21 / 38
21
しおりを挟む
むかしむかし、小さい頃によく聞いた御伽話。辛い思いをしていた女の子が、ある日魔法使いに出会って、素敵な王子様と出会う。でも、魔法は12時には解けてしまう。魔法が解けてしまう前に、王子様の前からいなくなる女の子。でも、王子様は、女の子の忘れていった物を手掛かりに、女の子を見つけ、幸せになる素敵な御伽話。
そんな風にいつか私にも王子様がと夢見ていた頃がありました。
ええ、ありました。
大人になるにつれて、そんな御伽話が、自分の身に起こるわけないって現実を知っていくのですから。
あの出来事から数ヶ月後
年に一度の花祭りがやってきました!
花祭りは、豊かな水源によってもたらされた穀物と色鮮やかな花で、実りある日々に感謝をする日です。豊穣祭りと似ているかもしれませんね。花祭りと言われる由縁は、この国を作った神様が花の神様であったという言い伝えからきています。その為、町中に色とりどりの花を飾り、花祭り当日は参加者全員が身体のどこかに花を付けて祝いの気持ちを示すのです。
そうです。花祭りです。花が大好きな私にとってこれ以上ないくらい幸せな日になるのですが。察しのいい方ならもうわかると思います。
花祭りは花が大量に注文される日。つまり、私の働いている花屋も例外ではなく、年に一度の繁忙期です。
ええ、それはもう、こんな田舎町の花屋も都会に駆り出される位なんです。
花束を作る。切花の手入れ。花の仕入れから、当日の出店準備に至るまで。この前の出来事を振り返る暇がないくらい大忙しでした。
都会の大きな噴水のある広場が、花祭りの会場となります。
今年もいつもの場所に出店をして、オーナーと交代で店番です。
花が散りばめられた噴水の周りには、たくさんの人で溢れかえっています。
お店も多く出店し、時々いい香りが鼻をくすぐります。お腹すいてきたなぁ。なんて考えていると、
「ミアー!!」
「クレア!」
クレアがマイケル様と一緒にお店に来てくれました。
「花屋さんも大変よね。あ、お腹空いてると思ってさっき買ったサンドイッチ、良ければ食べてね。」
「クレア良くわかってるーー!!ありがとうーー!!」
あの出来事があってからもずっとクレアは、私と仲良くしてくれて、気の合う親友というものは、出会った時間の長さなんて関係ないものなんですね。
「今日はマイケル様とデートなのね!」
「そうなの!ようやくよ!」
「仕事が忙しかったんだ。今日はきちんとその埋め合わせをさせてもらうよ。」
恋仲の2人は誰が見ても幸せそうで、少しだけ、ほんの少しだけ、あの時、彼ともう少しお話しが出来ていたらと妄想を膨らませてしまいます。いやいや、だめですね!今は仕事中!気合いを入れなくては!
「差し入れありがとう!楽しんできてね!」
「楽しんでくるわ!ミアも!今日は、貴族も一般市民も関係ないわ。素敵な出会いがあったら今度こそ逃しちゃだめよ!そして、私に1番に教えてね!」
「あははっ、そうだね!がんばりまーす!」
「じゃあ、またねー!」
優しく寄り添い合うクレアとマイケル様。ちょっと羨ましいその背中を見送り、花の手入れを再開し始めた時でした。
「すみません。この赤い薔薇を一本下さい。」
『この意味、わかるよな?』
似ている。あの時の彼の声に。
反射的にお客様の顔を見ます。ですが、あの時は仮面越し、彼の顔も名前さえも知らないのです。突然私が顔を上げたので、お客さんもびっくりした表情です。
「す、すみません!びっくりしてしまって!赤い薔薇を一本ですね!用意しますので、少しお待ちください。」
慌てて、薔薇の手入れに集中し、完成させて、彼に代金と引き換えに薔薇を渡します。
「ありがとうございました!良い一日を!」
「君は、もしかして、あの時の。」
「え?」
今、あの時のって言いましたか?え、本当にこの人があの仮面の男性だったのでしょうか?
確かに声色と背格好は似ていますが、瞳の色が違う気がするんです。彼は綺麗な漆黒だったのに、この方はグレーの瞳。でも、あの時のってことは、あの会場にいたということなのでしょうか?
色々な思考が頭の中で忙しなくよぎり、少し固まっていると、
「いや、あそこには貴族しかいなかったはずだ。このお嬢さんなわけがない。」
はい、そうです。聞こえてますー!一般市民が入れる場所ではなかったですからね!!なんかもう、ここまでハッキリ言われると悲しさを乗り越えてどうでも良くなってきますね!!
と心の中でツッコミを入れていると。
「花、買えたのか?」
この声は。
そんな風にいつか私にも王子様がと夢見ていた頃がありました。
ええ、ありました。
大人になるにつれて、そんな御伽話が、自分の身に起こるわけないって現実を知っていくのですから。
あの出来事から数ヶ月後
年に一度の花祭りがやってきました!
花祭りは、豊かな水源によってもたらされた穀物と色鮮やかな花で、実りある日々に感謝をする日です。豊穣祭りと似ているかもしれませんね。花祭りと言われる由縁は、この国を作った神様が花の神様であったという言い伝えからきています。その為、町中に色とりどりの花を飾り、花祭り当日は参加者全員が身体のどこかに花を付けて祝いの気持ちを示すのです。
そうです。花祭りです。花が大好きな私にとってこれ以上ないくらい幸せな日になるのですが。察しのいい方ならもうわかると思います。
花祭りは花が大量に注文される日。つまり、私の働いている花屋も例外ではなく、年に一度の繁忙期です。
ええ、それはもう、こんな田舎町の花屋も都会に駆り出される位なんです。
花束を作る。切花の手入れ。花の仕入れから、当日の出店準備に至るまで。この前の出来事を振り返る暇がないくらい大忙しでした。
都会の大きな噴水のある広場が、花祭りの会場となります。
今年もいつもの場所に出店をして、オーナーと交代で店番です。
花が散りばめられた噴水の周りには、たくさんの人で溢れかえっています。
お店も多く出店し、時々いい香りが鼻をくすぐります。お腹すいてきたなぁ。なんて考えていると、
「ミアー!!」
「クレア!」
クレアがマイケル様と一緒にお店に来てくれました。
「花屋さんも大変よね。あ、お腹空いてると思ってさっき買ったサンドイッチ、良ければ食べてね。」
「クレア良くわかってるーー!!ありがとうーー!!」
あの出来事があってからもずっとクレアは、私と仲良くしてくれて、気の合う親友というものは、出会った時間の長さなんて関係ないものなんですね。
「今日はマイケル様とデートなのね!」
「そうなの!ようやくよ!」
「仕事が忙しかったんだ。今日はきちんとその埋め合わせをさせてもらうよ。」
恋仲の2人は誰が見ても幸せそうで、少しだけ、ほんの少しだけ、あの時、彼ともう少しお話しが出来ていたらと妄想を膨らませてしまいます。いやいや、だめですね!今は仕事中!気合いを入れなくては!
「差し入れありがとう!楽しんできてね!」
「楽しんでくるわ!ミアも!今日は、貴族も一般市民も関係ないわ。素敵な出会いがあったら今度こそ逃しちゃだめよ!そして、私に1番に教えてね!」
「あははっ、そうだね!がんばりまーす!」
「じゃあ、またねー!」
優しく寄り添い合うクレアとマイケル様。ちょっと羨ましいその背中を見送り、花の手入れを再開し始めた時でした。
「すみません。この赤い薔薇を一本下さい。」
『この意味、わかるよな?』
似ている。あの時の彼の声に。
反射的にお客様の顔を見ます。ですが、あの時は仮面越し、彼の顔も名前さえも知らないのです。突然私が顔を上げたので、お客さんもびっくりした表情です。
「す、すみません!びっくりしてしまって!赤い薔薇を一本ですね!用意しますので、少しお待ちください。」
慌てて、薔薇の手入れに集中し、完成させて、彼に代金と引き換えに薔薇を渡します。
「ありがとうございました!良い一日を!」
「君は、もしかして、あの時の。」
「え?」
今、あの時のって言いましたか?え、本当にこの人があの仮面の男性だったのでしょうか?
確かに声色と背格好は似ていますが、瞳の色が違う気がするんです。彼は綺麗な漆黒だったのに、この方はグレーの瞳。でも、あの時のってことは、あの会場にいたということなのでしょうか?
色々な思考が頭の中で忙しなくよぎり、少し固まっていると、
「いや、あそこには貴族しかいなかったはずだ。このお嬢さんなわけがない。」
はい、そうです。聞こえてますー!一般市民が入れる場所ではなかったですからね!!なんかもう、ここまでハッキリ言われると悲しさを乗り越えてどうでも良くなってきますね!!
と心の中でツッコミを入れていると。
「花、買えたのか?」
この声は。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。
四季
恋愛
本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
【完結済】25年目の厄災
紫
恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。
だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは……
25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる