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仮
プロローグ
あの人(従業員)に言いたい。
一言だけ言いたい。
「ちゃんと人の話を聞いているのかぁぁぁ?」
「聞いていて忘れているのかぁ?ーーどっちなんだぁぁぁぁ?!」
※
私、火野ゆり子45歳。そして清水武彦62歳。
二人はカラオケに向かった。
居酒屋で飲むだけ飲んで、カラオケにいくーーこれは、二人にとって、いつもの流れだった。
会員制のカラオケボックスであるため、会員証を見せなければならない。
二人はお酒を飲む。
武彦が会員証を見せている間に、ワンドリンクをオーダーする。
「グラスワイン二つ」
「かしこまりました」
たしかに従業員の彼はそう言った。
彼は背が高く不慣れな様子を感じさせる。
「お客様、グラスが一つ25円かかりますが、よろしいですか?」
――頭の中に疑問符が浮かぶ。
「グラスワイン二つね?」
念を押すようにして、私は再度、注文を繰り返す。
「――かしこまりました」
※カラオケボックスの室内
「もしかしたら、グラスワインでもグラス代がかかるようになったのかもね?」
武彦と二人でそんな事を話していると、武彦が言う。
「でも、たけーな。グラスだけで25円はーー」
それもそうだろう。
店の常連であり、株主でもある武彦はさらに言葉をつないだ。
「今度は紙コップをもってくるようにするよ!」
「その方が安く飲めていいね!」
私もそれに同意を示した。
しばらくして、先ほどの背の高い従業員がノックをして、室内に入ってくる。
※
コンコンコン、失礼します。
先ほどの背の高い受付にいた従業員だ。
手には丸いお盆と、空の冷えたグラスが二つーー。
思わず武彦と目を見合わせる。
「えっと、グラスワインの赤を二つ、入れて欲しかったんだけど……」
ーー先ほどの会話の流れのおかしさの意味が、やっとわかった。
「――注文する事になりますが、よろしいでしょうか?」
背の高い従業員が聞いてくる。
「はい」
初めから注文しているのだ。
それなのに、この下りはいるのだろうか?
入室して10分程度の時間が過ぎたとき、二人のもとに、ようやくグラスに注がれたワインが届いた。
単なる間違えか?
それとも話を聞いていなかったのか?
真意は彼にしかわからないが、こんなギャグのような体験をさせてくれた事に感謝する。
※
従業員が集まるスタッフルームの中では、武彦が冗談ばかり言っているのを知っていた。
ーーグラスワイン二つ。
注文した声がスタッフルームにまで響いていた。
「じゃ、今日はジャンケンで負けた方が、3番の部屋に、あえて空のグラスを届けるでどうだ?」
先輩がそう言った。
先輩(中村礼司)はひょろりとした体型で、筋肉質。
なのに、勤め先であるカラオケボックスでは、後輩といつも今回のようなイタズラをして遊んでいる。
「いいっすね?!面白いじゃないですか?」
俺(藤原真人)もそれに賛同した。
ーー最初はグー、ジャンケンポン。
「よし、勝った!お前行ってこいよ!」
中村せんぱいが言う。
「わかりましたよ!行きますけど、怒られたら、お願いしますよ!?」
「わかってるよ!後は任せな!」
こうして私たち二人のもとに、空のグラスだけがが、届く事になるのだった。
それにしても、こんな事を毎回やってるんだろうか?
毎日が飽きないだろうな。
おわり。
プロローグ
あの人(従業員)に言いたい。
一言だけ言いたい。
「ちゃんと人の話を聞いているのかぁぁぁ?」
「聞いていて忘れているのかぁ?ーーどっちなんだぁぁぁぁ?!」
※
私、火野ゆり子45歳。そして清水武彦62歳。
二人はカラオケに向かった。
居酒屋で飲むだけ飲んで、カラオケにいくーーこれは、二人にとって、いつもの流れだった。
会員制のカラオケボックスであるため、会員証を見せなければならない。
二人はお酒を飲む。
武彦が会員証を見せている間に、ワンドリンクをオーダーする。
「グラスワイン二つ」
「かしこまりました」
たしかに従業員の彼はそう言った。
彼は背が高く不慣れな様子を感じさせる。
「お客様、グラスが一つ25円かかりますが、よろしいですか?」
――頭の中に疑問符が浮かぶ。
「グラスワイン二つね?」
念を押すようにして、私は再度、注文を繰り返す。
「――かしこまりました」
※カラオケボックスの室内
「もしかしたら、グラスワインでもグラス代がかかるようになったのかもね?」
武彦と二人でそんな事を話していると、武彦が言う。
「でも、たけーな。グラスだけで25円はーー」
それもそうだろう。
店の常連であり、株主でもある武彦はさらに言葉をつないだ。
「今度は紙コップをもってくるようにするよ!」
「その方が安く飲めていいね!」
私もそれに同意を示した。
しばらくして、先ほどの背の高い従業員がノックをして、室内に入ってくる。
※
コンコンコン、失礼します。
先ほどの背の高い受付にいた従業員だ。
手には丸いお盆と、空の冷えたグラスが二つーー。
思わず武彦と目を見合わせる。
「えっと、グラスワインの赤を二つ、入れて欲しかったんだけど……」
ーー先ほどの会話の流れのおかしさの意味が、やっとわかった。
「――注文する事になりますが、よろしいでしょうか?」
背の高い従業員が聞いてくる。
「はい」
初めから注文しているのだ。
それなのに、この下りはいるのだろうか?
入室して10分程度の時間が過ぎたとき、二人のもとに、ようやくグラスに注がれたワインが届いた。
単なる間違えか?
それとも話を聞いていなかったのか?
真意は彼にしかわからないが、こんなギャグのような体験をさせてくれた事に感謝する。
※
従業員が集まるスタッフルームの中では、武彦が冗談ばかり言っているのを知っていた。
ーーグラスワイン二つ。
注文した声がスタッフルームにまで響いていた。
「じゃ、今日はジャンケンで負けた方が、3番の部屋に、あえて空のグラスを届けるでどうだ?」
先輩がそう言った。
先輩(中村礼司)はひょろりとした体型で、筋肉質。
なのに、勤め先であるカラオケボックスでは、後輩といつも今回のようなイタズラをして遊んでいる。
「いいっすね?!面白いじゃないですか?」
俺(藤原真人)もそれに賛同した。
ーー最初はグー、ジャンケンポン。
「よし、勝った!お前行ってこいよ!」
中村せんぱいが言う。
「わかりましたよ!行きますけど、怒られたら、お願いしますよ!?」
「わかってるよ!後は任せな!」
こうして私たち二人のもとに、空のグラスだけがが、届く事になるのだった。
それにしても、こんな事を毎回やってるんだろうか?
毎日が飽きないだろうな。
おわり。
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