道端の花にだって、人生はある。

保科ゆみ

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「あの日、俺はとある事情があって、あんな格好で出席せざるを得なかった。その理由はまだ言えないが、もし、ミアがそんな俺でもいいと思えるなら、まだお互い知らないことばかりなんだ。まずは友達からでいい。俺と付き合ってくれるか?」


「レオ。」

きちんと、私に向き合ってくれるレオ。そんなレオにこたえる為にも、私も心にわだかまりを残したままではいけないですね。私は1番心に引っ掛かっていることを聞くことにします。

「レオは私の生い立ちと今の立場を知っている?」

そうです。あの日何より心に影をさしたものは、私の立場。
元没落貴族。現一般市民。
好きになってからでは遅い。今ならまだ傷は浅く戻ることが出来る。レオがあの場にいたなら貴族。私は一般市民。簡単に頷くことなんて出来ないんです。

私はレオの言葉を待ちます。
レオは少し考えた後、

「ああ、知っている。」

「それなら!」

「だから、なんだ?」

「え?」

「俺は自分の心に嘘はつきたくない。あんな姿の俺にそっと手を差し伸べてくれた。一緒にダンスをして今まで感じたことがないくらい楽しかった。気になったら俺はとことん相手のことを知りたいんだ。」

「何言ってるの?今ならまだお互いのことをよく知らないから、元の関係に戻れる。何より立場が違えば、私だけじゃない!レオが周りの人から嫌味をたくさん言われることになる!私のせいでそんなことになるのは嫌なの!」

「そうか。」

「?」

「ミアは自分ことだけ心配してればいいのに、俺の心配までしてくれてるのか。」

「え?そんなの当たり前。」

「当たり前なんかじゃねぇよ。やっぱり、俺の目に狂いはなかったな。」

「何言って。」

「俺は立場は気にしない。気になった女が目の前にいるんだ。手に入れようとするのが、男だろう?立場関係なく、今もそうやって俺のことを気にかけてくれるミアだから好きになったんだ。まぁ、今好きって言った所で信じてはもらえないだろうけどな。」

レオは長く細い息を吐いた後、私に訊ねます。

「ミア、もし、もしだ、立場が関係ないとすれば、ミアは俺の気持ちにどう答えてくれる?」

「え?そんなのありえない。」

「いいから、考えてみてくれよ。」

もし、立場が関係ないなら?
私はあの日、レオに恋という認識までには至らないものの、何か感じるところがあった。レオは友達からと言ってくれているなら、私は少しずつレオのことを知ってみたい。小さな頃、憧れていた恋というものをしてみたい。だから。

「もし、立場が平等であるなら、私はレオのことを知っていきたい。これが恋になるのかはまだわからないけど、恋をしてみたい。」


私が言うとレオをふわっと笑ってくれた。

「そうか。今はその気持ちが聞けただけでも充分だ。ミア、もう一度言う。俺は立場は気にしない。ただ、今の世間は立場が重要視されてるのも事実だ。気にするなと言った所で、ミアは気になるだろうし、全ての悪意から守ることも出来ない。でもな。」

レオは私の目をしっかりと見てこう言いました。

「自分の気持ちに蓋をして、嘘をつき続ける方が辛いんだ。ミア、告白は今は保留でいいが、後悔しない返答を必ずくれ。」

後悔しない選択。
自分の気持ちを素直に出せないのは、本当に辛いです。レオは私が欲しい答えをきちんと言葉にして伝えてくれる。それが嬉しいような恥ずかしいような気持ちになります。

「わかった。今は色んなことがありすぎて、すぐには答えを出せないけど、必ず後悔しない返事を伝えるよ。レオ、ありがとう。」

私がそういうと、レオも穏やかに笑い、

「じゃあ、とりあえずパーティーのパートナーよろしくな!」


「なんで???」

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