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dix-sept
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輝と栞を家で預かった翌日、会長(社長の親父)のお抱え運転手として大人の社会見学とやらに同行しています。これ会長の趣味なんだけど、休日出勤としてお給料が出るのでちょうど良い小遣い稼ぎになる。遊んで金が頂け……コホン、これも立派なお仕事なんですのよおほほ。
今回は醤油メーカーの工場を見学させて頂いているのだが、かねてより弊社の商品をご利用賜り、結構な大口受注をしてくださるとってもありがたい取引先様なのでございます。
私たちは広報さんの案内で一通り工場内を見学させて頂く。ここでは超ハイテクなシステムを取り入れつつも昔ながらの製法もちゃんと受け継がれていて、人の身長よりも高い木製の樽の中で丁寧に作られている醤油はとてもいい香りがした。
その後味見として卵かけご飯とお刺身というちょっとちぐはくな試食を頂き、お土産として手作りのたまり醤油を頂きました。これ姉が喜びそうだ。
「ところで海東さん、今日は可愛らしい方をお連れですね」
広報さんよりもお偉方の男性がニコニコ顔でこちらに近付いてきた。確か常務さんだったかな?
「でしょう? 普段は経理課の社員なんですが、こういう時には運転手として伴わせているんです。良いですよぉ、彼女の運転は」
会長にそう紹介されたので私は立ち上がって一礼する。
「折角ですから紹介してくださいよ」
「ホッホッホッ、気に入りましたかな? でもアンタは駄目~」
「そんなぁ、意地悪言わないでくださいよ会長~」
不毛な会話だなそれ、何が悲しくてジジ……もとい、父親世代の方にお手々スリスリされてんだ私。それなら近所の爺様どもの方がよっぽどマシじゃ。
「ウチの社員に触らんでくれ変態」
会長がジジ……じゃない、常務さんの手を引っ剥がしてくれる。頼りになります会長、ここで投げ飛ばしちゃ駄目だもんね。それにしてもヤラシイジジィだな……って堪らず言ってしまったわおほほ。ここの女性社員のセクハラ事情は大丈夫なんだろうか? と余計な心配をしてしまう。
「分かりましたよ、せめてお名前だけでも」
何かあんまり言いたくないけど……と思って会長の方を見ると、大丈夫だと言うふうに頷いてみせてる。ここは会長を信じましょう。
「五条夏絵と申します」
「ごじょうなつえさん……何とも風流なお名前ですなぁ」
と意味の分からない褒められ方をされてしまい、取り敢えず苦笑いで受け流すことしか出来ず。この後社会見学らしくアンケートを書いて醤油メーカーさんを後にした。
「五条君、この後の予定は?」
只今会長の高級外車を運転中の私にお声が掛かる。明日は代休頂いてるし特に予定は無い。
「いえ特に」
「それなら一杯付き合わんかね? ドライバーの手配は済ませてあるから」
「もちろん喜んで、因みにどちらへ?」
「保科酒造の利き酒バー、あそこの隠居ジジイから『早く顔出せ』とずっと催促されててな」
隠居ジジイって、保科酒造の会長さんあなたの同級生でしょうが。会長のお誘いを受けた私は保科酒造本店に隣接している利き酒バーに向かう。あそこは駐車場が少ないので無事に停められるかちょっと不安なんだけど。
会長はどこかに通話してる。交友関係が広く色んな人脈をお持ちで、ああやってしょっちゅう誰かと連絡を取り合って色々な場所へお出掛けになる。私もその一割程度は運転手としてお供させて頂き、今日みたいに日頃見られないものを見聞出来て我ながら恵まれてると思う。
「お客様駐車場は満車だから来客用に停めてくれって」
「分かりました」
これで駐車場の悩みは解消した。程なく保科酒造本店に到着し、会長に付いて利き酒バーにお邪魔する。うわぁ~結構混んでんなぁ。
「いらっしゃいませ、別室をご用意させて頂きました」
「気を遣わせて申し訳無いですな」
「いえ、海東文具様にはいつもお世話になっておりますので。本日は社長もお見えですよ」
お~超VIP待遇、会長と居るとこういう事が次々と起こるからたまに立派な人になっちゃったんじゃないかと勘違いしそうになる。立派なのは会長だよ~、立派なのは……。
「五条夏絵っ!」
ん? いま誰か私を呼んだ? ってかそれなりに混んでるこの場所でのフルネームは止めて頂きたいわ。聞き覚えの無い男の声だし無視しちゃえ!
「呼んでんだから返事しろって!」
と私の前に回り込んできた同世代くらいの男、誰だお前?
「久し振りに会ってんのに無視は無いだろ!」
男はそう言って苦笑いしてるがマジでお前誰?
「すみません、どちら様です? それに一人ではないのですが」
私は会長をちらっと見ると、保科酒造の店員さんが恐れ入りますと仲裁に入ってくれた。
「申し訳ございません、只今こちらの二名様をお席にご案内している最中で……」
「一二三憲人だよっ! 小学校一緒だったじゃん!」
そうだっけ? 知らんわいなこんな奴。ってか一人じゃねぇっつってんのに厚かましく自己紹介とかしてくんな。
「そうですか、人を待たせてる状態ですのでこれで失礼します。お待たせして申し訳ありません会長」
「良いよ良いよ、君が悪いんじゃないんだから。それにしてもなかなかの当たり屋さんだねぇ彼」
とひふみのりととか言う自称小学時代の同級生をチラッと流し見るだけで相手にしない。
「すみませんでした、お手を煩わせてしまって」
「いえ、アルコールを取り扱っている以上ああいったお客様は珍しくありませんので」
保科酒造の社員さんは涼しげにそう仰ってるけど、ここは居酒屋ではなくそれなりに歴史のある造り酒屋だ。大学時代の同期の晴れ舞台を見に一度利き酒イベントにお邪魔した事があるが、基本それなりに収入があってそれなりに上流階級の顧客様がわんさかといらっしゃった記憶がある。
私たちは一二三憲人をスルーして奥の個室に入っていくと、四十歳そこそこのダンディな男性が既にお待ちになっていた。この方その利き酒イベントで見掛けた事がある、当時は専務さんだったけど今は社長さんだ。
「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
相変わらずの低音イケメンボイスですね、私の周りには明らかに居ない人種だわ。
「いやぁ悪いね宗之君、もてなしてもらっちゃって。ところで隠居ジジイは息災か?」
「えぇ、元気が有り余ってます。今日も弟の子と遊びに行ってますよ」
「そこだけは羨ましい、ウチは二人共未だに嫁を連れてこん」
「お二人共三十代ですからまだお若いじゃないですか。今年五十の私より」
へっ? 社長さん五十路なの? うっそ全然見えないわ。ううん、それ込みでも全然イケてると思う。私に言われても嬉しくないだろうけど。
「この子どうだ? 五条夏絵って言うんだがなかなかの優良物件だぞ」
会長無理矢理フラグを立てるのやめません?社長さんお困りですよ。
「とは思いますが僕にはお若すぎるでしょう」
うん、ごもっともな返答でございますよ社長さん。何気にNG出されましたがね。そんな事を言っている間に日本酒数種類と上品に盛り付けられている料理が並べられていく。
「では早速頂きますか、五条さんはどれがお好みですか?」
「私はこれを」
とスパークリング日本酒が入っているシャンパングラスを手に取った。こういう時ってお任せした方が良かったのかな? でもこれ大好きなのよね、お店で売ってたら絶対買うもの。
「なるほど、そちらは若い女性に人気がありますからね。これをきっかけに日本酒に触れていただければという思いで作らせていただきました」
「はい、私もそのクチです」
「そう仰って頂けて嬉しいです」
私たちはグラスを掲げるだけの乾杯をして日本酒に口を付ける。ん~、お米でこんなにフルーティーな味わいが出るなんて……するすると飲めちゃうから後が怖いな。私は悪酔いしないよう料理もがっつり美味しく頂き、利き酒を満喫している。ここなら自宅からもそう遠くない、今度家族で来ようって冬樹がまだ未成年だった。あいつにはハンドルキーパーでもさせるか、一応運転免許は持ってるから。
「今度は家族と来ます」
「いやいやそこは彼氏と来ようよ夏絵ちゃん」
会長に苦笑いされ、社長さんも笑ってらっしゃる。まぁ歳の頃を考えたらそうだよね、『彼氏と』の方が普通だもんね。そう聞いて私が真っ先に頭に浮かんだのは中学時代に片思いしていた男の子だった。一年生を修了して関西に転校していったので今は何処で何をしているか分からない状態だが元気にしているのだろうか? 申し訳無いが満田君のことは頭の片隅にも残っていなかった。
今回は醤油メーカーの工場を見学させて頂いているのだが、かねてより弊社の商品をご利用賜り、結構な大口受注をしてくださるとってもありがたい取引先様なのでございます。
私たちは広報さんの案内で一通り工場内を見学させて頂く。ここでは超ハイテクなシステムを取り入れつつも昔ながらの製法もちゃんと受け継がれていて、人の身長よりも高い木製の樽の中で丁寧に作られている醤油はとてもいい香りがした。
その後味見として卵かけご飯とお刺身というちょっとちぐはくな試食を頂き、お土産として手作りのたまり醤油を頂きました。これ姉が喜びそうだ。
「ところで海東さん、今日は可愛らしい方をお連れですね」
広報さんよりもお偉方の男性がニコニコ顔でこちらに近付いてきた。確か常務さんだったかな?
「でしょう? 普段は経理課の社員なんですが、こういう時には運転手として伴わせているんです。良いですよぉ、彼女の運転は」
会長にそう紹介されたので私は立ち上がって一礼する。
「折角ですから紹介してくださいよ」
「ホッホッホッ、気に入りましたかな? でもアンタは駄目~」
「そんなぁ、意地悪言わないでくださいよ会長~」
不毛な会話だなそれ、何が悲しくてジジ……もとい、父親世代の方にお手々スリスリされてんだ私。それなら近所の爺様どもの方がよっぽどマシじゃ。
「ウチの社員に触らんでくれ変態」
会長がジジ……じゃない、常務さんの手を引っ剥がしてくれる。頼りになります会長、ここで投げ飛ばしちゃ駄目だもんね。それにしてもヤラシイジジィだな……って堪らず言ってしまったわおほほ。ここの女性社員のセクハラ事情は大丈夫なんだろうか? と余計な心配をしてしまう。
「分かりましたよ、せめてお名前だけでも」
何かあんまり言いたくないけど……と思って会長の方を見ると、大丈夫だと言うふうに頷いてみせてる。ここは会長を信じましょう。
「五条夏絵と申します」
「ごじょうなつえさん……何とも風流なお名前ですなぁ」
と意味の分からない褒められ方をされてしまい、取り敢えず苦笑いで受け流すことしか出来ず。この後社会見学らしくアンケートを書いて醤油メーカーさんを後にした。
「五条君、この後の予定は?」
只今会長の高級外車を運転中の私にお声が掛かる。明日は代休頂いてるし特に予定は無い。
「いえ特に」
「それなら一杯付き合わんかね? ドライバーの手配は済ませてあるから」
「もちろん喜んで、因みにどちらへ?」
「保科酒造の利き酒バー、あそこの隠居ジジイから『早く顔出せ』とずっと催促されててな」
隠居ジジイって、保科酒造の会長さんあなたの同級生でしょうが。会長のお誘いを受けた私は保科酒造本店に隣接している利き酒バーに向かう。あそこは駐車場が少ないので無事に停められるかちょっと不安なんだけど。
会長はどこかに通話してる。交友関係が広く色んな人脈をお持ちで、ああやってしょっちゅう誰かと連絡を取り合って色々な場所へお出掛けになる。私もその一割程度は運転手としてお供させて頂き、今日みたいに日頃見られないものを見聞出来て我ながら恵まれてると思う。
「お客様駐車場は満車だから来客用に停めてくれって」
「分かりました」
これで駐車場の悩みは解消した。程なく保科酒造本店に到着し、会長に付いて利き酒バーにお邪魔する。うわぁ~結構混んでんなぁ。
「いらっしゃいませ、別室をご用意させて頂きました」
「気を遣わせて申し訳無いですな」
「いえ、海東文具様にはいつもお世話になっておりますので。本日は社長もお見えですよ」
お~超VIP待遇、会長と居るとこういう事が次々と起こるからたまに立派な人になっちゃったんじゃないかと勘違いしそうになる。立派なのは会長だよ~、立派なのは……。
「五条夏絵っ!」
ん? いま誰か私を呼んだ? ってかそれなりに混んでるこの場所でのフルネームは止めて頂きたいわ。聞き覚えの無い男の声だし無視しちゃえ!
「呼んでんだから返事しろって!」
と私の前に回り込んできた同世代くらいの男、誰だお前?
「久し振りに会ってんのに無視は無いだろ!」
男はそう言って苦笑いしてるがマジでお前誰?
「すみません、どちら様です? それに一人ではないのですが」
私は会長をちらっと見ると、保科酒造の店員さんが恐れ入りますと仲裁に入ってくれた。
「申し訳ございません、只今こちらの二名様をお席にご案内している最中で……」
「一二三憲人だよっ! 小学校一緒だったじゃん!」
そうだっけ? 知らんわいなこんな奴。ってか一人じゃねぇっつってんのに厚かましく自己紹介とかしてくんな。
「そうですか、人を待たせてる状態ですのでこれで失礼します。お待たせして申し訳ありません会長」
「良いよ良いよ、君が悪いんじゃないんだから。それにしてもなかなかの当たり屋さんだねぇ彼」
とひふみのりととか言う自称小学時代の同級生をチラッと流し見るだけで相手にしない。
「すみませんでした、お手を煩わせてしまって」
「いえ、アルコールを取り扱っている以上ああいったお客様は珍しくありませんので」
保科酒造の社員さんは涼しげにそう仰ってるけど、ここは居酒屋ではなくそれなりに歴史のある造り酒屋だ。大学時代の同期の晴れ舞台を見に一度利き酒イベントにお邪魔した事があるが、基本それなりに収入があってそれなりに上流階級の顧客様がわんさかといらっしゃった記憶がある。
私たちは一二三憲人をスルーして奥の個室に入っていくと、四十歳そこそこのダンディな男性が既にお待ちになっていた。この方その利き酒イベントで見掛けた事がある、当時は専務さんだったけど今は社長さんだ。
「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
相変わらずの低音イケメンボイスですね、私の周りには明らかに居ない人種だわ。
「いやぁ悪いね宗之君、もてなしてもらっちゃって。ところで隠居ジジイは息災か?」
「えぇ、元気が有り余ってます。今日も弟の子と遊びに行ってますよ」
「そこだけは羨ましい、ウチは二人共未だに嫁を連れてこん」
「お二人共三十代ですからまだお若いじゃないですか。今年五十の私より」
へっ? 社長さん五十路なの? うっそ全然見えないわ。ううん、それ込みでも全然イケてると思う。私に言われても嬉しくないだろうけど。
「この子どうだ? 五条夏絵って言うんだがなかなかの優良物件だぞ」
会長無理矢理フラグを立てるのやめません?社長さんお困りですよ。
「とは思いますが僕にはお若すぎるでしょう」
うん、ごもっともな返答でございますよ社長さん。何気にNG出されましたがね。そんな事を言っている間に日本酒数種類と上品に盛り付けられている料理が並べられていく。
「では早速頂きますか、五条さんはどれがお好みですか?」
「私はこれを」
とスパークリング日本酒が入っているシャンパングラスを手に取った。こういう時ってお任せした方が良かったのかな? でもこれ大好きなのよね、お店で売ってたら絶対買うもの。
「なるほど、そちらは若い女性に人気がありますからね。これをきっかけに日本酒に触れていただければという思いで作らせていただきました」
「はい、私もそのクチです」
「そう仰って頂けて嬉しいです」
私たちはグラスを掲げるだけの乾杯をして日本酒に口を付ける。ん~、お米でこんなにフルーティーな味わいが出るなんて……するすると飲めちゃうから後が怖いな。私は悪酔いしないよう料理もがっつり美味しく頂き、利き酒を満喫している。ここなら自宅からもそう遠くない、今度家族で来ようって冬樹がまだ未成年だった。あいつにはハンドルキーパーでもさせるか、一応運転免許は持ってるから。
「今度は家族と来ます」
「いやいやそこは彼氏と来ようよ夏絵ちゃん」
会長に苦笑いされ、社長さんも笑ってらっしゃる。まぁ歳の頃を考えたらそうだよね、『彼氏と』の方が普通だもんね。そう聞いて私が真っ先に頭に浮かんだのは中学時代に片思いしていた男の子だった。一年生を修了して関西に転校していったので今は何処で何をしているか分からない状態だが元気にしているのだろうか? 申し訳無いが満田君のことは頭の片隅にも残っていなかった。
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