経歴。

恐怖

ブルッ。

不意に俺の体は、身震いしていた。
長い長い夢だったかのようで、時計のなかったあの国は俺に取って、本物だった気がする。
悪夢のように、俺のした事を繰り返したあの動画は、俺に過去の俺自身を見つめさせた。

それを見続けたせいか。
あの瞬間の映像を見続けたせいだろうか。

手に残る肉の感触。
生臭いような血の匂い。そしてナイフが骨に当たるようなゴツンと言う音。

身体中にあの瞬間が刻み込まれていたからだ。

ーーうわぁぁぁ。俺は何て事を...。
ーー俺は何て事をしちゃったんだぁぁぁぁ。

あの時計も何もない。
モノクロの世界では何も感じる事は出来なかったが、今になって俺は過去の自分自身に恐怖すらも感じる。

「ーー悪い。俺......」

状況が理解出来ないのだろう。
由美は不思議そうな顔をしている。

「ーーなに？」

由美はそう言った。