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trente-neuf
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まさか郡司君の方から連絡先を交換してくれるなんて思ってもみなかった私は完全に有頂天になっていた。ほぼ毎日のようにメールが届き、中学時代に抱いていた恋心も相まって私の人生はバラ色なんじゃないかと思うくらいだ。脳内BGMはエディット・ピアフの『バラ色の人生』……メロディー何となくしか分かんないけど、イエモンの『バラ色の日々』も捨て難い、要は浮かれてるんです私。
「なつ、最近機嫌良いね」
姉は家族の細かい心の変化によく気付く。
「そ、そうかな?」
あ~感情だだ漏れだった? 職場でそれはちょっと頂けないから気を引き締めないと。
「うん、恋でもしてるみたい」
ドキッ…….。
「そ、そんなこと……」
「無いかしら?」
姉は私の顔を覗き込んでくる。今日もお顔が綺麗です、姉だって人のこと言えない、先輩と付き合いだしてから美しさにますます磨きがかかってるもの。
「お姉ちゃんもご機嫌だよね」
私もまんま言葉を返してやる、いくらきょうだいとは言えそんなに見つめられるとさすがに恥ずかしいわ。
「当然じゃない、大事にしてもらってるもの」
姉は悪びれる事なくそう言ってふふふと笑う。もしかすると意識とか心持ちとかといった内面の変化の方が大きいから外見を変える必要が無かったのかも知れない。ひょっとして中にはこうして欲しいああして欲しいと言ってきた男でもいたのかな? と今となっては思う。
「今日は遅くなるのよね?」
「うん。いつもの仲間だし達吉さんのお店だから心配無いよ」
そう、今日は幼馴染七人で定例の飲み会。このところコンサート続きの有砂と百貨店に出張しているまこっちゃんは遅くなるって言ってた、げんとく君はどうしても就業時間って把握しにくいからどうなることやら。
「てつことこうたはいざとなれば頼りになるからそこまで心配してないわよ、明日は早いし先に鍵閉めちゃっても問題無いかしら?」
「鍵は毎日持ち歩いてるからそうして。んじゃ行ってきます」
「行ってらっしゃい、明日出掛けるんだから飲みすぎないでよ」
は~い、私は姉に見送られて仕事に向かった。
今日も定時で上がり、普段の帰宅ルートで達吉さんのお店へ。調理時間が終わっているこうた、きっとお父さんにお店を任せているであろうてつことぐっちーが既に集まっていた。
「お待たせー!」
「おー、なつこっちこっち」
真っ先に気付いてくれたこうたが手招きしてくれる。私は迷わず三人のいるテーブル席に腰掛け、取り敢えずビールを注文する。つまみは三人が食べている物をちょびちょび頂こう。
「顔色戻ったな、なつ」
そう言えばてつこもバザーで出店してたもんね、せっかく冷やかしてやろうと思ってたのに倒れてしまって残念だ。
「うん、もう通常運転だよ」
「なら良かった、杏璃はなつが倒れたの見るの初めてだったからどっか悪いんじゃないかって」
杏璃というのは十二歳になるてつこの娘……本当はお兄さんの子供なんだけど、八年前に亡くなられててつこ一家が引き取った。最初は親戚の子としてだったが、杏璃が小学生になるのを機に養子縁組したのだ。
「そこまで悪くないって、残業続きで疲れが溜まってたみたい」
「まぁいずれにせよ飲み過ぎんなよ」
「はいは~い」
「俺介抱しないぞ」
ぐっちーは嫌そうに私を見る。何を言うか、下戸スレスレの酒の弱さで何度介抱してやったと思ってんだ?
「要らないわよ、あんたほど弱くないもの」
「はい、ビールお待たせ」
なんてやり取りをしていると今日は従業員の野添さんがビールを持ってきてくれた。お待たせビールさん、私の喉を潤しておくれ♪
「ありがとうございます、んじゃいっただっきまーす」
「おいコラ! なつが来るまで乾杯待ってたんだぞ!」
「そうだぞ! 一人で先に飲むなっ!」
折角のひと口をこうたとぐっちーの凸凹コンビに止められてしまう、さっさと飲ませろお前ら。とは言え私たちの慣例なだけだが、乾杯は四人目が来てからする。
「あっ、てつこのカラじゃん。何か頼んだか?」
「おぅ、生頼んだ」
「んじゃてつこ待ちだな……ってまだ待つのかよ!」
ぐっちーはししゃももさもさと食べている。
「悪かったね待たせちまってさ。はいてつこ、ビールお待たせ」
今度は小百合さんがビールを運んできた。てつこは軽く会釈してそれを受け取り、ようやっと乾杯の体勢に入る。
「今日も一日よく働きました!」
乾杯の音頭を執るぐっちー、今日は居眠りしなかったんだね。
「嘘言え! 店番中うたた寝してたって婆さんサークルの節子さんが言ってたぞ」
こうたのひと言でぐっちーの顔色が変わる。
「げっ! あんのババァ……」
「相変わらず口が悪いねぇ、あんたが悪いんだろうが」
ぐっちーは小百合さんに小突かれ、常連客さんたちの笑いを誘ってる。
「ってぇ~……」
「とし坊、『寝る子は育つ』の年頃はもう過ぎてんだろうが」
「分ぁってるよそんなの、取り敢えず乾杯させてくれよ~」
「はいはい、今日もぐっちーは居眠りしましたぁ」
「滞りなく一日を終えました、って感じでいいんじゃないか?」
「んじゃそれで、かんぱ~い!」
「「乾杯!」」
「いやいやおかしいだろそれ!」
こうたの音頭で乾杯しようやっとビールをひと口、ん~美味い!
「お待ちどう、おでん盛り合わせだよ」
達吉名物『屋台のおでん』、達吉さんは元々おでん屋台で腕を磨き、石渡組先代に見初められてここを提供してもらって現在に至るそうだ。ちょうど小百合さんが妊娠していた時期で、彼女の体調を気遣ったというのも理由の一つらしい。屋台時代から達吉さんのおでんは有名だったそうで、今でも他県からわざわざ食べに来られるお客様も多い。
「やっぱおでんはここのだよな」
見た目通りの食いしん坊こうたは早速大根を美味しそうに食べている。私は厚揚げをはむっと頬張る、ヤバい! 毎度ながら美味すぎる!
「これ燗が欲しくなるな」
てつこはちくわぶを食べながら調子良くビールを消費している。コイツ見た目の可愛さとは裏腹に結構なウワバミだから酔い潰れた姿を未だ見たことが無い。燗かぁ、私も飲みたくなってきたわ。
「そう言えばまこっちゃんの結婚式、何かサプライズしないか?」
アイデアマンぐっちーはそう言ってニヤッとする。
「えっ? カラオケ以外にも?」
いくら幼馴染でもそんなに時間頂けるだろうか?
「カラオケは女子二人に任せた、それなら時間は取れるから。ここは新婦にも協力してもらってあいつを騙す」
「おい、何する気だ? あんまおかしなことするなよ」
「やることそのものは単純、コイツを吹っ掛けて遊ぶだけ」
ぐっちーはスプレー缶を取り出してテーブル席に置く。これアレだ、色んな色の糸みたいなのが出てくるやつ、名前は知らないけどパーティーアイテムでちょいちょい登場するよね。
「他の招待客も巻き込めばそれなりに盛り上がるだろ?」
なんて話をしていると入り口の引き戸がガラッと開く。げんとく君かな? と思って振り返るとどう考えても来ないよね?と言いたくなる人物がそこに立っていた。何故に?
「なつ、最近機嫌良いね」
姉は家族の細かい心の変化によく気付く。
「そ、そうかな?」
あ~感情だだ漏れだった? 職場でそれはちょっと頂けないから気を引き締めないと。
「うん、恋でもしてるみたい」
ドキッ…….。
「そ、そんなこと……」
「無いかしら?」
姉は私の顔を覗き込んでくる。今日もお顔が綺麗です、姉だって人のこと言えない、先輩と付き合いだしてから美しさにますます磨きがかかってるもの。
「お姉ちゃんもご機嫌だよね」
私もまんま言葉を返してやる、いくらきょうだいとは言えそんなに見つめられるとさすがに恥ずかしいわ。
「当然じゃない、大事にしてもらってるもの」
姉は悪びれる事なくそう言ってふふふと笑う。もしかすると意識とか心持ちとかといった内面の変化の方が大きいから外見を変える必要が無かったのかも知れない。ひょっとして中にはこうして欲しいああして欲しいと言ってきた男でもいたのかな? と今となっては思う。
「今日は遅くなるのよね?」
「うん。いつもの仲間だし達吉さんのお店だから心配無いよ」
そう、今日は幼馴染七人で定例の飲み会。このところコンサート続きの有砂と百貨店に出張しているまこっちゃんは遅くなるって言ってた、げんとく君はどうしても就業時間って把握しにくいからどうなることやら。
「てつことこうたはいざとなれば頼りになるからそこまで心配してないわよ、明日は早いし先に鍵閉めちゃっても問題無いかしら?」
「鍵は毎日持ち歩いてるからそうして。んじゃ行ってきます」
「行ってらっしゃい、明日出掛けるんだから飲みすぎないでよ」
は~い、私は姉に見送られて仕事に向かった。
今日も定時で上がり、普段の帰宅ルートで達吉さんのお店へ。調理時間が終わっているこうた、きっとお父さんにお店を任せているであろうてつことぐっちーが既に集まっていた。
「お待たせー!」
「おー、なつこっちこっち」
真っ先に気付いてくれたこうたが手招きしてくれる。私は迷わず三人のいるテーブル席に腰掛け、取り敢えずビールを注文する。つまみは三人が食べている物をちょびちょび頂こう。
「顔色戻ったな、なつ」
そう言えばてつこもバザーで出店してたもんね、せっかく冷やかしてやろうと思ってたのに倒れてしまって残念だ。
「うん、もう通常運転だよ」
「なら良かった、杏璃はなつが倒れたの見るの初めてだったからどっか悪いんじゃないかって」
杏璃というのは十二歳になるてつこの娘……本当はお兄さんの子供なんだけど、八年前に亡くなられててつこ一家が引き取った。最初は親戚の子としてだったが、杏璃が小学生になるのを機に養子縁組したのだ。
「そこまで悪くないって、残業続きで疲れが溜まってたみたい」
「まぁいずれにせよ飲み過ぎんなよ」
「はいは~い」
「俺介抱しないぞ」
ぐっちーは嫌そうに私を見る。何を言うか、下戸スレスレの酒の弱さで何度介抱してやったと思ってんだ?
「要らないわよ、あんたほど弱くないもの」
「はい、ビールお待たせ」
なんてやり取りをしていると今日は従業員の野添さんがビールを持ってきてくれた。お待たせビールさん、私の喉を潤しておくれ♪
「ありがとうございます、んじゃいっただっきまーす」
「おいコラ! なつが来るまで乾杯待ってたんだぞ!」
「そうだぞ! 一人で先に飲むなっ!」
折角のひと口をこうたとぐっちーの凸凹コンビに止められてしまう、さっさと飲ませろお前ら。とは言え私たちの慣例なだけだが、乾杯は四人目が来てからする。
「あっ、てつこのカラじゃん。何か頼んだか?」
「おぅ、生頼んだ」
「んじゃてつこ待ちだな……ってまだ待つのかよ!」
ぐっちーはししゃももさもさと食べている。
「悪かったね待たせちまってさ。はいてつこ、ビールお待たせ」
今度は小百合さんがビールを運んできた。てつこは軽く会釈してそれを受け取り、ようやっと乾杯の体勢に入る。
「今日も一日よく働きました!」
乾杯の音頭を執るぐっちー、今日は居眠りしなかったんだね。
「嘘言え! 店番中うたた寝してたって婆さんサークルの節子さんが言ってたぞ」
こうたのひと言でぐっちーの顔色が変わる。
「げっ! あんのババァ……」
「相変わらず口が悪いねぇ、あんたが悪いんだろうが」
ぐっちーは小百合さんに小突かれ、常連客さんたちの笑いを誘ってる。
「ってぇ~……」
「とし坊、『寝る子は育つ』の年頃はもう過ぎてんだろうが」
「分ぁってるよそんなの、取り敢えず乾杯させてくれよ~」
「はいはい、今日もぐっちーは居眠りしましたぁ」
「滞りなく一日を終えました、って感じでいいんじゃないか?」
「んじゃそれで、かんぱ~い!」
「「乾杯!」」
「いやいやおかしいだろそれ!」
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達吉名物『屋台のおでん』、達吉さんは元々おでん屋台で腕を磨き、石渡組先代に見初められてここを提供してもらって現在に至るそうだ。ちょうど小百合さんが妊娠していた時期で、彼女の体調を気遣ったというのも理由の一つらしい。屋台時代から達吉さんのおでんは有名だったそうで、今でも他県からわざわざ食べに来られるお客様も多い。
「やっぱおでんはここのだよな」
見た目通りの食いしん坊こうたは早速大根を美味しそうに食べている。私は厚揚げをはむっと頬張る、ヤバい! 毎度ながら美味すぎる!
「これ燗が欲しくなるな」
てつこはちくわぶを食べながら調子良くビールを消費している。コイツ見た目の可愛さとは裏腹に結構なウワバミだから酔い潰れた姿を未だ見たことが無い。燗かぁ、私も飲みたくなってきたわ。
「そう言えばまこっちゃんの結婚式、何かサプライズしないか?」
アイデアマンぐっちーはそう言ってニヤッとする。
「えっ? カラオケ以外にも?」
いくら幼馴染でもそんなに時間頂けるだろうか?
「カラオケは女子二人に任せた、それなら時間は取れるから。ここは新婦にも協力してもらってあいつを騙す」
「おい、何する気だ? あんまおかしなことするなよ」
「やることそのものは単純、コイツを吹っ掛けて遊ぶだけ」
ぐっちーはスプレー缶を取り出してテーブル席に置く。これアレだ、色んな色の糸みたいなのが出てくるやつ、名前は知らないけどパーティーアイテムでちょいちょい登場するよね。
「他の招待客も巻き込めばそれなりに盛り上がるだろ?」
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