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居場所
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※居場所
そして、最後の実験の日。
夜を迎えた。
「明日から家に帰れるんだね。。」
ワイワイと子供が今、この瞬間を楽しんでいる。
「久しぶりに、お父さんとお母さんに会えるよ!!でも、動物たちは大丈夫なのかなぁ??」
俊哉が少しだけ不安そうな顔をしている。
「動物たちは、大人たちの幻覚と現実が結び付いているだけなので、明日にはいなくなってますよ!」
タケルが言った。
ーーあぁ、とても長い時間が流れたような気がする。
たかが1週間。。
この1週間いろいろ合ったけど、楽しかったな。。
司はそう思った。
「ーー明日の朝になって、親が忘れてたり、居場所がなかったりしたら、またここに集まる様にしましょう!!」
万が一の事を考えた提案だった。
子供の事を忘れてしまう親なら、いっそ離れた方がいい。。
タケルはそう考えていた。。
「それ、いーね!!」
子供たちはまたココに戻ってきたらいいと言う安心感を得られたからか、笑っている。。
そう。
これでいい!!
子供たちから笑顔が消えたらいけない。。
「お父さんやお母さんに会った時、司くんはまず何を話したいですか?」
タケルが突然聞いてきた。
「そうだなー!やっぱり、ただいま、かな?それで心配かけてごめんなさい!!かな?」
「そうですね。。あの時、手紙すら書いてこなかったですもんね。。書けば良かったですね。。」
今更ながら、と言う顔で、タケルが言った。
「もー終わるじゃん?」
司は笑った。
1週間が過ぎようとした時、子供たちは既に逞しくなっていた。
子供は成長が早い。
※最後の日
大人たち。実験最後まであと1日。
その頃、大人たちのいる場所でも、ウィルスww1512の効果は、薄れ始めて来ていた。
津波や地震からの避難も成功し、アレが本当の事だったとしても、誰一人被害者は出ていない事になる。。
それぞれの実験に大人たちは、二重丸の成果を上げた。。
これならば子供たちを守っていく事が出来るだろう。。
政府はそう判断した。。
そして、朝が来ると同時に、すべての危険回避の為の緊急事態宣言が、総理大臣の手によって、解除された。。
「お騒がせしております。。」
そう言って、総理大臣は軽く頭を下げてから、本題に入った。
「本日、緊急事態宣言を解除します」
その言葉を聞き、マスコミが問いかける。
「ウイルスww1512や動物たちによる危険はもうないと言う事でいいですか?」
「そう思って頂いて大丈夫だと思います」
テレビカメラが、街の様子を写し出しているのを、総理に見せた上で、マスコミの一人が問いただすように聞いた。
「どうして、大丈夫だと言えるんですか?ーーこの街を見てみて下さい。まだライオンやゾウなどの動物たちが居座ってますよ?これを見ても大丈夫だと思えるのは、どうしてですか?」
「その動物たちによる被害者は出ていませんし、、その動物たちは、悪さをしないと思います」
総理は説得力のない言葉で、国民にそう語った。。
そして、緊急事態宣言は強引に解除されたが、動物たちによるリスクと、ウィルスww1512によるリスク。。
それらのリスクに大人たちは震えながらの生活となった。
実験の終了まであと1日。
※ツカサの帰宅
緊急事態宣言の解除がきっかけとなり、大人たちは自由を手に入れた。
そんなタイミングだった。
司が帰ってきた。
「お母さん、お父さん、ただいま!!」
「どこに行ってたの、心配ばっかりかけてーー」
お母さんに抱き締められると、柔らかい温もりを感じる。
たった1週間だったのに、僕はとても懐かしい感じがした。
「ごめんなさい。心配かけて」
「司、無事で良かった!」
母は泣き出した。
「ちゃんと僕の事を覚えててくれたんだね!」
司は笑った。。
「ーー何言ってるの?大切なあなたの事を忘れる訳ないでしょ??バカな子ねー!!」
母は涙の粒を少し多く流しながら、しがみつくようにして、僕に抱きついた。
「そ......そうだよね。。僕、何言ってんだろ?」
司の大きな目からも滴が流れ落ちていく。
ーーホントにバカだな。。僕。。
ーーホントに。。
両親が自分を忘れてしまうんじゃないか、と言う不安から、解放されたその瞬間だった。
大粒の涙を流しながら、司は呟いた。
隣にはまだタケルがいる。
母は怪訝そうな顔で、タケルを見ると言った。
「ーーあなたは?」
「私はあの、、タケルと言います。。司くんの友達です」
精一杯、タケルは笑った。
「そうなの?あなたみたいな友達がいる事は知らなかったわ。どうぞ上がって。。」
母はタケルを室内に招き入れる。
僕はタケルの手を握りしめて、部屋に向かった。。
これからタケルと一緒に暮らしていけると思う。
あの壮大な実験が終わっても、タケルは消えていない。
つまり、僕とタケルはこの先も友達でいられると言う事だろう。
※実の家
その頃。
どこの家庭でも、子供たちが戻ってきた事で、安堵していた。
ーー虐待を受けていた実くんは、家に帰ってからどうなっただろうか?
司はそんな事を心配していた。
どこに住んでいたかも知らない。
電話番号も知らない。
ただ、実験の間1週間ーー共に過ごしただけの友達だ。。
ーー心配なんですね。。実くんの事。。
タケルがぼやくようにそう言った。
「ねぇ、実くんの家の映像って見れないのかな??ーー心配だもん」
「見れますよ。。」
小さなパソコンをお腹から出すと、両手でカタカタと入力した。
「柏木実」
と。。
そのパソコンなら、彼の家の動画が見られるようだ。。
結構な広さの部屋が二つ。
そしてこじんまりとした部屋が一つ。
トイレのすぐ横にお風呂場がある。
その広さの部屋に、ポツンと実くんが座っている。
膝を抱え、まるで体育の授業中のように。。
「ーーお母さん。。お母さん。。僕、帰ってきたよ。。早く帰ってきてよ。。」
実くんがまた泣いている。。
その映像を見ているだけで、僕は胸が苦しくなった気がした。
※ウソとホント
実くんの寂しそうな涙を見ちゃったから、僕は胸が苦しくなるような気がした。
「ねぇ、タケルくん。。実くんのお母さん、、ちゃんと帰ってくるよね?」
「大丈夫ですよ。あの実験中に、彼もまた大人になったんです。万が一の時は子供たちと共に過ごしたあの場所に帰るでしょう。。」
ーーそっか。
ーーそうだよねぇ。。
「司くん、、大変な実験に付き合わせちゃってごめんなさい。。」
タケルが、頭を下げた。。
「ーー僕、あの実験のおかげでちょっと強くなれたよ」
「ーーこれからは、あなたたちの心のケアをしていきますね。。多分傷ついていると思いますので。。」
申し訳なさそうにタケルは言った。
「ーーありがとう。。僕、タケルくんが側にいてくれたら、それだけで安心だよ。僕、タケルくんが大好きだから。。」
司は笑って見せる。
だが、その笑顔には少しだけ恐怖感が感じられた。
ーータケルくんと僕はね。。何が合っても友達なんだよ!!
司は言った。
彼は優しい子だと、タケルは思う。
それが...本心であればいいと思ってしまう。。
この世の中、ウソが溢れている。
だが、真実を見る目を、人間は忘れてしまっているのかも知れない。
※実脱出
実くんの部屋。。
「ーーただいま。。」
ーーあ、お母さん。。
実は母に向かって駆け出した足を止めた。
何か違う気がした。
「ちょっとー何してんのよ??」
普段の日常では、見ることのない母の笑顔。
その隣には父ではない若い男がいた。
二人で、じゃれ合っている。
ーー僕がいるのに。。
ーー僕の事なんて忘れてるみたい。。
実は足早に駆け出した。
ーーもういい。
ーー僕はいらない子。。
そんな思いを抱き出したら、悲しくなってきた。
涙が溢れ出す。
ーーこれが僕の答え。。
瞬時に決めた事だった。
実は険しい顔をしたまま、走っていく。
目的地は一体どこだろうか?
「ねぇ、タケルくん。。」
司は液晶画面を見ながら言った。
「ーーなんですか?」
※実くんを助けに!
「ーーなんですか?」
「ーー実くんの事。。助けてあげられないかなぁ?」
司は液晶越しに彼を見ながら言った。
「そうですね。。彼のプライベートな事なだけに、どこまで周りが口を挟んでいいのか?」
ーーうーん。
ーーうーん。
タケルくんは実くんの事を考えてくれているんだろう。
唸りながら、悩んでいるのが見てとれた。。
「ーーわかりました。。やってみましょう!」
タケルが意を決して言う。
「ーーそれでは彼のとこに行ってきますね。。」
「ちょっと待って!!僕も行く」
司は言った。
「それじゃ、行きましょうか。。」
※ロボットなのに
「ーーそれじゃ、行きましょうか?」
タケルと僕は手を繋いでいる。
学校では人見知りで、友達もいないし、どちらかと言うとクラスメートからは煙たがられてる。。そんな司にも始めての友達が出来た。
それがタケルだった。
友達が出来てみると、1人には耐えられない。僕は本当は友達が欲しかったんだ。。
司自身の心の奥底に、仕舞い込まれていた感情に、この実験が終わった時、ようやく気がついた。。
司にとって、この実験に参加したメリットは二つあった。
タケルと言う友達が出来た事。。
そして、それ以外にもたくさんの友達が出来た事。。
1人じゃない生活の楽しさをこの実験に教えてもらった様な気がする。。
「ーー僕ね、実験に参加して本当に良かった。。お父さんやお母さんは大変そうだったけど。。」
タケルの顔を見て、司は微笑んだ。。
ーータケルくん、、大好きだよ!
子供がじゃれ合うように、司は突然、タケルに抱きついた。
タケルの表情が、柔らかくなる。。
元はロボットのはずなのに、、顔を赤らめ照れたようにしてうつむく。。
ーーあぁ。。また照れたぁぁぁ。
からかうように司が、ニヤニヤと笑った。
「ーーそんな事、言わないで下さいよ。恥ずかしいんですから。。」
ーー何でそんなに照れるの?
ーー僕そんなおかしな事を言った??
「そうじゃないんです。そうじゃ......」
タケルが言葉に詰まっている。
本当に子供は純粋だ。私(タケル)も人間みたいになりたい。
もっと感情豊かにーーもっと人間らしく。
タケルのその思いは日に日に強くなっていく。
そして、最後の実験の日。
夜を迎えた。
「明日から家に帰れるんだね。。」
ワイワイと子供が今、この瞬間を楽しんでいる。
「久しぶりに、お父さんとお母さんに会えるよ!!でも、動物たちは大丈夫なのかなぁ??」
俊哉が少しだけ不安そうな顔をしている。
「動物たちは、大人たちの幻覚と現実が結び付いているだけなので、明日にはいなくなってますよ!」
タケルが言った。
ーーあぁ、とても長い時間が流れたような気がする。
たかが1週間。。
この1週間いろいろ合ったけど、楽しかったな。。
司はそう思った。
「ーー明日の朝になって、親が忘れてたり、居場所がなかったりしたら、またここに集まる様にしましょう!!」
万が一の事を考えた提案だった。
子供の事を忘れてしまう親なら、いっそ離れた方がいい。。
タケルはそう考えていた。。
「それ、いーね!!」
子供たちはまたココに戻ってきたらいいと言う安心感を得られたからか、笑っている。。
そう。
これでいい!!
子供たちから笑顔が消えたらいけない。。
「お父さんやお母さんに会った時、司くんはまず何を話したいですか?」
タケルが突然聞いてきた。
「そうだなー!やっぱり、ただいま、かな?それで心配かけてごめんなさい!!かな?」
「そうですね。。あの時、手紙すら書いてこなかったですもんね。。書けば良かったですね。。」
今更ながら、と言う顔で、タケルが言った。
「もー終わるじゃん?」
司は笑った。
1週間が過ぎようとした時、子供たちは既に逞しくなっていた。
子供は成長が早い。
※最後の日
大人たち。実験最後まであと1日。
その頃、大人たちのいる場所でも、ウィルスww1512の効果は、薄れ始めて来ていた。
津波や地震からの避難も成功し、アレが本当の事だったとしても、誰一人被害者は出ていない事になる。。
それぞれの実験に大人たちは、二重丸の成果を上げた。。
これならば子供たちを守っていく事が出来るだろう。。
政府はそう判断した。。
そして、朝が来ると同時に、すべての危険回避の為の緊急事態宣言が、総理大臣の手によって、解除された。。
「お騒がせしております。。」
そう言って、総理大臣は軽く頭を下げてから、本題に入った。
「本日、緊急事態宣言を解除します」
その言葉を聞き、マスコミが問いかける。
「ウイルスww1512や動物たちによる危険はもうないと言う事でいいですか?」
「そう思って頂いて大丈夫だと思います」
テレビカメラが、街の様子を写し出しているのを、総理に見せた上で、マスコミの一人が問いただすように聞いた。
「どうして、大丈夫だと言えるんですか?ーーこの街を見てみて下さい。まだライオンやゾウなどの動物たちが居座ってますよ?これを見ても大丈夫だと思えるのは、どうしてですか?」
「その動物たちによる被害者は出ていませんし、、その動物たちは、悪さをしないと思います」
総理は説得力のない言葉で、国民にそう語った。。
そして、緊急事態宣言は強引に解除されたが、動物たちによるリスクと、ウィルスww1512によるリスク。。
それらのリスクに大人たちは震えながらの生活となった。
実験の終了まであと1日。
※ツカサの帰宅
緊急事態宣言の解除がきっかけとなり、大人たちは自由を手に入れた。
そんなタイミングだった。
司が帰ってきた。
「お母さん、お父さん、ただいま!!」
「どこに行ってたの、心配ばっかりかけてーー」
お母さんに抱き締められると、柔らかい温もりを感じる。
たった1週間だったのに、僕はとても懐かしい感じがした。
「ごめんなさい。心配かけて」
「司、無事で良かった!」
母は泣き出した。
「ちゃんと僕の事を覚えててくれたんだね!」
司は笑った。。
「ーー何言ってるの?大切なあなたの事を忘れる訳ないでしょ??バカな子ねー!!」
母は涙の粒を少し多く流しながら、しがみつくようにして、僕に抱きついた。
「そ......そうだよね。。僕、何言ってんだろ?」
司の大きな目からも滴が流れ落ちていく。
ーーホントにバカだな。。僕。。
ーーホントに。。
両親が自分を忘れてしまうんじゃないか、と言う不安から、解放されたその瞬間だった。
大粒の涙を流しながら、司は呟いた。
隣にはまだタケルがいる。
母は怪訝そうな顔で、タケルを見ると言った。
「ーーあなたは?」
「私はあの、、タケルと言います。。司くんの友達です」
精一杯、タケルは笑った。
「そうなの?あなたみたいな友達がいる事は知らなかったわ。どうぞ上がって。。」
母はタケルを室内に招き入れる。
僕はタケルの手を握りしめて、部屋に向かった。。
これからタケルと一緒に暮らしていけると思う。
あの壮大な実験が終わっても、タケルは消えていない。
つまり、僕とタケルはこの先も友達でいられると言う事だろう。
※実の家
その頃。
どこの家庭でも、子供たちが戻ってきた事で、安堵していた。
ーー虐待を受けていた実くんは、家に帰ってからどうなっただろうか?
司はそんな事を心配していた。
どこに住んでいたかも知らない。
電話番号も知らない。
ただ、実験の間1週間ーー共に過ごしただけの友達だ。。
ーー心配なんですね。。実くんの事。。
タケルがぼやくようにそう言った。
「ねぇ、実くんの家の映像って見れないのかな??ーー心配だもん」
「見れますよ。。」
小さなパソコンをお腹から出すと、両手でカタカタと入力した。
「柏木実」
と。。
そのパソコンなら、彼の家の動画が見られるようだ。。
結構な広さの部屋が二つ。
そしてこじんまりとした部屋が一つ。
トイレのすぐ横にお風呂場がある。
その広さの部屋に、ポツンと実くんが座っている。
膝を抱え、まるで体育の授業中のように。。
「ーーお母さん。。お母さん。。僕、帰ってきたよ。。早く帰ってきてよ。。」
実くんがまた泣いている。。
その映像を見ているだけで、僕は胸が苦しくなった気がした。
※ウソとホント
実くんの寂しそうな涙を見ちゃったから、僕は胸が苦しくなるような気がした。
「ねぇ、タケルくん。。実くんのお母さん、、ちゃんと帰ってくるよね?」
「大丈夫ですよ。あの実験中に、彼もまた大人になったんです。万が一の時は子供たちと共に過ごしたあの場所に帰るでしょう。。」
ーーそっか。
ーーそうだよねぇ。。
「司くん、、大変な実験に付き合わせちゃってごめんなさい。。」
タケルが、頭を下げた。。
「ーー僕、あの実験のおかげでちょっと強くなれたよ」
「ーーこれからは、あなたたちの心のケアをしていきますね。。多分傷ついていると思いますので。。」
申し訳なさそうにタケルは言った。
「ーーありがとう。。僕、タケルくんが側にいてくれたら、それだけで安心だよ。僕、タケルくんが大好きだから。。」
司は笑って見せる。
だが、その笑顔には少しだけ恐怖感が感じられた。
ーータケルくんと僕はね。。何が合っても友達なんだよ!!
司は言った。
彼は優しい子だと、タケルは思う。
それが...本心であればいいと思ってしまう。。
この世の中、ウソが溢れている。
だが、真実を見る目を、人間は忘れてしまっているのかも知れない。
※実脱出
実くんの部屋。。
「ーーただいま。。」
ーーあ、お母さん。。
実は母に向かって駆け出した足を止めた。
何か違う気がした。
「ちょっとー何してんのよ??」
普段の日常では、見ることのない母の笑顔。
その隣には父ではない若い男がいた。
二人で、じゃれ合っている。
ーー僕がいるのに。。
ーー僕の事なんて忘れてるみたい。。
実は足早に駆け出した。
ーーもういい。
ーー僕はいらない子。。
そんな思いを抱き出したら、悲しくなってきた。
涙が溢れ出す。
ーーこれが僕の答え。。
瞬時に決めた事だった。
実は険しい顔をしたまま、走っていく。
目的地は一体どこだろうか?
「ねぇ、タケルくん。。」
司は液晶画面を見ながら言った。
「ーーなんですか?」
※実くんを助けに!
「ーーなんですか?」
「ーー実くんの事。。助けてあげられないかなぁ?」
司は液晶越しに彼を見ながら言った。
「そうですね。。彼のプライベートな事なだけに、どこまで周りが口を挟んでいいのか?」
ーーうーん。
ーーうーん。
タケルくんは実くんの事を考えてくれているんだろう。
唸りながら、悩んでいるのが見てとれた。。
「ーーわかりました。。やってみましょう!」
タケルが意を決して言う。
「ーーそれでは彼のとこに行ってきますね。。」
「ちょっと待って!!僕も行く」
司は言った。
「それじゃ、行きましょうか。。」
※ロボットなのに
「ーーそれじゃ、行きましょうか?」
タケルと僕は手を繋いでいる。
学校では人見知りで、友達もいないし、どちらかと言うとクラスメートからは煙たがられてる。。そんな司にも始めての友達が出来た。
それがタケルだった。
友達が出来てみると、1人には耐えられない。僕は本当は友達が欲しかったんだ。。
司自身の心の奥底に、仕舞い込まれていた感情に、この実験が終わった時、ようやく気がついた。。
司にとって、この実験に参加したメリットは二つあった。
タケルと言う友達が出来た事。。
そして、それ以外にもたくさんの友達が出来た事。。
1人じゃない生活の楽しさをこの実験に教えてもらった様な気がする。。
「ーー僕ね、実験に参加して本当に良かった。。お父さんやお母さんは大変そうだったけど。。」
タケルの顔を見て、司は微笑んだ。。
ーータケルくん、、大好きだよ!
子供がじゃれ合うように、司は突然、タケルに抱きついた。
タケルの表情が、柔らかくなる。。
元はロボットのはずなのに、、顔を赤らめ照れたようにしてうつむく。。
ーーあぁ。。また照れたぁぁぁ。
からかうように司が、ニヤニヤと笑った。
「ーーそんな事、言わないで下さいよ。恥ずかしいんですから。。」
ーー何でそんなに照れるの?
ーー僕そんなおかしな事を言った??
「そうじゃないんです。そうじゃ......」
タケルが言葉に詰まっている。
本当に子供は純粋だ。私(タケル)も人間みたいになりたい。
もっと感情豊かにーーもっと人間らしく。
タケルのその思いは日に日に強くなっていく。
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