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言い訳と隙間風
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大学では言われたとおり先輩と後輩として接していた。多分だが私たちの仲を疑ってる人は誰もいないと思う。周りの人たちも変わりなく、日は一瞬のズレもなく進んでいく。
夏休みに入っても半分くらいは学校に通っていた。ゼミなどで勉強をしなければならず、これをサボると単位を落としてしまうからだ。高校までの夏休みのようにはいかず、案外忙しくなってなかなかデートする時間も取れずにいると萩君からメールで呼び出された。
「忙しいのは分かるけど、連絡とかはほしいよね」
彼はそう言ってセックスを要求してくる。私も愛されたいという気持ちが勝ってそれを受け入れる。その時間はとても幸せで満たされた気持ちになるが、何故かあの時の言葉も蘇って同時に寂しさが湧き上がってきた。
そんなこんなで夏休みはほぼ潰れ、今や実家と言えなくもない叔母宅には戻らなかった。初盆だから顔くらい出せと叔母には言われたが、さくらと顔を合わせるのが嫌でその日は彼を優先した。アルバイトにもなかなか顔を出せなかったので店長から見舞いのような電話が何度かあり、予想以上に学業が忙しいと言い訳すると本業はそっちだからと特に咎められはしなかった。
もうじき夏休みを終える九月下旬のある日、滅多に鳴らない自宅のインターフォンがピンポン♪ と鳴る。彼かもと思って勢いよく玄関を開けるとリョウが紙袋を持って立っていた。
「えっ?」
正直面食らった。初盆をすっぽかしたので叔母あたりが説教に来る可能性は多少考えていたが、一番来そうにない男が目の前に立っているのがにわかに信じられなかった。
「普通親の初盆くらいは顔出さねぇか?」
「ゼミのレポート溜まってて……」
奴は私の言い訳にため息を吐く。相変わらず前髪が鬱陶しいが瞳の美しさも変わっていない。
「馬鹿じゃねぇの? 半日開けるくらいでどうこうなるもんじゃねぇだろうが」
「なる、あんたには分かんないだろうけど」
リョウが高卒なのは叔母から聞いて知っていた。調理科のある高校に進学し、卒業してからずっと彼処に住み着いている。けど自分自身が放ったひと言に嫌な気持ちが心に宿る、リョウは無反応でいたが、何となく言うんじゃなかったと後悔した。
「コレだけ持ってきた、なつひさんから」
奴は紙袋を持った左腕を私に差し出してくる。取り敢えずそれを受け取ると、じゃあとも言わずあっさりと背を向けた。その直後に通った風が虚しく感じられ、しばらく呆然と突っ立っていた。
夏休みに入っても半分くらいは学校に通っていた。ゼミなどで勉強をしなければならず、これをサボると単位を落としてしまうからだ。高校までの夏休みのようにはいかず、案外忙しくなってなかなかデートする時間も取れずにいると萩君からメールで呼び出された。
「忙しいのは分かるけど、連絡とかはほしいよね」
彼はそう言ってセックスを要求してくる。私も愛されたいという気持ちが勝ってそれを受け入れる。その時間はとても幸せで満たされた気持ちになるが、何故かあの時の言葉も蘇って同時に寂しさが湧き上がってきた。
そんなこんなで夏休みはほぼ潰れ、今や実家と言えなくもない叔母宅には戻らなかった。初盆だから顔くらい出せと叔母には言われたが、さくらと顔を合わせるのが嫌でその日は彼を優先した。アルバイトにもなかなか顔を出せなかったので店長から見舞いのような電話が何度かあり、予想以上に学業が忙しいと言い訳すると本業はそっちだからと特に咎められはしなかった。
もうじき夏休みを終える九月下旬のある日、滅多に鳴らない自宅のインターフォンがピンポン♪ と鳴る。彼かもと思って勢いよく玄関を開けるとリョウが紙袋を持って立っていた。
「えっ?」
正直面食らった。初盆をすっぽかしたので叔母あたりが説教に来る可能性は多少考えていたが、一番来そうにない男が目の前に立っているのがにわかに信じられなかった。
「普通親の初盆くらいは顔出さねぇか?」
「ゼミのレポート溜まってて……」
奴は私の言い訳にため息を吐く。相変わらず前髪が鬱陶しいが瞳の美しさも変わっていない。
「馬鹿じゃねぇの? 半日開けるくらいでどうこうなるもんじゃねぇだろうが」
「なる、あんたには分かんないだろうけど」
リョウが高卒なのは叔母から聞いて知っていた。調理科のある高校に進学し、卒業してからずっと彼処に住み着いている。けど自分自身が放ったひと言に嫌な気持ちが心に宿る、リョウは無反応でいたが、何となく言うんじゃなかったと後悔した。
「コレだけ持ってきた、なつひさんから」
奴は紙袋を持った左腕を私に差し出してくる。取り敢えずそれを受け取ると、じゃあとも言わずあっさりと背を向けた。その直後に通った風が虚しく感じられ、しばらく呆然と突っ立っていた。
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