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cinqante-cinq
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それから一週間は通常運転で乗り切り、今日はてつこの娘杏璃と老舗遊園地へ。やっぱり新聞社の懸賞であった無料フリーパスを当てたとの事で、何故か私と行こうと思い立ったらしい。
「今日はお誘いありがとう、てつことじゃなくてよかったの?」
「うん、大人女子と行ってみたかったの。さすがに子供二人だとパパの許しは得られないし」
まぁそうだろうねぇ……てつこは娘可愛さのせいか少々口煩いところがあり、思春期と反抗期が混じってきてる杏璃にとっては“ウザい”存在になりつつある様だ。
「そうだ、はるちゃんへの手紙、渡してくれてありがとね」
手紙?あぁ藤色の……あの時渋い表情してたけど何が書いてあったんだろ?気になるけど聞くのはやめておこう。
「そう言えば二人で来るの初めてだよね?」
「うん。でもなつならジェットコースターとか付き合ってくれるじゃない、私の周り苦手な人多いんだよねぇ」
あぁ確かに。我が五条家だって男三人共絶叫系は苦手、中西家もおばちゃんは心臓悪くしちゃってるしてつこはメリーゴーランドも駄目だからね。奴は遊園地が全く楽しめ……お化け屋敷は平気なのよ何故か。
「私もだよ杏璃、あと思い付くのって恩さんくらいだわ」
「そっかぁ~。男の人って絶叫系が苦手な人多いのかなぁ?」
私たちはそう言いながら入場チケットを係の人に見せると、ゲートを越えた辺りで少々お待ちくださいと足止めされる。何だろ?と思って待っていると、そこそこ大きめで中身の詰まったビニールバッグを手渡された。
まずは中身をご確認くださいと言われてバッグの口を広げると、併設している動物園の看板アイドルであるせいこちゃん(ゾウ)のぬいぐるみ、同じく植物園にあるタワーをモチーフにしたボールペン、年内で営業終了となる観覧車のイラストが書かれたマグカップ、あとしおりっぽい冊子が一冊入っていた。
「お手数ですがしおりを出して頂けますか?幾つか説明事項がございますので」
係員さんに言われて私たちはしおりを取り出す。中には数枚のクーポン券が挟まれていて、主だった説明はその事だった。動物園からは入場割引券とせいこちゃん試乗割引券、植物園からは大人のお子様ランチの割引券とタワー観覧の割引券、ここ遊園地からは観覧車の割引券と一日フリーパスの割引券だった。年内までの観覧車を除くと三月末までの有効期限で、いずれも一枚につき二人まで(細かい事だけど大人のお子様ランチの割引クーポンは一組全員に適応)利用出来るとの事だ。観覧車の割引券は姉にあげよう、なんて考えてると杏璃に腕を突っ付かれる。
「観覧車の割引券とせいこちゃん試乗割引券と交換しない?」
うんいいよ。私はクーポンを交換し、観覧車の割引券の譲渡先を脳内で考え……弥生ちゃんにあげよう。一時期残業続きでまともにデート出来なかったって言ってたもんね、健吾さんとの休みの兼ね合いもあるだろうけど一日くらいなら何とかなるんじゃないかなと思う。けどせいこちゃん試乗割引権二枚もどうすんのかな?杏璃って基本動物苦手じゃなかったっけ?
「杏璃、動物苦手なの克服したの?」
「ううん、あげるアテがあるの」
あぁなるほどね、私子供の頃に乗ってるし大人になった今更ってのはちょっと恥ずかしいかな~。クラスの子にでもあげたら喜ばれるんじゃない?年末年始とか……混みそうだけど。
「んじゃ行きますか」
「うん、まずはやっぱりアレでしょ♪」
私たちは早速ジェットコースターに向けて遊園地内を歩き出した。
ひとしきり絶叫系アトラクションを巡り、叫びまわってストレス発散。心地良い空腹に誘われて少し早い昼食を摂ろうと植物園にあるタワーの展望台でランチを頂く事にする。折角割引クーポンがあるんだし、遊園地なんてそうしょっちゅう行かないから使っちゃう方がいいでしょ。
「いいのなつ?今日じゃなくても……」
「いいのいいの、そうしょっちゅう来れる訳じゃないんだから。杏璃の分は中西家で使いな」
「うん、そうする」
杏璃はちょっとてつこに似た大きな瞳を細めて笑い掛けてくれた。この子施設に居た時期もあって冷めてると言うか大人びたところがあるんだけど、こういう笑顔を見ると十二歳の女の子だなと思う。四歳だか五歳の頃から知ってるから、てつこのご両親に引き取られたばかりの無表情を思えば大分表情豊かになったと思う。
「恐れ入ります、相席をお願いしても宜しいでしょうか?」
へっ?思わず周囲をキョロキョロすると……うん、いつの間にか周囲は賑やかになっている。けど杏璃は相席が大の苦手だ、ここは申し訳ないけど……。
「これから込み入った内容の話をするので相席はちょっと……」
「畏まりました……っ、お客様!?それはちょっと困ります!」
こっちに一礼して踵を返そうとした店員さんの表情が変わり、断りもなく入店してきたカップル客に困惑している。まぁ普通は入り口で並んで待つなり名前記入して時間潰すとかするもんね、しかもそれが……。
「なつ、相席ええかな?」
……出来ればあなたには会いたくありませんでした。
「今日はお誘いありがとう、てつことじゃなくてよかったの?」
「うん、大人女子と行ってみたかったの。さすがに子供二人だとパパの許しは得られないし」
まぁそうだろうねぇ……てつこは娘可愛さのせいか少々口煩いところがあり、思春期と反抗期が混じってきてる杏璃にとっては“ウザい”存在になりつつある様だ。
「そうだ、はるちゃんへの手紙、渡してくれてありがとね」
手紙?あぁ藤色の……あの時渋い表情してたけど何が書いてあったんだろ?気になるけど聞くのはやめておこう。
「そう言えば二人で来るの初めてだよね?」
「うん。でもなつならジェットコースターとか付き合ってくれるじゃない、私の周り苦手な人多いんだよねぇ」
あぁ確かに。我が五条家だって男三人共絶叫系は苦手、中西家もおばちゃんは心臓悪くしちゃってるしてつこはメリーゴーランドも駄目だからね。奴は遊園地が全く楽しめ……お化け屋敷は平気なのよ何故か。
「私もだよ杏璃、あと思い付くのって恩さんくらいだわ」
「そっかぁ~。男の人って絶叫系が苦手な人多いのかなぁ?」
私たちはそう言いながら入場チケットを係の人に見せると、ゲートを越えた辺りで少々お待ちくださいと足止めされる。何だろ?と思って待っていると、そこそこ大きめで中身の詰まったビニールバッグを手渡された。
まずは中身をご確認くださいと言われてバッグの口を広げると、併設している動物園の看板アイドルであるせいこちゃん(ゾウ)のぬいぐるみ、同じく植物園にあるタワーをモチーフにしたボールペン、年内で営業終了となる観覧車のイラストが書かれたマグカップ、あとしおりっぽい冊子が一冊入っていた。
「お手数ですがしおりを出して頂けますか?幾つか説明事項がございますので」
係員さんに言われて私たちはしおりを取り出す。中には数枚のクーポン券が挟まれていて、主だった説明はその事だった。動物園からは入場割引券とせいこちゃん試乗割引券、植物園からは大人のお子様ランチの割引券とタワー観覧の割引券、ここ遊園地からは観覧車の割引券と一日フリーパスの割引券だった。年内までの観覧車を除くと三月末までの有効期限で、いずれも一枚につき二人まで(細かい事だけど大人のお子様ランチの割引クーポンは一組全員に適応)利用出来るとの事だ。観覧車の割引券は姉にあげよう、なんて考えてると杏璃に腕を突っ付かれる。
「観覧車の割引券とせいこちゃん試乗割引券と交換しない?」
うんいいよ。私はクーポンを交換し、観覧車の割引券の譲渡先を脳内で考え……弥生ちゃんにあげよう。一時期残業続きでまともにデート出来なかったって言ってたもんね、健吾さんとの休みの兼ね合いもあるだろうけど一日くらいなら何とかなるんじゃないかなと思う。けどせいこちゃん試乗割引権二枚もどうすんのかな?杏璃って基本動物苦手じゃなかったっけ?
「杏璃、動物苦手なの克服したの?」
「ううん、あげるアテがあるの」
あぁなるほどね、私子供の頃に乗ってるし大人になった今更ってのはちょっと恥ずかしいかな~。クラスの子にでもあげたら喜ばれるんじゃない?年末年始とか……混みそうだけど。
「んじゃ行きますか」
「うん、まずはやっぱりアレでしょ♪」
私たちは早速ジェットコースターに向けて遊園地内を歩き出した。
ひとしきり絶叫系アトラクションを巡り、叫びまわってストレス発散。心地良い空腹に誘われて少し早い昼食を摂ろうと植物園にあるタワーの展望台でランチを頂く事にする。折角割引クーポンがあるんだし、遊園地なんてそうしょっちゅう行かないから使っちゃう方がいいでしょ。
「いいのなつ?今日じゃなくても……」
「いいのいいの、そうしょっちゅう来れる訳じゃないんだから。杏璃の分は中西家で使いな」
「うん、そうする」
杏璃はちょっとてつこに似た大きな瞳を細めて笑い掛けてくれた。この子施設に居た時期もあって冷めてると言うか大人びたところがあるんだけど、こういう笑顔を見ると十二歳の女の子だなと思う。四歳だか五歳の頃から知ってるから、てつこのご両親に引き取られたばかりの無表情を思えば大分表情豊かになったと思う。
「恐れ入ります、相席をお願いしても宜しいでしょうか?」
へっ?思わず周囲をキョロキョロすると……うん、いつの間にか周囲は賑やかになっている。けど杏璃は相席が大の苦手だ、ここは申し訳ないけど……。
「これから込み入った内容の話をするので相席はちょっと……」
「畏まりました……っ、お客様!?それはちょっと困ります!」
こっちに一礼して踵を返そうとした店員さんの表情が変わり、断りもなく入店してきたカップル客に困惑している。まぁ普通は入り口で並んで待つなり名前記入して時間潰すとかするもんね、しかもそれが……。
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