道端の花にだって、人生はある。

保科ゆみ

文字の大きさ
30 / 38

30

しおりを挟む
レオと来たのはガーネット家の近くにある薔薇園です。人はいますが、まばらなので、人目を気にせずにいられそうです。

薔薇園に着き、ベンチに座ると何から話せばいいのか困る私に気を遣ってくれたのか、レオが話し始めます。

「ごめんな。大変な思いさせちまって。」

「え?」

「俺がダンスのパートナーを頼まなければ、ミアはこんな大変な思いせずに好きな花に囲まれて仕事出来てるんだよなって。でも、あの日あんな格好の俺にそっと手を差しのべてくれたミアに、心惹かれたし、機会を得られるなら、もう一度パートナーとして一緒に踊りたかったんだ。」

デートとさっきあんなに明るく言っていたのに、まさかのレオからの発言に私は思わず、

「私は後悔してないよ。」

「ミア。」

「確かに、私は没落貴族になったことで、辛いことをたくさん経験したよ。だから今ある心穏やかに過ごせる日常を壊したくないって思って変化を拒んでた。でも、あの日クレアの代わりにパーティーに出ようと決めたのは自分自身。」

レオは私の目をしっかり見て話を聞いてくれてます。

「あの格好の彼がレオだとは勿論知らなかったし、正直過去の私と重なる所を見つけて、過去の私を助けたい気持ちになって手を差し伸べたの。まぁ、それがきっかけで、自分の今の立場が惨めに思えて、逃げて、たくさん泣いたけどね。」

私が苦笑いをしてると、レオがそっと私の手を握ってくれました。

「ごめん。」

「レオが謝ることじゃないよ。でもあの日があったから、今があるんだって最近思えるようになってきたの。」

そうなのだ。決めたのは全て自分自身。あの日参加しなければ良かったとは思ったが、色んな花を見れたし、美味しい料理も食べれたし、この件があったからこそクレアという友人ができた。辛いことがあった時、そのきっかけを責めてしまいがちだが、悪いことばかりでもないことに気付けたら乗り越えられるのだ。

「そうか。ミアは強いな。」

レオがそう言うと、誰かが数人こちらへ近づいてきます。

「よぉ!没落貴族のミア・ハーネットさん!まさかこんな所で出会うなんてな。」

ねちっこい声に、細長い目。忘れたくても忘れられない相手。

「プーア・イルソン」

「お、名前覚えててくれて嬉しいぜ。何?男連れってことは、お前娼婦にでもなったのか?まぁ、顔は悪くないからな。それで稼いでるんなら俺が買ってやろうか?」

男を連れてるから娼婦という考え方が下衆です。名前も言いたくないので以下全てこいつにしますが、こいつは、私が没落貴族になる前から学校で、何かにつけて人を怒らせるようなことばかり言ってきてました。特に没落貴族になってからは拍車を増して絡んでくるので、本当に迷惑していたんです。毎日毎日絡んで来られれば嫌でも名前と顔は覚えますよね。というか、いきなりきて、初対面の方がいるのにも関わらず、そんなことを言ってのけてしまうこいつ、どうなんですかね?
とりあえず、レオにも迷惑が掛かるので応戦しようと口を開きかけると。

「お話し中失礼。貴方は彼女と知り合いで?」

「ん?ああ!そうなんだよ!元々貴族学校が一緒だったんだが、こいつの爺さんが馬鹿だったばっかりに、没落しちまってさ!んで、だーれも相手にされなくなってたから、俺が話し相手になってあげてたって訳。」

こいつが、自慢げにそう言うと連れの男達もそれを聞いて笑います。
本当にいちいち腹が立つ。私のお祖父様を馬鹿呼ばわりされる筋合いはないし、話し相手がいなくても、こいつの場合は私のことを一方的に揶揄いの的にしてただけでしょうが!!

「あの!」
「そうですか。」

わたしの言葉を遮って、レオが静かに立ち上がります。
あ、あれ?な、なんか雰囲気が。

こ、怖い?



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。

四季
恋愛
本を返すため婚約者の部屋へ向かったところ、女性を連れ込んでよく分からないことをしているところを目撃してしまいました。

【完結済】25年目の厄災

恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。 だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは…… 25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

処理中です...