経歴。

みゆたろ

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被害者

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昨日腕にキズを負い、倒れていた男性が眠っている病室へ、刑事は足を運んだ。

「こんにちは!」

引戸を開け、室内に入る。
いわゆる大部屋だ。
同じ病室の中で、4人が生活をするそんな病室だ。
金額的にも、個室よりずいぶん安い金額なんだろう。

刑事、二人は警察手帳をかざした。

「ーー少し、お話出来ますか?」

「いいですよ」

被害者の男はそう答える。

「ーーあなた、お名前は?」

その質問に彼は、寺田修一《てらだしゅういち》と名乗った。

「犯人は知り合いですか?」

「二度ほど会った事があります」

「犯人の名前は??」

「ーーわかりません。顔は知っていますが、名前までは。。」

彼は即座に答えた。
ウソをついているようには、見えなかった。

「では、犯人の特徴はーー?」

ーー特徴か?

「一瞬しか見てないからな。。ハッキリとはーー」

「あなた、先ほど言ったじゃないですか?顔を知っていると。。」

「2回か3回程度、会った事があるくらいなんですよ。それもすれ違う程度。。」

「なるほどね」

ーー期待薄、だな。
刑事は軽くため息をついた。

「特徴って言われると難しいけど、メドゥサの様な髪型で、色は黒と金髪の二種類だったと思う。それと、そんなに背が高くなかったから、身長が150から160くらいだと思う?ーー後は、上下黒い服で、フード付きの黒のパーカーを着てたよ」

ーー一瞬しか会っていないのに、よくそんなに覚えてますね。。

「寺田修一さん、似顔絵の作成にご協力いただけますか?」

「あぁ、いいですけど。。顔はわかりませんよ?」

人の良さそうな顔で、修一は快く頷いた。

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