道端の花にだって、人生はある。

保科ゆみ

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時は遡り、舞踏会前日。

「ねぇ、レオ。」

「なんだ?明日何か不安か?」

「不安は不安だけど、レオの本当の舞踏会参加の目的って何?」

「・・・・。」

「言いたくないならいいの。私をパートナーにすることで、他の女性が寄ってこないようにするってことはすぐわかるけど、ほら、元貴族だからさ。こういう舞踏会って、商売とか、情報収集とか色々な側面があることの方が多いから。もし、誰かと話がしたいとかそう言うことがあるなら、探すの手伝えるかなって思っただけ。」

私が言った言葉に目を丸めて瞬きをした後、レオは、目を瞑り、

「あー。まだ話せる段階じゃないならなー。まぁ、接触相手を知る権利はミアにもあるもんなー。」

と言ってとある資料を私に渡してくれました。

「これは?」

「俺が当日話を聞きたい接触相手の資料。」

ぱらぱらと資料に目を通します。人数は片手で数えられるほどで少ないのですが、

「え?プラント国の宰相様を初め筆頭貴族の方達ばかり。」

「そ、だからミアはとりあえず俺の隣で俺の恋人らしく微笑んで寄り添ってくれてればいいんです。」

「た、確かに私には恐れ多くまだ荷が重い方達すぎる。わ、わかった。でも、とりあえず、名前は間違えないように改めて覚え直しておくね。」

「ミアの気遣い嬉しかったぜ。ありがとな。」



というやりとりを経て、現在レオに寄り添いながら、プラント国の宰相様であるソイル・クレバー様にお話をしている最中です。モノルクを掛け、すらりとした高身長で、長年国王陛下の右腕として手腕を振るってきたプラント国の要的な存在の方ですね。とりあえず、無礼のないように、影になりたい心境です。


「ご機嫌よう。アンサス国からよくお越しくださいました。」

「こちらこそ、お招き頂きありがとうございます。」

「ふむ。場所を変えた方が良い話でしょうかな?」

さ、さすが、長年の国家を動かしてきただけあって、こちらが接触してきた理由をすぐに察知されてます。ここまでくると頭の中全部見られてそうで怖いですね。


「いや、結構です。少しばかり聞きたいことがありまして。」

「ふむ。聞きたいことですか。」

「黒のカサブランカを見ていませんか?」


黒のカサブランカ?ってあのお花でしょうか?カサブランカは基本白色ですが、ごく稀に黒色が出来るそうです。基本すぐに枯れてしまうのですが、数百万本に一本の確率で育ち、その黒色のカサブランカの花が開くと猛毒の香りを振りまくと言われています。そもそも扱いが難しいので、蕾から花になることすらままならない花。私もまだ現物を見たことがありませんが、黒のカサブランカを見つけたらすぐに処分するのがこの国において鉄則とされています。

黒のカサブランカという言葉を聞いたソイル様は一瞬目を見開きましたが、すぐに表情を戻していました。流石の対応ですね。それにしても、レオは一体なぜ黒のカサブランカを調べているんでしょうか?


「私共も探してはいるのですが、あの日以来見ていません。」

「そうですか、いえ、こちらの国で見かけたという情報を得まして、確かな筋の情報だったので、お耳に入っているかと思ったのですが。」

「協力出来ず、申しわけない。だが、あの花は禁忌の花。見かけましたら即処分の代物ですので、また何かあればご連絡を。」

「わかりました。では、また。」




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