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第八章 道明様と過ごせる時間
第六十五話 光来寺ツアー
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その後は、私と向日ちゃんで託児所へ向かい、お美代さんと合流した。
乳母のお富さん曰く、栄太郎君はあまり手がかからないのに藍ちゃんは抱っこ魔らしく、寝かせておくことができないのでお美代さんがいつも抱き続けているのだとか。
という事で、当の藍ちゃんは今は私の腕の中。
そして私は、向日ちゃんに光来寺を案内して回っているお美代さんの後をくっついて回っているところだ。
不在にしていた間に、光来寺はまたもや進化を遂げていた。
建物の説明をしながらお美代さんが歩いて行った先は小さな僧房。
僧が少なくなったことで年少組も大きい僧房で寝泊まりするようになったらしく、現在小さい僧房はお富さん、お美代さん、赤ちゃん二人と、お春ちゃんと耕太君で使っているとの事。
で、向日ちゃんもそこを使う事になるようだとの事。
昼間は外部の女の子たちが主に針仕事をしているから覗くだけにしたけど、やっぱり女性が使うと部屋も隅々まで掃除されていて見違えるようだった。
あと驚いたのは厠とお風呂問題。
増やしてくれるという話は聞いていたけど、厠の方はもう増設してくれたらしい。
増設と言っても、道場の裏に作ったらしくて、そっちが男性用なんだって。
元々ある小さい僧房の近くの厠は全部女性用にしたらしくて、私と向日ちゃん含めて六人しかいないのに三つも厠が使えるので贅沢仕様だ。
お風呂は流石にまだ建設中らしいけど、もう数日あれば完成するらしいし。新しいお風呂はやっぱり道場の裏だから、あっちが男性用で今あるお風呂は女性用になるんだろう。
男所帯で生活するお坊様のはずなのに女性への配慮が行き届いている道明様。紳士過ぎて逆に怖い。
こう、倫理観が明らかにこの時代の物じゃなくて、彼も転生してきたと言われた方が納得しちゃうくらいなのだ。
だってさ、人の多い時間に公衆浴場行くと助平野郎が女湯に入ってきたりする時代だよ?さすがに追い出してたけど、定期的に入って来るのにそれくらいじゃあ逮捕されない時代だよ?
妻帯を許可するってなった時にちょっとだけ心配だったけど、彼がちゃんと配慮してくれているなら全くもって問題なさそうだ。
うちの夫、めちゃくちゃ有能だなぁ。意地悪過ぎるところだけが欠点だけど。
そんな感じで光来寺ツアーが終了したのがおやつ時。
で、私と向日ちゃんの分もあるだろうからとお美代さんが言うので、おやつを食べに道場の方へ戻る時に、六助に呼び止められた。
「お帰りなさいませ小瑠璃様」
「ただいま六助」
「詳しいお話は後ほど道明僧正様よりありますが、今宵は黒峰城より晩餐へご招待を受けています。それで、それまでにご支度を・・・楠木様がされると言ってましたので・・・ご承知おきくださいませ」
きっちりとした喋り方はまだ不慣れなのか、尻すぼみな喋り方に彼の頑張りを感じる。
偉いし、可愛い。お仕事頑張ってるからもう伝言まで任せてもらえるようになったんだね・・・!
「分かった。じゃあ早めに部屋に戻るようにするね」
「よろしくお願いいたしまする!」
仕事を一つ終えて意気揚々と去っていく六助が向かったのは、恐らく道明様の元だろう。
今日はちょっと身分の高めの人が来るって言ってたから、講堂は貸し切りらしい。
お陰で本堂は超満員だ。超満員の人達はみんな手にお菓子を持っていたから、急いで道場に行かないとあのおいしそうな甘味が誰かしらに食べられてしまうかも。
なんて焦る気持ちを聖女の笑みの下に隠しながら廊下を歩いて行く。すると、本堂前を抜けたところで向日ちゃんがポツリと呟いた。
「先ほどの子もお坊様なのですか?」
「うん、一応ね」
向日ちゃんは体が小さいから、六助は同い年にも見える。
そんな彼がちゃんとお坊様をしている姿は、この子には新鮮に映ったのかもしれないなぁ。
「向日ちゃんは療養も兼ねてるからあんなに頑張っちゃ駄目だよ?」
「・・・はい」
夕方になると、道明様の部屋へ楠木がやって来た。
嫌な予想ほど当たるもので、着付けをしてくれるらしい。
だって彼、どこから持ち出したのか知らないけど、化粧道具も手にして準備万端って感じだったから。
念のため、藍ちゃんを抱いたお美代さんと向日ちゃんには一緒にいてもらってたけど、意味深に障子を閉める楠木の姿にちょっと驚いていた。
「楠木様が小瑠璃様のお着替えをされるのでございますか?」
乳母のお富さん曰く、栄太郎君はあまり手がかからないのに藍ちゃんは抱っこ魔らしく、寝かせておくことができないのでお美代さんがいつも抱き続けているのだとか。
という事で、当の藍ちゃんは今は私の腕の中。
そして私は、向日ちゃんに光来寺を案内して回っているお美代さんの後をくっついて回っているところだ。
不在にしていた間に、光来寺はまたもや進化を遂げていた。
建物の説明をしながらお美代さんが歩いて行った先は小さな僧房。
僧が少なくなったことで年少組も大きい僧房で寝泊まりするようになったらしく、現在小さい僧房はお富さん、お美代さん、赤ちゃん二人と、お春ちゃんと耕太君で使っているとの事。
で、向日ちゃんもそこを使う事になるようだとの事。
昼間は外部の女の子たちが主に針仕事をしているから覗くだけにしたけど、やっぱり女性が使うと部屋も隅々まで掃除されていて見違えるようだった。
あと驚いたのは厠とお風呂問題。
増やしてくれるという話は聞いていたけど、厠の方はもう増設してくれたらしい。
増設と言っても、道場の裏に作ったらしくて、そっちが男性用なんだって。
元々ある小さい僧房の近くの厠は全部女性用にしたらしくて、私と向日ちゃん含めて六人しかいないのに三つも厠が使えるので贅沢仕様だ。
お風呂は流石にまだ建設中らしいけど、もう数日あれば完成するらしいし。新しいお風呂はやっぱり道場の裏だから、あっちが男性用で今あるお風呂は女性用になるんだろう。
男所帯で生活するお坊様のはずなのに女性への配慮が行き届いている道明様。紳士過ぎて逆に怖い。
こう、倫理観が明らかにこの時代の物じゃなくて、彼も転生してきたと言われた方が納得しちゃうくらいなのだ。
だってさ、人の多い時間に公衆浴場行くと助平野郎が女湯に入ってきたりする時代だよ?さすがに追い出してたけど、定期的に入って来るのにそれくらいじゃあ逮捕されない時代だよ?
妻帯を許可するってなった時にちょっとだけ心配だったけど、彼がちゃんと配慮してくれているなら全くもって問題なさそうだ。
うちの夫、めちゃくちゃ有能だなぁ。意地悪過ぎるところだけが欠点だけど。
そんな感じで光来寺ツアーが終了したのがおやつ時。
で、私と向日ちゃんの分もあるだろうからとお美代さんが言うので、おやつを食べに道場の方へ戻る時に、六助に呼び止められた。
「お帰りなさいませ小瑠璃様」
「ただいま六助」
「詳しいお話は後ほど道明僧正様よりありますが、今宵は黒峰城より晩餐へご招待を受けています。それで、それまでにご支度を・・・楠木様がされると言ってましたので・・・ご承知おきくださいませ」
きっちりとした喋り方はまだ不慣れなのか、尻すぼみな喋り方に彼の頑張りを感じる。
偉いし、可愛い。お仕事頑張ってるからもう伝言まで任せてもらえるようになったんだね・・・!
「分かった。じゃあ早めに部屋に戻るようにするね」
「よろしくお願いいたしまする!」
仕事を一つ終えて意気揚々と去っていく六助が向かったのは、恐らく道明様の元だろう。
今日はちょっと身分の高めの人が来るって言ってたから、講堂は貸し切りらしい。
お陰で本堂は超満員だ。超満員の人達はみんな手にお菓子を持っていたから、急いで道場に行かないとあのおいしそうな甘味が誰かしらに食べられてしまうかも。
なんて焦る気持ちを聖女の笑みの下に隠しながら廊下を歩いて行く。すると、本堂前を抜けたところで向日ちゃんがポツリと呟いた。
「先ほどの子もお坊様なのですか?」
「うん、一応ね」
向日ちゃんは体が小さいから、六助は同い年にも見える。
そんな彼がちゃんとお坊様をしている姿は、この子には新鮮に映ったのかもしれないなぁ。
「向日ちゃんは療養も兼ねてるからあんなに頑張っちゃ駄目だよ?」
「・・・はい」
夕方になると、道明様の部屋へ楠木がやって来た。
嫌な予想ほど当たるもので、着付けをしてくれるらしい。
だって彼、どこから持ち出したのか知らないけど、化粧道具も手にして準備万端って感じだったから。
念のため、藍ちゃんを抱いたお美代さんと向日ちゃんには一緒にいてもらってたけど、意味深に障子を閉める楠木の姿にちょっと驚いていた。
「楠木様が小瑠璃様のお着替えをされるのでございますか?」
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