、この人を治すことは出来ます!!
時間がありませんのでここで対処させて貰います。」
少し離れて下さい、と女性に伝えて男性を地面の上に寝かせる。
苦しそうに歪んだ顔をして地面へと寝そべる男性に向けミネアは呪文を放った。
「彼の者を包みし闇よ。邪悪の根を消しさり、あるべき姿へ戻れ。」
ミネアが手をかざし呪文を唱えると男性の体を黒い光が覆い尽くした。
その光景に見ていた街の人達がざわつくのがわかる。
でも、ミネアは集中を切らさない様にしていた。呪を消す為には取り巻いている影を全て消し去る必要がある。もし、集中を切らして解呪魔法が霧散してしまえば完全に呪を消すことが出来なくなってしまう。
ミネアは頭の中で影を消すイメージを作りそれを魔力に載せ解呪していく。
暫くすると黒い光がパンっと弾けた。
「ふぅ、終わりました。これでもう大丈夫ですよ。」
男性を見るとさっきまで苦しそうにしていた顔は穏やかになりゆっくりと目を開けた。
「あなた!!大丈夫なの?!良かったぁ!!この方が助けてくれたのよ。本当なんて言ったらいいのか…」
女性は感謝で目を潤ませていたが、周りの人達はそうでは無かった。
「あっの、ではこれで、、」
「待って!!お礼だけでも!!」
「!!!」
咄嗟に手を引かれ後ろへ尻餅をついた拍子にフードが外れてしまった。
あぁ、、、またこのパターン…
「まぁ、なんて不気味なのかしら…」
「見ろよあの髪。不吉だろ。さっきの魔法も見たことねーし、気味悪いな!」
「さっさと街から出てって欲しいわね…」
「あぁ、街から出てけ!!」
「この化け物!!」
ヒュンー
「いたっ、なっ何?」
ミネアは痛みの走った頬に触れてみると手には微かに血がついていた。
何が起こったのかと辺りを見るとそこには一片が少し鋭利になっている小石が落ちていた。
あぁ、これが当たったのね…
ここに居てはまずいわね、早く行かないと…
ミネアはフードをかぶり直し立ち上がろうとした。
あっあれ、、?
思うように足に力が入らず立ち上がることが出来ない。よく見ると全身が小刻みに震えていた。
こう言う事もあるかもと決意して助けに出たものの、いざ目の当たりにするとどうやら駄目だったらしい。
どうしよう…
「おい、しっかりしろ!!大丈夫だ。ミネアお前は何も悪いことはしてない。寧ろ人を助けたんだ!立派だと胸を張れ!!」
アランはミネアの手を取りグイッと体を起こすとそのままギュッと抱き寄せた。
「もう大丈夫だ。悪い助けに入るのが遅くなった…」
「い、え、、」
不思議、さっきまでの震えがなくなってる…
「落ち着いたか?なら、ここに長居は要らないな。さぁ、帰るぞ。」
「あっ、あの!もし良かったら家に来ませんか!助けて貰ったお礼もしたいし…」
「えっ、ダメでっ」
「あぁ、助かる。その言葉に甘えよう。」
アランは躊躇するミネアの手を引き、周囲の目も気にせず案内してくれる夫婦について行った。
「あの!!気持ちは嬉しいんですが、、私なんかと一緒にいたら貴方達まで嫌な目で見られてしまいます!!だからっ」
「いいえ、私はどうしてもあなたにお礼がしたいの!!周りの人なんて関係ないわ!だって最愛の人を助けてくれたんだもの。」
そんな風に言われたのは初めてだった。
「なっ、胸を張れっていったろ?」
アランが優しく微笑む。
どうしてだろう…
今日のアランはいつもと違う気がする。いや、気のせいかしら?
でもどうしてだろう。隣にいるとホッとするような気持ちになるのは…
うーん、うん、気のせいね。
ミネアは無理やり納得することにし、案内してくれる夫婦の後をついて行った。
0
あなたにおすすめの小説
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる