道端の花にだって、人生はある。

保科ゆみ

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「皆の諸君、今宵は良くぞ参った。楽しいひとときを過ごしてくれたまえ。乾杯。」

「ミア、少しだけ会場を回ってくる。すぐ戻ってくるから、ここで待っててくれ。」

「わかりました。」

レオは私にそういうとすぐに人混みに紛れていきました。

私は会場を見回した後、何気なくプラント国王夫妻を見ます。プラント国王夫妻は国民が憧れるいわゆるおしどり夫婦と呼ばれる程仲が良いことで知られています。今も国王様の御言葉の後は2人で時折言葉を交わしながら微笑まれる姿に私を始め、憧れている貴族のご令嬢方は目の保養と言わんばかりにうっとりとその姿を見ています。

「(不安は尽きないけど、もし身分違いでもこの恋が許されるなら、プラント国王夫妻のようになりたいですね。)」

そんなことを考えていると、何やら足元に杖が倒れてきました。

「っ!(危なかったです。驚いて大きな声を出してしまうところでした。)」

倒れてきた先を見ると妙齢の男の方が手を滑らせて倒してしまったようでした。本来ならドレスを纏っている女性としてしゃがむのはあまり良くないのですが、杖を使ってるということは足腰が悪いということ。そんな高齢の方を動かすわけにはいかないので、私は素早く拾って立ち上がることにしました。そんな私の行動に驚いた表情をされています。

「これは申し訳ないことをしました。素敵なお嬢様のドレスを汚した挙句、杖を拾わせてしまうなど。」

「いいえ。杖が私にもたれかかってきたのを支えただけですわ。むしろ勝手に大切な杖に触れてしまい申し訳ございません。」

私の言葉に更に目を丸くさせた後、はっはっはっと柔らかい表情で笑って下さいました。

「これは一本取られましたな。ありがとう。素敵な女性である貴方と少しお話しもしたかったが、私も用事がある為、今はこれで失礼します。素敵な舞踏会を。」

すらりとした身のこなしで、あっという間に私の前からいなくなったのでした。

「ミア。そばを離れて悪かった。何かあったか?」

先程の方と入れ違いにレオが帰ってきたのですが、レオに報告するほどのことでもないなと思った私は何もなかったとレオに伝えたのでした。


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