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レオと来たのはガーネット家の近くにある薔薇園です。人はいますが、まばらなので、人目を気にせずにいられそうです。
薔薇園に着き、ベンチに座ると何から話せばいいのか困る私に気を遣ってくれたのか、レオが話し始めます。
「ごめんな。大変な思いさせちまって。」
「え?」
「俺がダンスのパートナーを頼まなければ、ミアはこんな大変な思いせずに好きな花に囲まれて仕事出来てるんだよなって。でも、あの日あんな格好の俺にそっと手を差しのべてくれたミアに、心惹かれたし、機会を得られるなら、もう一度パートナーとして一緒に踊りたかったんだ。」
デートとさっきあんなに明るく言っていたのに、まさかのレオからの発言に私は思わず、
「私は後悔してないよ。」
「ミア。」
「確かに、私は没落貴族になったことで、辛いことをたくさん経験したよ。だから今ある心穏やかに過ごせる日常を壊したくないって思って変化を拒んでた。でも、あの日クレアの代わりにパーティーに出ようと決めたのは自分自身。」
レオは私の目をしっかり見て話を聞いてくれてます。
「あの格好の彼がレオだとは勿論知らなかったし、正直過去の私と重なる所を見つけて、過去の私を助けたい気持ちになって手を差し伸べたの。まぁ、それがきっかけで、自分の今の立場が惨めに思えて、逃げて、たくさん泣いたけどね。」
私が苦笑いをしてると、レオがそっと私の手を握ってくれました。
「ごめん。」
「レオが謝ることじゃないよ。でもあの日があったから、今があるんだって最近思えるようになってきたの。」
そうなのだ。決めたのは全て自分自身。あの日参加しなければ良かったとは思ったが、色んな花を見れたし、美味しい料理も食べれたし、この件があったからこそクレアという友人ができた。辛いことがあった時、そのきっかけを責めてしまいがちだが、悪いことばかりでもないことに気付けたら乗り越えられるのだ。
「そうか。ミアは強いな。」
レオがそう言うと、誰かが数人こちらへ近づいてきます。
「よぉ!没落貴族のミア・ハーネットさん!まさかこんな所で出会うなんてな。」
ねちっこい声に、細長い目。忘れたくても忘れられない相手。
「プーア・イルソン」
「お、名前覚えててくれて嬉しいぜ。何?男連れってことは、お前娼婦にでもなったのか?まぁ、顔は悪くないからな。それで稼いでるんなら俺が買ってやろうか?」
男を連れてるから娼婦という考え方が下衆です。名前も言いたくないので以下全てこいつにしますが、こいつは、私が没落貴族になる前から学校で、何かにつけて人を怒らせるようなことばかり言ってきてました。特に没落貴族になってからは拍車を増して絡んでくるので、本当に迷惑していたんです。毎日毎日絡んで来られれば嫌でも名前と顔は覚えますよね。というか、いきなりきて、初対面の方がいるのにも関わらず、そんなことを言ってのけてしまうこいつ、どうなんですかね?
とりあえず、レオにも迷惑が掛かるので応戦しようと口を開きかけると。
「お話し中失礼。貴方は彼女と知り合いで?」
「ん?ああ!そうなんだよ!元々貴族学校が一緒だったんだが、こいつの爺さんが馬鹿だったばっかりに、没落しちまってさ!んで、だーれも相手にされなくなってたから、俺が話し相手になってあげてたって訳。」
こいつが、自慢げにそう言うと連れの男達もそれを聞いて笑います。
本当にいちいち腹が立つ。私のお祖父様を馬鹿呼ばわりされる筋合いはないし、話し相手がいなくても、こいつの場合は私のことを一方的に揶揄いの的にしてただけでしょうが!!
「あの!」
「そうですか。」
わたしの言葉を遮って、レオが静かに立ち上がります。
あ、あれ?な、なんか雰囲気が。
こ、怖い?
薔薇園に着き、ベンチに座ると何から話せばいいのか困る私に気を遣ってくれたのか、レオが話し始めます。
「ごめんな。大変な思いさせちまって。」
「え?」
「俺がダンスのパートナーを頼まなければ、ミアはこんな大変な思いせずに好きな花に囲まれて仕事出来てるんだよなって。でも、あの日あんな格好の俺にそっと手を差しのべてくれたミアに、心惹かれたし、機会を得られるなら、もう一度パートナーとして一緒に踊りたかったんだ。」
デートとさっきあんなに明るく言っていたのに、まさかのレオからの発言に私は思わず、
「私は後悔してないよ。」
「ミア。」
「確かに、私は没落貴族になったことで、辛いことをたくさん経験したよ。だから今ある心穏やかに過ごせる日常を壊したくないって思って変化を拒んでた。でも、あの日クレアの代わりにパーティーに出ようと決めたのは自分自身。」
レオは私の目をしっかり見て話を聞いてくれてます。
「あの格好の彼がレオだとは勿論知らなかったし、正直過去の私と重なる所を見つけて、過去の私を助けたい気持ちになって手を差し伸べたの。まぁ、それがきっかけで、自分の今の立場が惨めに思えて、逃げて、たくさん泣いたけどね。」
私が苦笑いをしてると、レオがそっと私の手を握ってくれました。
「ごめん。」
「レオが謝ることじゃないよ。でもあの日があったから、今があるんだって最近思えるようになってきたの。」
そうなのだ。決めたのは全て自分自身。あの日参加しなければ良かったとは思ったが、色んな花を見れたし、美味しい料理も食べれたし、この件があったからこそクレアという友人ができた。辛いことがあった時、そのきっかけを責めてしまいがちだが、悪いことばかりでもないことに気付けたら乗り越えられるのだ。
「そうか。ミアは強いな。」
レオがそう言うと、誰かが数人こちらへ近づいてきます。
「よぉ!没落貴族のミア・ハーネットさん!まさかこんな所で出会うなんてな。」
ねちっこい声に、細長い目。忘れたくても忘れられない相手。
「プーア・イルソン」
「お、名前覚えててくれて嬉しいぜ。何?男連れってことは、お前娼婦にでもなったのか?まぁ、顔は悪くないからな。それで稼いでるんなら俺が買ってやろうか?」
男を連れてるから娼婦という考え方が下衆です。名前も言いたくないので以下全てこいつにしますが、こいつは、私が没落貴族になる前から学校で、何かにつけて人を怒らせるようなことばかり言ってきてました。特に没落貴族になってからは拍車を増して絡んでくるので、本当に迷惑していたんです。毎日毎日絡んで来られれば嫌でも名前と顔は覚えますよね。というか、いきなりきて、初対面の方がいるのにも関わらず、そんなことを言ってのけてしまうこいつ、どうなんですかね?
とりあえず、レオにも迷惑が掛かるので応戦しようと口を開きかけると。
「お話し中失礼。貴方は彼女と知り合いで?」
「ん?ああ!そうなんだよ!元々貴族学校が一緒だったんだが、こいつの爺さんが馬鹿だったばっかりに、没落しちまってさ!んで、だーれも相手にされなくなってたから、俺が話し相手になってあげてたって訳。」
こいつが、自慢げにそう言うと連れの男達もそれを聞いて笑います。
本当にいちいち腹が立つ。私のお祖父様を馬鹿呼ばわりされる筋合いはないし、話し相手がいなくても、こいつの場合は私のことを一方的に揶揄いの的にしてただけでしょうが!!
「あの!」
「そうですか。」
わたしの言葉を遮って、レオが静かに立ち上がります。
あ、あれ?な、なんか雰囲気が。
こ、怖い?
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