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16 不審な手紙
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マルティナはある手紙を見て、ふうとため息をはいた。最近ずっとこのような嫌がらせが続いている。
『あなたは王太子妃に相応しくない』
『変化魔法が使えても、魔力が少ないのは変わりない』
『側室を認めないなんて傲慢だ』
そのような悪意のある不審な手紙だ。これでもう五通目になる。
ちなみに側室を作らないというのはマルティナの我儘ではなくハビエルの意向で、公でもその宣言をしていた。もし子どもができなかったらどうするのか、とマルティナは反対したが『王族は他にもたくさんいる』とのらりくらりかわされていた。だから、正確にいえばマルティナが『認めていない』わけではない。
その宣言はマルティナ個人としてはとても嬉しかったが、まだ子どものいない自分たちにこのような批判があることは覚悟していた。
しかし……婚約している時はよく陰口を叩かれていたが、手紙は今回が初めてだ。
特定されないようにするためか、毎回筆跡が違う。そして今のところは『何も起こっていない』ので、静観している。
『死にたくなければハビエル殿下から離れろ』
六通目は、かなり過激な内容だった。毎回マルティナの私室にいつのまにか置かれているということは……王宮の侍女か使用人に犯人の協力者がいるのだろう。
さすがにハビエルに報告をすべきかと思ったが、心配をかけたくないという気持ちもあって悩んでいた。
「ティーナ、どうしたんだ? ぼーっとして……何かあったのか」
「あっ、いえ。すみません」
ハビエルに話しかけられたのに、心ここにあらずだったことに気が付き慌てて笑顔を作った。
「最近、なんだか元気がないではないか。心配事があればなんでも言って欲しい」
「いいえ、大丈夫ですわ」
「本当か?」
「はい」
マルティナは、分単位の忙しいスケジュールをこなしているハビエルに、これ以上自分のことで負担をかけたくないと思った。
手紙は送られて来るが、特に実害は受けていない。それに常に数人の警護も付いているし、自分に危害を加えることなどできるはずはないと考えていた。
「……それならばいいが」
「ええ、少し疲れただけです」
マルティナはハビエルにぎゅっと抱きついて、甘えるように眠りについた。ハビエルの腕の中が一番安心できる場所だからだ。
「ティーナ、おやすみ」
マルティナの頭を優しく撫でながら、ハビエルはギリッと唇を噛み怒りを必死に押し殺していた。
なぜなら、ハビエルはその脅しの手紙に気付いていたからである。それを知ってから、自ら別人に変化して密かに情報を集め、犯人もすでに特定している。あとは捕まえるだけだった。
「私が絶対に守るから。安心して欲しい」
愛する妻を苦しめた犯人を、ハビエルが許すはずがなかった。
♢♢♢
「ペドロサ公爵をお連れしました」
あれから三日後、ハビエルは人払いをしてから自室にマルティナの父親を呼んだ。この部屋にはペドロサ公爵とクラレンス、そしてハビエルの三人しかいない。
「急にお呼びたてして申し訳ありません」
「いえ、何かあったのでしょう」
「……ええ。他言無用である協力をお願いしたいのです」
そこでハビエルは、マルティナに宛名のない不審な手紙が届いていることを二人に話した。
「その手紙は悪戯やただの脅しではない。実際にマルティナを毒殺する計画がある」
ハビエルのその言葉に、二人は言葉を失った。
「……それは、本当なのか」
ペドロサ公爵はギリッと拳を握りしめ、ブルブルと怒りで身体が震えていた。
「ええ。どれだけ金を掴ませたのか知らないが、王宮の侍女と給仕係に協力者がいます。その二人には監視を付けたので、今は好きに動けません。黒幕の特定も済んでいます」
「ならば、なぜすぐに捕まえない? 娘の命がかかっているんだぞ!」
「……わかっています。ただ、その計画は来月予定されているので今は何も起こりません。なので、できるだけ彼女を不安にさせずに事を終わらせたい。もちろん、犯人には後で死ぬ程苦しい罰を受けてもらいます。協力者も今は泳がせて、後で捕まえます」
ハビエルは、大きく息をはいてなんとか怒りを抑えていた。
「犯人はバルバストル伯爵です。マルティナを亡き者にして、自分の娘アリソンと結婚させようと目論んでいるようだ」
バルバストル伯爵家は、かなり資金力があり裕福な貴族だ。
「あいつが……!」
「あの伯爵が」
二人はハビエルの話を聞いて、納得をした。なぜならマルティナとの婚約をずっと『反対』していた人物だったからだ。結婚前に、マルティナに心無い言葉をかけていたのもアリソンだったことを、ハビエルは忘れていない。
舞踏会では、いつもアリソンはハビエル擦り寄ってきていた。常に派手に着飾ってセクシーなアリソンは、一般的には美しいとされているのだろうが……ハビエルは全く興味がなかった。
アリソンは魔力量が多いことが自慢らしいが、ハビエルにとってはそんなことはどうでもよかった。だって、ハビエルは愛するマルティナしか『女性』として目に入らないのだから。
「私があいつらと直接会います。あの男にアリソン嬢も一緒に食事をしようと誘えば、絶対に来るだろう」
「そこで何をするつもりですか?」
「なに……楽しい食事ですよ」
ハビエルはそれだけ言って、最終の処罰は自分に任せて欲しいと二人に伝えた。
「公爵は、その日はティーナを王宮から連れ出して欲しいのです。あいつらと会っていることを知られたくないので」
「承知しました」
「それとあいつらが使おうとしている毒と同じ物を入手してもらえませんか? 店と物は突き止めたが、裏ルートでしか手に入らない」
ペドロサ公爵は、メモに書いてある店名と住所をじっと見た後すぐに魔法で燃やした。証拠を残さないためだ。
「少しだけ時間をください。手に入れましょう」
「……頼みました。ちなみにその店は全てが終われば、潰す予定です。怪しい薬ばかり扱ってるようなのでね」
「承知しました」
普通なら買えないが、きっとペドロサ公爵は顔が広いので裏から手を回せると思っていたが、やはり予想通りだった。
「クラレンス、君にはバルバストル伯爵家の不正の証拠を見つけてきて欲しい。あいつら……羽振がいいと思っていたら、国に納める税を誤魔化しているようだ」
「それは本当なのですか!? しかし、提出された書類には問題なかったはずだ。経理が確認をしています」
クラレンスは、驚いた表情でハビエルを見た。
「ああ、形式上はな。だが、バルバストル伯爵が秘密で作った会社がある。それは、実体のないペーパーカンパニーだ。そこに金を流しているらしい」
「……わかりました。証拠を掴んできます」
「金はいくら積んでもいい。私の私費を存分に使え」
「承知しました」
この二人はとても優秀だ。必ず頼んだことをやり遂げてくれると、ハビエルは信じていた。
「ティーナを傷付けた罰はきちんと受けてもらわねば。私が何も知らないと思っているのであれば……とんだまぬけだな」
感情のこもらない声で、くくっと乾いた笑い声を出したハビエルはとても恐ろしい目をしていた。
「しかし、犯人のことをよく短時間でここまで調べられましたね」
「以前から思っていたが、殿下にはかなり優秀なスパイがいますよね? 今後何かあった時のために、その人と顔を合わせることはできませんか?」
ペドロサ公爵とクラレンスは『知るはずのないこと』を知っているハビエルに、驚いているようだった。
「二人のことは信用している。だが、悪いがそれだけは秘密だ。あっちも命がけだからな」
本当はスパイなどいない。しかし『変化』できることを公表していないハビエルは、それが自分だということができなかった。
変化して侵入していることがばれたら『一般人』として殺される可能性もある。王族を殺すのは大罪だが、変化した身元もわからない一人の男が死んだとしても誤魔化すことができるからだ。
ハビエルはその危険性をわかっていても、マルティナのためなら自分で調べることを選んだ。
「クラレンス、やめなさい。影が表に出るのは殿下にとって危険になる」
「……そうですね。申し訳ありませんでした」
「いや、すまないが二人ともよろしく頼む」
三人は、絶対にマルティナを救うと心に誓った。
『あなたは王太子妃に相応しくない』
『変化魔法が使えても、魔力が少ないのは変わりない』
『側室を認めないなんて傲慢だ』
そのような悪意のある不審な手紙だ。これでもう五通目になる。
ちなみに側室を作らないというのはマルティナの我儘ではなくハビエルの意向で、公でもその宣言をしていた。もし子どもができなかったらどうするのか、とマルティナは反対したが『王族は他にもたくさんいる』とのらりくらりかわされていた。だから、正確にいえばマルティナが『認めていない』わけではない。
その宣言はマルティナ個人としてはとても嬉しかったが、まだ子どものいない自分たちにこのような批判があることは覚悟していた。
しかし……婚約している時はよく陰口を叩かれていたが、手紙は今回が初めてだ。
特定されないようにするためか、毎回筆跡が違う。そして今のところは『何も起こっていない』ので、静観している。
『死にたくなければハビエル殿下から離れろ』
六通目は、かなり過激な内容だった。毎回マルティナの私室にいつのまにか置かれているということは……王宮の侍女か使用人に犯人の協力者がいるのだろう。
さすがにハビエルに報告をすべきかと思ったが、心配をかけたくないという気持ちもあって悩んでいた。
「ティーナ、どうしたんだ? ぼーっとして……何かあったのか」
「あっ、いえ。すみません」
ハビエルに話しかけられたのに、心ここにあらずだったことに気が付き慌てて笑顔を作った。
「最近、なんだか元気がないではないか。心配事があればなんでも言って欲しい」
「いいえ、大丈夫ですわ」
「本当か?」
「はい」
マルティナは、分単位の忙しいスケジュールをこなしているハビエルに、これ以上自分のことで負担をかけたくないと思った。
手紙は送られて来るが、特に実害は受けていない。それに常に数人の警護も付いているし、自分に危害を加えることなどできるはずはないと考えていた。
「……それならばいいが」
「ええ、少し疲れただけです」
マルティナはハビエルにぎゅっと抱きついて、甘えるように眠りについた。ハビエルの腕の中が一番安心できる場所だからだ。
「ティーナ、おやすみ」
マルティナの頭を優しく撫でながら、ハビエルはギリッと唇を噛み怒りを必死に押し殺していた。
なぜなら、ハビエルはその脅しの手紙に気付いていたからである。それを知ってから、自ら別人に変化して密かに情報を集め、犯人もすでに特定している。あとは捕まえるだけだった。
「私が絶対に守るから。安心して欲しい」
愛する妻を苦しめた犯人を、ハビエルが許すはずがなかった。
♢♢♢
「ペドロサ公爵をお連れしました」
あれから三日後、ハビエルは人払いをしてから自室にマルティナの父親を呼んだ。この部屋にはペドロサ公爵とクラレンス、そしてハビエルの三人しかいない。
「急にお呼びたてして申し訳ありません」
「いえ、何かあったのでしょう」
「……ええ。他言無用である協力をお願いしたいのです」
そこでハビエルは、マルティナに宛名のない不審な手紙が届いていることを二人に話した。
「その手紙は悪戯やただの脅しではない。実際にマルティナを毒殺する計画がある」
ハビエルのその言葉に、二人は言葉を失った。
「……それは、本当なのか」
ペドロサ公爵はギリッと拳を握りしめ、ブルブルと怒りで身体が震えていた。
「ええ。どれだけ金を掴ませたのか知らないが、王宮の侍女と給仕係に協力者がいます。その二人には監視を付けたので、今は好きに動けません。黒幕の特定も済んでいます」
「ならば、なぜすぐに捕まえない? 娘の命がかかっているんだぞ!」
「……わかっています。ただ、その計画は来月予定されているので今は何も起こりません。なので、できるだけ彼女を不安にさせずに事を終わらせたい。もちろん、犯人には後で死ぬ程苦しい罰を受けてもらいます。協力者も今は泳がせて、後で捕まえます」
ハビエルは、大きく息をはいてなんとか怒りを抑えていた。
「犯人はバルバストル伯爵です。マルティナを亡き者にして、自分の娘アリソンと結婚させようと目論んでいるようだ」
バルバストル伯爵家は、かなり資金力があり裕福な貴族だ。
「あいつが……!」
「あの伯爵が」
二人はハビエルの話を聞いて、納得をした。なぜならマルティナとの婚約をずっと『反対』していた人物だったからだ。結婚前に、マルティナに心無い言葉をかけていたのもアリソンだったことを、ハビエルは忘れていない。
舞踏会では、いつもアリソンはハビエル擦り寄ってきていた。常に派手に着飾ってセクシーなアリソンは、一般的には美しいとされているのだろうが……ハビエルは全く興味がなかった。
アリソンは魔力量が多いことが自慢らしいが、ハビエルにとってはそんなことはどうでもよかった。だって、ハビエルは愛するマルティナしか『女性』として目に入らないのだから。
「私があいつらと直接会います。あの男にアリソン嬢も一緒に食事をしようと誘えば、絶対に来るだろう」
「そこで何をするつもりですか?」
「なに……楽しい食事ですよ」
ハビエルはそれだけ言って、最終の処罰は自分に任せて欲しいと二人に伝えた。
「公爵は、その日はティーナを王宮から連れ出して欲しいのです。あいつらと会っていることを知られたくないので」
「承知しました」
「それとあいつらが使おうとしている毒と同じ物を入手してもらえませんか? 店と物は突き止めたが、裏ルートでしか手に入らない」
ペドロサ公爵は、メモに書いてある店名と住所をじっと見た後すぐに魔法で燃やした。証拠を残さないためだ。
「少しだけ時間をください。手に入れましょう」
「……頼みました。ちなみにその店は全てが終われば、潰す予定です。怪しい薬ばかり扱ってるようなのでね」
「承知しました」
普通なら買えないが、きっとペドロサ公爵は顔が広いので裏から手を回せると思っていたが、やはり予想通りだった。
「クラレンス、君にはバルバストル伯爵家の不正の証拠を見つけてきて欲しい。あいつら……羽振がいいと思っていたら、国に納める税を誤魔化しているようだ」
「それは本当なのですか!? しかし、提出された書類には問題なかったはずだ。経理が確認をしています」
クラレンスは、驚いた表情でハビエルを見た。
「ああ、形式上はな。だが、バルバストル伯爵が秘密で作った会社がある。それは、実体のないペーパーカンパニーだ。そこに金を流しているらしい」
「……わかりました。証拠を掴んできます」
「金はいくら積んでもいい。私の私費を存分に使え」
「承知しました」
この二人はとても優秀だ。必ず頼んだことをやり遂げてくれると、ハビエルは信じていた。
「ティーナを傷付けた罰はきちんと受けてもらわねば。私が何も知らないと思っているのであれば……とんだまぬけだな」
感情のこもらない声で、くくっと乾いた笑い声を出したハビエルはとても恐ろしい目をしていた。
「しかし、犯人のことをよく短時間でここまで調べられましたね」
「以前から思っていたが、殿下にはかなり優秀なスパイがいますよね? 今後何かあった時のために、その人と顔を合わせることはできませんか?」
ペドロサ公爵とクラレンスは『知るはずのないこと』を知っているハビエルに、驚いているようだった。
「二人のことは信用している。だが、悪いがそれだけは秘密だ。あっちも命がけだからな」
本当はスパイなどいない。しかし『変化』できることを公表していないハビエルは、それが自分だということができなかった。
変化して侵入していることがばれたら『一般人』として殺される可能性もある。王族を殺すのは大罪だが、変化した身元もわからない一人の男が死んだとしても誤魔化すことができるからだ。
ハビエルはその危険性をわかっていても、マルティナのためなら自分で調べることを選んだ。
「クラレンス、やめなさい。影が表に出るのは殿下にとって危険になる」
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三人は、絶対にマルティナを救うと心に誓った。
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お読みいただき、ありがとうございます。
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