10 / 86
散歩
しおりを挟む
夕方になると、少し風がひんやりと冷たくなってくる。
柴ちゃんの散歩は、私が担当する事になった。
「ーーお散歩いこう」
にこやかに、柴ちゃんに声をかける。
柴ちゃんは私の言葉を理解している様で、声をかけた途端に落ち着かないそぶりを見せる。
いつもの事なのに、そんなにも散歩が嬉しいのだろうか?
「ワンッ」
いつものそれとは比べ物にならない元気な声だ。首輪に紐を通す。
「ーー行ってきまーす」
私は慌てて外に飛び出した。
柴ちゃんに連れ出されたと言っても過言ではないかも知れない。
柴ちゃんの紐を短めにして、あまり離れないように固く握った。
けして手放さないようにーー。
15分前後、柴ちゃんを連れて歩いていると、同じような柴犬を連れた人とすれ違う。
「こんばんは」
軽く挨拶をして、その場を通りすぎようとするが、柴ちゃんは動きを止めてしまった。
その場にゆっくりと腰を下ろし、毛繕いを始めてしまう。
こんな時、強引につれていくのも可哀相だ。
「朝晩は少し冷えますね」
ニッコリと笑った。
しょうがなく私は柴犬の飼い主に話しかけた。この間を持たせるために。
「そうですね」
無愛想な男の人だった。
「柴犬、飼い始めてどれくらいですか?」
私は聞く。
「もう6年くらいですかね?」
「可愛いですよね?」
しばらくの間、男は黙っていた。
重い沈黙、、。
「ーーこんな犬、いないほーがいい」
ぼやくように男は呟いた。
どうやら、彼の飼っている柴犬は「ポチ」というのだそうだ。
よくよく見てみると、彼の飼っている犬は、飼い始めて6年も経っているのに、細いままーーむしろ痩せすぎなんじゃないだろうか?
まだ飼い始めたばかりで、よく分からないのも事実だが。
柴ちゃんの散歩は、私が担当する事になった。
「ーーお散歩いこう」
にこやかに、柴ちゃんに声をかける。
柴ちゃんは私の言葉を理解している様で、声をかけた途端に落ち着かないそぶりを見せる。
いつもの事なのに、そんなにも散歩が嬉しいのだろうか?
「ワンッ」
いつものそれとは比べ物にならない元気な声だ。首輪に紐を通す。
「ーー行ってきまーす」
私は慌てて外に飛び出した。
柴ちゃんに連れ出されたと言っても過言ではないかも知れない。
柴ちゃんの紐を短めにして、あまり離れないように固く握った。
けして手放さないようにーー。
15分前後、柴ちゃんを連れて歩いていると、同じような柴犬を連れた人とすれ違う。
「こんばんは」
軽く挨拶をして、その場を通りすぎようとするが、柴ちゃんは動きを止めてしまった。
その場にゆっくりと腰を下ろし、毛繕いを始めてしまう。
こんな時、強引につれていくのも可哀相だ。
「朝晩は少し冷えますね」
ニッコリと笑った。
しょうがなく私は柴犬の飼い主に話しかけた。この間を持たせるために。
「そうですね」
無愛想な男の人だった。
「柴犬、飼い始めてどれくらいですか?」
私は聞く。
「もう6年くらいですかね?」
「可愛いですよね?」
しばらくの間、男は黙っていた。
重い沈黙、、。
「ーーこんな犬、いないほーがいい」
ぼやくように男は呟いた。
どうやら、彼の飼っている柴犬は「ポチ」というのだそうだ。
よくよく見てみると、彼の飼っている犬は、飼い始めて6年も経っているのに、細いままーーむしろ痩せすぎなんじゃないだろうか?
まだ飼い始めたばかりで、よく分からないのも事実だが。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる