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quarante-deux
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皆は一時間ほどで帰っていき、私はてつこから受け取った杏璃の言伝の中身を見る。一つは私宛の封書と手作りと思われるウサギの可愛いぬいぐるみ、そして姉宛の封書も入っていた。
「お姉ちゃんにも言伝あるよ」
「杏璃から?」
うん。私は藤色の封書を姉に渡す。
「何かしら?」
姉は首を傾げつつもそれを受け取り、エプロンのポケットに入れた。私はリビングのソファに座って水色の封書を開けると、短い文章と私鉄沿線の老舗遊園地の無料招待チケットが同封されていた。これアレだ、地元新聞主催の懸賞ですな、杏璃当選者の一人だったんだ。
【親愛なるなつへ
体調はもう大丈夫ですか?お見舞いとしてぬいぐるみを作ったので良かったら飾ってやってください。
ところで○月×日空いてたら遊園地デートしませんか?チケットは同封しておきます、お返事待ってます。
杏璃】
杏璃からの手紙の内容はこんな感じだった。○月×日ということは二週間後の土曜日、予定は無いので早速メールを……と思ったがすでに深夜一時を回ってるので旅行明けにしよう。そろそろ寝ますかと姉に声を掛けようとしたが、ダイニングテーブルで杏璃からの手紙を読みながら渋い表情を浮かべている。
「う~ん……」
「お姉ちゃん?」
「……あぁ、そろそろ寝よっか」
姉は手紙をたたんで封筒に仕舞い、二階にある個人部屋に入った。
開け方に秋都が帰宅し、風呂に入って仮眠を取らせてから午前十時頃に出発した私たちは、隣県にある紅葉スポットして有名な県立公園に向かっていた。十一月上旬の今自宅近所ではまだ紅葉は見られないが、この辺りは内陸で昼夜の寒暖差が激しいせいなのか奥地へ行くほど広葉樹の葉に色が付き始めていた。
「やっぱり内陸部の方が早いわね」
深夜の渋い表情など微塵も見せず旅行を楽しんでいる姉に私たちは内緒であるサプライズを仕掛けてある。発案者は秋都、旅行会社ではほぼ全滅だった高級旅館を手配してとんでもなく安いお値段で風呂付き個室の旅館に泊まれる事になった。聞くと旅行会社をはしごしては振られまくっているところに田処ママンに出会い、事情を話すとご友人に高級旅館の女将をしている方がいて、たまたまキャンセルが出た風呂付き個室を普通ランク価格でご提供くださったのだ。
『一度きちんとしたお礼がしたかったの、友人も空きが出来るより良いって喜んでいたわ』
それを知った時はかなり驚愕した。だって一般庶民丸出しの私たちが風呂付き個室に泊まれるのよ! 秋都が話したかどうかは別として、タトゥーのある姉は温泉施設やプールの利用に制限があるのでこれはかなりありがたい。現時点で姉は温泉を諦めているはず、今回宿泊する街は近隣では温泉街としても有名な所なので普段誰よりも頑張っている姉には是非ゆっくりと疲れを癒やしてほしい。あともう一つあるのだが、これはまた後程にさせて頂こう。
「僕お腹空いたぁ~」
冬樹は道沿いにある蕎麦屋さんを尻目に早速ゴネる。
「お蕎麦食べたいの? もうちょっと先に良いお店あるらしいからそれまで待てない?」
「ホントに良いお店なの~?」
「アンジェリカ情報だから大丈夫よ」
姉はグルメ舌を持つ後輩の名前を出して頷いた。アンジェリカは私の二つ歳下で、姉に次ぐ古株のオカマホステスだ。彼女は身長百八十センチ以上あるゴリマッチョで、ど派手なメイクをしてど派手な格好をしてる分迫力も半端ない。知り合ったばかりの頃は何故か私の事を敵外視し、事ある毎にミッツを追い掛け回していた。ミッツ好きと私への敵外心との関係性は未だ不明だが、ちょっとしたおふざけでやった腕相撲で私に負けて以来急に崇拝されるようになってしまった。未だにミッツの事は大好きみたいだから顔を合わせるとキャッキャ言ってはしゃいでるけどね。
「顔と筋肉はゴツいけど舌は確かだからな、期待できんじゃね?」
「そうだね~化粧したゴリラだけどね~」
アンジェリカは見た目ゴツいが結構な乙女のハートの持ち主だ、それ聞いたら泣くぞ多分。
「それあの子には聞かせられないわ」
姉は運転しながら苦笑いしている。アンジェリカは見た目のゴツさとは裏腹にトークが面白いと女性客の人気が高い、趣味が高じてたまに占いをするのだがこれが結構当たるのよ。
「久し振りに占ってもらおうかな?」
「その前に男見る目養った方が良いんじゃな~い?」
ちょっと人の事男運無いみたいに言わないでよ! って言い返したいけどこのところの傾向だとそう言われても仕方がない……ぐすん。はぁ~一二三ははなから眼中に無いからともかく満田に関しては完全に汚点だ、付き合うに至らなかっただけマシというもの、梅雨ちゃんや姉は奴のクズっぷりを嗅ぎ分けてたって事だもんね。霜田さんは……正直者なだけ、彼への嫌悪感は無いのでリストからは外しておく。
「そうは言うけどよふゆ、相性ってもんは性格どうこうなんてすっ飛ばしちまうもんだからどうしようもねぇぞ」
「でも友達と会ってるところをぶった斬って拉致るのはアウトなんじゃないの~?」
「はぁっ? 昨夜は幼馴染の定例会だろ? そこ割って入るってどういう神経してんだよその男!」
そっか、秋都にはまだ話してなかったわ。う~ん、昨夜の郡司君の行動ってやっぱりモラル的にはどうかと思うのが普通だよね。
「ふゆ、今は楽しむ時でしょ? お姉ちゃんその話したくないなぁ」
「え~だって~」
「今しなきゃいけない話じゃないじゃない、アクセルとブレーキ踏み間違えちゃいそう」
姉はにこやかに恐ろしいひと言を投げ掛けてきた。
「はぁい、僕まだ死にたくな~い」
「だな。で、あとどんくらいで着くんだ?」
「十分くらいだと思う、ただ見付けにくいらしいのよ」
「そうなの~? ちゃんと目凝らさないとだね」
冬樹はお蕎麦食いたさに窓に張り付いてお店を探している。おい十分ずっとそうしてるつもりか? ただ変に凄い集中力があったりもするから本当にやりそうなんだよねぇ。
「おいふゆ、いくら目を凝らすにしても外観分かんなかったら意味無いだろ」
秋都が手にしている旅雑誌を冬樹に見せる。それ随分と可愛い表紙じゃない、どうしたんだそれ?
「これあき兄ちゃんのセンスじゃないよね~?」
「おぅ、まりちゃんに借りた」
「へぇ~、女の子ってこういうの好きそうだもんねぇ……あっ、あれじゃな~い?」
冬樹が指差した場所に視線をやるとどう見ても雑木林……。
「見付けにくいってこういうことだったの……?」
姉は車を減速させて雑木林に入っていった。
「いらっしゃいませ」
……で雑誌にも掲載されるほどのお蕎麦屋さんなのだが、出迎えてくれた従業員さんがアンジェリカそっくりのゴリマッチョ。名札を見ると店長と書かれているが名前までは分からない。普通に作務衣っぽい制服を着てらっしゃるので格闘技してらしてましたか? 系のワイルド男子なんだけど、体型も顔立ちも毛深さまでもがそっくりで思わず笑いそうになってしまう。
「予約してる五条と申します」
「お待ちしておりました、お席にご案内致します」
体型に似合った低音ボイスでなぜか個室に案内してもらい、ゆったりと椅子に座ると……
「兄がいつもお世話になってますぅ、いつ見てもお綺麗ねぇセナさん」
因みにセナとはオカマクラブで使っている姉の源氏名だ。それより急にお姉的になったぞ、まぁアンジェリカで免疫付いてるからそう見慣れなくもないんだけど格好がモロ男なだけに完全に初見だとかなりビックリしてたと思う。
「ご無沙汰してます海斗さん、あなたも相変わらずじゃない。今日は随分と静かだけど」
確かに。客は私たちしかいない。
「本来今日は夜営業のみなんですものぉ」
えっ? 私たちのためだけにお店開けてくれてたの?
「そこまでしなくて良かったのよ、帰りに寄るって事も出来るんだから」
「だって兄の恩人じゃないですかぁ、折角ですからこの景色をゆっくりご堪能頂きたくってぇ」
「お気持ちは嬉しいけど……」
「うわぁ~ここめちゃくちゃ景色良いよ~! 見て見て~」
無遠慮を地で行く冬樹は早速窓に張り付いて外の景色を観てはしゃいでいる。うん、紅葉具合も最高だな。この店中庭もあって手入れも行き届いてる、さすがは観光スポットらしい内装してるわ。
「折角開けてくださってんだ、素直にありがとうで受け取りゃいいじゃんか」
「それもそうね、お世話になります」
「勿論ですよぉ! 早速支度してきますねぇ」
海斗さんはゴツい体で可愛らしいガッツポーズを見せてから厨房に引っ込んでいった。
「お姉ちゃんにも言伝あるよ」
「杏璃から?」
うん。私は藤色の封書を姉に渡す。
「何かしら?」
姉は首を傾げつつもそれを受け取り、エプロンのポケットに入れた。私はリビングのソファに座って水色の封書を開けると、短い文章と私鉄沿線の老舗遊園地の無料招待チケットが同封されていた。これアレだ、地元新聞主催の懸賞ですな、杏璃当選者の一人だったんだ。
【親愛なるなつへ
体調はもう大丈夫ですか?お見舞いとしてぬいぐるみを作ったので良かったら飾ってやってください。
ところで○月×日空いてたら遊園地デートしませんか?チケットは同封しておきます、お返事待ってます。
杏璃】
杏璃からの手紙の内容はこんな感じだった。○月×日ということは二週間後の土曜日、予定は無いので早速メールを……と思ったがすでに深夜一時を回ってるので旅行明けにしよう。そろそろ寝ますかと姉に声を掛けようとしたが、ダイニングテーブルで杏璃からの手紙を読みながら渋い表情を浮かべている。
「う~ん……」
「お姉ちゃん?」
「……あぁ、そろそろ寝よっか」
姉は手紙をたたんで封筒に仕舞い、二階にある個人部屋に入った。
開け方に秋都が帰宅し、風呂に入って仮眠を取らせてから午前十時頃に出発した私たちは、隣県にある紅葉スポットして有名な県立公園に向かっていた。十一月上旬の今自宅近所ではまだ紅葉は見られないが、この辺りは内陸で昼夜の寒暖差が激しいせいなのか奥地へ行くほど広葉樹の葉に色が付き始めていた。
「やっぱり内陸部の方が早いわね」
深夜の渋い表情など微塵も見せず旅行を楽しんでいる姉に私たちは内緒であるサプライズを仕掛けてある。発案者は秋都、旅行会社ではほぼ全滅だった高級旅館を手配してとんでもなく安いお値段で風呂付き個室の旅館に泊まれる事になった。聞くと旅行会社をはしごしては振られまくっているところに田処ママンに出会い、事情を話すとご友人に高級旅館の女将をしている方がいて、たまたまキャンセルが出た風呂付き個室を普通ランク価格でご提供くださったのだ。
『一度きちんとしたお礼がしたかったの、友人も空きが出来るより良いって喜んでいたわ』
それを知った時はかなり驚愕した。だって一般庶民丸出しの私たちが風呂付き個室に泊まれるのよ! 秋都が話したかどうかは別として、タトゥーのある姉は温泉施設やプールの利用に制限があるのでこれはかなりありがたい。現時点で姉は温泉を諦めているはず、今回宿泊する街は近隣では温泉街としても有名な所なので普段誰よりも頑張っている姉には是非ゆっくりと疲れを癒やしてほしい。あともう一つあるのだが、これはまた後程にさせて頂こう。
「僕お腹空いたぁ~」
冬樹は道沿いにある蕎麦屋さんを尻目に早速ゴネる。
「お蕎麦食べたいの? もうちょっと先に良いお店あるらしいからそれまで待てない?」
「ホントに良いお店なの~?」
「アンジェリカ情報だから大丈夫よ」
姉はグルメ舌を持つ後輩の名前を出して頷いた。アンジェリカは私の二つ歳下で、姉に次ぐ古株のオカマホステスだ。彼女は身長百八十センチ以上あるゴリマッチョで、ど派手なメイクをしてど派手な格好をしてる分迫力も半端ない。知り合ったばかりの頃は何故か私の事を敵外視し、事ある毎にミッツを追い掛け回していた。ミッツ好きと私への敵外心との関係性は未だ不明だが、ちょっとしたおふざけでやった腕相撲で私に負けて以来急に崇拝されるようになってしまった。未だにミッツの事は大好きみたいだから顔を合わせるとキャッキャ言ってはしゃいでるけどね。
「顔と筋肉はゴツいけど舌は確かだからな、期待できんじゃね?」
「そうだね~化粧したゴリラだけどね~」
アンジェリカは見た目ゴツいが結構な乙女のハートの持ち主だ、それ聞いたら泣くぞ多分。
「それあの子には聞かせられないわ」
姉は運転しながら苦笑いしている。アンジェリカは見た目のゴツさとは裏腹にトークが面白いと女性客の人気が高い、趣味が高じてたまに占いをするのだがこれが結構当たるのよ。
「久し振りに占ってもらおうかな?」
「その前に男見る目養った方が良いんじゃな~い?」
ちょっと人の事男運無いみたいに言わないでよ! って言い返したいけどこのところの傾向だとそう言われても仕方がない……ぐすん。はぁ~一二三ははなから眼中に無いからともかく満田に関しては完全に汚点だ、付き合うに至らなかっただけマシというもの、梅雨ちゃんや姉は奴のクズっぷりを嗅ぎ分けてたって事だもんね。霜田さんは……正直者なだけ、彼への嫌悪感は無いのでリストからは外しておく。
「そうは言うけどよふゆ、相性ってもんは性格どうこうなんてすっ飛ばしちまうもんだからどうしようもねぇぞ」
「でも友達と会ってるところをぶった斬って拉致るのはアウトなんじゃないの~?」
「はぁっ? 昨夜は幼馴染の定例会だろ? そこ割って入るってどういう神経してんだよその男!」
そっか、秋都にはまだ話してなかったわ。う~ん、昨夜の郡司君の行動ってやっぱりモラル的にはどうかと思うのが普通だよね。
「ふゆ、今は楽しむ時でしょ? お姉ちゃんその話したくないなぁ」
「え~だって~」
「今しなきゃいけない話じゃないじゃない、アクセルとブレーキ踏み間違えちゃいそう」
姉はにこやかに恐ろしいひと言を投げ掛けてきた。
「はぁい、僕まだ死にたくな~い」
「だな。で、あとどんくらいで着くんだ?」
「十分くらいだと思う、ただ見付けにくいらしいのよ」
「そうなの~? ちゃんと目凝らさないとだね」
冬樹はお蕎麦食いたさに窓に張り付いてお店を探している。おい十分ずっとそうしてるつもりか? ただ変に凄い集中力があったりもするから本当にやりそうなんだよねぇ。
「おいふゆ、いくら目を凝らすにしても外観分かんなかったら意味無いだろ」
秋都が手にしている旅雑誌を冬樹に見せる。それ随分と可愛い表紙じゃない、どうしたんだそれ?
「これあき兄ちゃんのセンスじゃないよね~?」
「おぅ、まりちゃんに借りた」
「へぇ~、女の子ってこういうの好きそうだもんねぇ……あっ、あれじゃな~い?」
冬樹が指差した場所に視線をやるとどう見ても雑木林……。
「見付けにくいってこういうことだったの……?」
姉は車を減速させて雑木林に入っていった。
「いらっしゃいませ」
……で雑誌にも掲載されるほどのお蕎麦屋さんなのだが、出迎えてくれた従業員さんがアンジェリカそっくりのゴリマッチョ。名札を見ると店長と書かれているが名前までは分からない。普通に作務衣っぽい制服を着てらっしゃるので格闘技してらしてましたか? 系のワイルド男子なんだけど、体型も顔立ちも毛深さまでもがそっくりで思わず笑いそうになってしまう。
「予約してる五条と申します」
「お待ちしておりました、お席にご案内致します」
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「兄がいつもお世話になってますぅ、いつ見てもお綺麗ねぇセナさん」
因みにセナとはオカマクラブで使っている姉の源氏名だ。それより急にお姉的になったぞ、まぁアンジェリカで免疫付いてるからそう見慣れなくもないんだけど格好がモロ男なだけに完全に初見だとかなりビックリしてたと思う。
「ご無沙汰してます海斗さん、あなたも相変わらずじゃない。今日は随分と静かだけど」
確かに。客は私たちしかいない。
「本来今日は夜営業のみなんですものぉ」
えっ? 私たちのためだけにお店開けてくれてたの?
「そこまでしなくて良かったのよ、帰りに寄るって事も出来るんだから」
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無遠慮を地で行く冬樹は早速窓に張り付いて外の景色を観てはしゃいでいる。うん、紅葉具合も最高だな。この店中庭もあって手入れも行き届いてる、さすがは観光スポットらしい内装してるわ。
「折角開けてくださってんだ、素直にありがとうで受け取りゃいいじゃんか」
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